こちらは文族がイベント用に書いたものなどを仮に投稿して皆にチェックしてもらう場所です
とりあえず投下ーキノウ・ツン藩国報告書��2992222-01探索箇所：キノウ・ツン藩国 メイド教育機構メイド養育施設探索目的：養育施設において数年前より噂されるゲートの有無に関する真偽の調査探索者：庄津Ｋ太郎 わびすけ 以上２名 キノウ・ツン藩王とアシタスナオ摂政の承認を受け探索に向かう学校に夜来るとわんわん帝国に繋がるゲートがあって昔藩王もそこを通ったことがあるらしいよ−ツン国メイド養育施設七不思議の一つ教育施設のカリキュラム終了後数時間が経過した養育施設。ありていに言えば放課後も過ぎた夜の学校。怪しい影が２人、正門を何故かじたばた乗り越えて潜入しようとしている。「ふぎゃ」あ、一人落ちた。「ぬうう、何故にこんな夜中に忍び込めというのか…国の仕事なんだから許可くらい取ってくれてもいいようなものじゃないか」ぶつぶつ文句を言いつつ庄津は正門から降りる「だって基本的にメイドの園だからしょうがないよ」いたた、と落ちたときに出来たらしいこぶをさすりつつわびすけが立ち上がるここで補足させてもらうならば不慮の事態に備えて（戦闘ができるであろうと期待された）ゲートの探索をする役割が庄津バックアップ兼道案内としてわびすけが同行している形である「とにかくとっとと行くぞ。つまらん噂なのか本当にゲートが開いているのか、このどちらかを確定させるのが仕事だ」「へーい。んじゃとっとこ調べようか」一つ一つの教室を調べていく「こっちは…何にもない。あっちは…うん、異常なし」「…これはあれか。ガセネタの可能性が大変高い気がするのは俺の気のせいではないのか」心なしか庄津、ややイライラしてきたように見える「それ調べるのが仕事なんじゃなかった？」「（こいつ…）」なんともいえない感情が庄津の中に明確に膨れ上がった。人それを殺意という「えーとここが室内運動室。多分今までの中で一番怪しいと思われるんじゃないかと思われたりなんかしちゃったり」「いいから早く中に入って案内しろ」ぺし、と庄津がわびすけをはたく自分で開ければいいじゃないか、とぶつぶつ言いつつわびすけは扉を開ける照明もなく、月明かりも差さない室内運動場は静まり返っていたとりあえず明かりを持って突入する２名「…無いね」「やはりデマか」早々にきびすを帰して入り口に戻ろうとすると何故か壁にぶつかった『何で壁が？』「それは、壁ではなく私だ」壁に思えたのは大変筋肉質な巨体にして全身傷だらけのメイドだった。「はわわわわわわ貴方は実技教育担当で恐れられる萬（よろず）・スペード軍曹！ちょっと庄津さん出番ですよ出番！」傍らを振り向くと何故かいびきをかいてぶっ倒れている庄津。この人物、ドラッカーの中毒症状なのかいきなり居眠りをこく癖があるどうやらあまりのショックに意識が逃避して眠りに入ったらしい。いいのかこの展開「何でこんな時にぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ」わびすけ、メイドとなった際に萬・スペード軍曹の恐ろしさを先輩メイドたちから嫌というほど聞き及んでいる曰く、日照りでも洪水でも容赦なく外での「お帰りなさいませご主人様」反復練習を一万回繰り返させる曰く、恐ろしいまでの罵倒をし、精神の底からメイドとして動けるよう叩き込む（例・「貴様等は何だ、人？いいやちがう、人様に仕えるメイドだ」）とりあえず恐怖が先に立ったわびすけは庄津を引きずって必死に逃げ出した。逃げ足がオリンピック種目になったならば間違いなく世界記録を狙えるスピードで走る、走る「ふははははははははは」何故か笑いながら追いかけてくる軍曹。髭と傷と筋肉とメイド服に笑顔で彩られたこの人物は間違いなくホラーであり、ある意味スプラッタであった「貴様メイドか。メイドが逃げて何とする！さあメイドならメイドらしくもてなしをしてみろ！」「勘弁してぇぇぇぇぇぇぇぇ」明らかに不利な条件の中、わびすけは良く頑張った。大の大人一人を抱えてよく健闘したほうであろうだがいかんぜん相手は規格外の生物であり、疲労も濃くなってあとちょっとで巨大な手が庄津とわびすけを捕える寸前まで伸びてきた「キィヤァァァァァァ！！」「さっきからやかましいんだが何でそんなに驚いているのだお前」「あんな化け物相手に叫び声上げないなんてそれこそどうかしてる！つかあんた起きたなら自分で走れよ！」ぺい、とわびすけに投げ捨てられる庄津。後ろから迫ってくる軍曹の姿に再び逃避しそうになるが、何とかこらえて走り出した「ええい、化け物め！これでもくらえ！」庄津が勇気を振り絞って近くの椅子で軍曹に殴りかかる「わびすけ、今の内に逃げろ！」「そんな！庄津さん！」「何心配するな、こう見えても俺は庄津一族始まって以来の逸材と」「いやそっちの心配じゃなくて椅子椅子！」庄津が前を向くと殴りつけた椅子が飴細工のように軽く捻じ曲がっていく様子が見えたこりゃ勝ち目が無い、庄津はそう思ったそうだ「お〜ま〜ち〜な〜さ〜い〜」『嫌じゃボケえええええええええええ！！』この後、何とか無事二人が脱出したのは明け方であった激しい戦い、そして長時間の逃亡の中で妙な親近感と友情に芽生えた二人は朝日に向かって生き残れた事を激しく感謝して、がっちり肩を抱き合ったというなお、この報告書は二人からの報告を元に製作されているが補完される必要性を大変に感じるのは編集者だけであろうか文・高原鋼一郎
ここに一人の男がいた。彼の名前はハル。キノウツン国で技師をやっている男だが、最近大きな問題に悩まされていた。人によっては命よりも大事な物、つまりは金の問題である。 原因はと言えば、メイド喫茶の一人のメイドさんにのめり込んでしまったのだ。 メイド喫茶というのは人件費などの関係でメニューが高い、というのもあるが彼の場合は異常である。 お気に入りのメイドさんと話したいが故に、彼女が通る度に料理・飲み物などを注文し、財布の中身が空になると、やっと精算し帰宅。そして再び金をおろすと同じことをしにいく毎日。 技師の給料は決して安くはないが、これで金が続く方がどうかしている。 そのため最近では家賃も滞納気味であり、いよいよ廃墟街に引っ越しか、という所まで追いつめられていた。 そんなある日、例によって懐をスッカラカンにしたハルの目に留まったのは、一つの高札である。「求・冒険家。外見と感覚に優れた人材。報酬は黄金の一部。応募はキノウツン藩国藩庁まで」 これが彼の人生を少なからず変えることとなった。 ツン様の承認を受け彼は旅立つことになった。 宝とは三代前の藩王サキオ＝トトイ王の遺された黄金である。 何故冒険に外見が求められたのか。ハルは応募段階で疑問であったが、直ぐにその疑問は氷解した。 なるほど、冒険などと言うと鞭を使って谷を越えたり、転がってくる巨石から走って逃げたり、と想像していたが、そうではない。 意外と地道な作業が多いのだ。 町中での聞き込み調査、現地の人にシェルパ兼道案内を頼んだりと意外と人と接する機会が多く、見目麗しいことの多い猫士であるハルの見た目は大いに役立った。 そんなこんなで三日目のこと。 持ち前の優れた感覚により（当てずっぽう又は勘頼みとも言う）、宝の場所を割り出したハルは意気揚々と宝に向かって進んでいた。「メイドさん〜メイドさん〜、可愛く、ナイスバディメイドさん〜♪」 思わず歌も出る。「………………」 何故か道案内は、この歌が歌われ始めた頃から冷たーい視線で黙りこくっていたが。「ここだ！！」 確かにそこには古地図で記されているような、猫のようにも見える岩が置かれていた。「この地下に…ん？ 文字が刻んである……」 岩の表面を撫で払うと、確かにそこには文字が刻んであった。 黄金に触れし者に黒の呪いあれ「どういうことだ？」「お決まりの文句でしょう。さあ、旦那。さっさと掘っちまいましょう」 ハルの疑問を制するように、道案内はスコップを荷物から取り出し始めた。「……まあ、いいか」 幸いにも掘り初めて三十分もすると、硬い感触にぶつかった。 思わず二人の顔がニヤけてしまう。「旦那！」「おう！ 慎重に掘り起こせよ！！」 周囲の土をスコップで払い取ると、そこにはツン藩国徽章の刻まれた豪奢な箱であった。「ビンゴ！！」 ずっしりとした重さに頼もしささえ感じたハルと道案内人は苦労しながらも、ゆっくりと箱を引き上げていった。「開けるぞ？ 開けちゃうぞ？」「早くして下さいよ」「よし」 ゆっくりと箱が開かれる。同時に道案内人は後ろから大型のナイフを取り出し始めていた。 元々、案内人は宝のみが目当てであり、ハルを殺害するつもりだったのだ。 しかし、それは未遂に終わった……「うん。黄金だが…黒い……ギ…ギャッァアアアアア！」「くたばれって…ギャァァアアアアアア！！！」 二つの悲鳴が見事な協調を見せ、山に響き渡った。 黄金が黒かったのは中に黒くてカサカサするアレが大量にまとわりついており、それが外からの光に驚き一斉に飛び出したのだ。 斯くして無事宝を手に入れたハルであったが、ツン様には「アレは嫌い！」と言われるし、職場からも「アレ技師」と呼ばれるわ散々だったという……
キノウツン藩国報告書��292222-02探索箇所：キノウツン藩国街道 通称シルクロード探索目的：交易路近辺においてにおいて蜃気楼に迷い込んだと思われる人影の調査、及び該当者がいた場合その発見と救助探索者：高原鋼一郎 船橋 以上２名 キノウ・ツン藩王とアシタスナオ摂政の承認を受け探索に向かう途中の自販機で買ったハンバーガーを齧りつつ、高原と船橋を乗せた馬車は交易路を進んでいく今日は日差しが強い。途中の売店で買った日除けの布と砂避けのゴーグルをつけて視界保護をしておかなければ「しかし今日は一段と風が強いぞ船橋氏」「どうでもいいがその呼び方は国の外でやるなよ。お里が知れるぞ」「ふ、同じ穴の何とやらだろう」高原はハンバーガーの包み紙をくしゃ、と丸めるとそのままポケットに突っ込んだ。キノウツン藩国の交易路は巨大な道路である。食糧生産を他国に頼るこの国では流通経路を港・飛行場・交易路の3つのルートに分けているその中でも陸を行くこの交易路は他国への移動と国内への物資輸送を兼ねている重要な場所であるそんな交易路の近くで最近人影を見かけたという投書が相次いでいた。場所は蜃気楼が発生する砂漠の近くを走る地点そんな場所に何故人がいるのかと怪しまれたが、とりあえず藩王と摂政の命で高原と船橋は調査に出向く事になった「しかし、よりによって陸路か…海路なら軍艦や水兵さんが見れたのになあ」船橋という人物、普段は隠居生活をしているが軍艦とメイドを愛する人物である。最近はセーラー服もいいな、とこの間呟いていたそうだ「俺はどっちでもいい。早いところこの仕事を終えて戻らんと文族の仕事が俺まで回ってくる」そういう高原は仕事が煮詰まると逃避する人間であり、仕事をとっととやらないと大変役立たずな人物である何故この二人が選ばれたのかは大変不明である。だがまあ仕事はそれなりにこなす人材を出したのであろう「お、ぼちぼち着くぞ船橋氏」「ん」交易路脇のスペースに馬車を止める。その先には砂漠が広がっていた「ＧＰＳとか役に立つのかこれ…」「役立つと信じよう。つか信じないといけないよこれ」そう言って二人は砂漠へと入っていった数時間後−「…なんか全然それらしい反応ないな」「生物反応はトカゲとかしかない。これは踊らされたな」死ぬ気で感覚を研ぎ澄ました二人だったが、情報にあるような人影は全く発見できなかった二人は顔を見合わせてがっくり肩を落とす「よし、帰るか」船橋はそう言って一つ伸びをした。うーん、と伸びをすると視界に巨大な影が入る「なんじゃありゃあ」「いや、あれだよあれ。前の場所から逃げ出す羽目になった戦艦！」ごごごごごごごご、と空気を震わせて戦艦が上空を飛んでいく「船橋氏、急いで政庁に連絡だ！奴等が攻めてきたぞ！くそ、ＧＰＳになんで何の反応も無いんだ！」高原はぶんぶんとＧＰＳを大回転させている。何の意味があるのだその行為「こちら探索班、こちら探索班。政庁応答せよ！政庁応答せよ！」船橋は持って来ていた無線機で連絡を取っている「こちら政庁。探索班どうした？例の情報は確定できたのか」無線機から声が返ってくる。どうやらアシタスナオ摂政のようだ「摂政、それどころじゃない！至急藩王陛下につないでくれ！」「お前それどころじゃないって何をしに行ったと…まあしばし待て」無線機からツン藩国国歌が流れる。その間にも戦艦は頭上を通過していく「こちら藩王。一体どうしたの？」「大変だ陛下！いいか、よく聞いてくれ。敵、大型の要塞艦発見。大きい……！物凄く大きくて強そうな超弩級要塞型戦艦が俺達の頭の上をごぉーっと…あれ？もしもし？もしもーし？」「どうした船橋氏」「通信が切れた。何でこんな重要な時に」このボロ無線機、と叫びながら船橋は無線機をジャイアントスイングする。本当に何の意味があるのだ「しかし奴らめ…俺達から２度も国を奪うというのか…」高原は通り過ぎていく要塞戦艦を憎憎しげに見る果たしてツン国、いやにゃんにゃん共和国の命運や如何に文・高原鋼一郎
まあ世の中やるだけのことをやってなきゃこっちがやられるだけだし。準備してなきゃどこだってすぐやられるわ。…べ、別に前にうちの国が何も出来なかったからその罪滅ぼしって訳じゃないんだからねっ−戦争準備の際のキノウツン藩王のお言葉その日、キノウツン藩国政庁は混乱に見舞われた行方不明者と思われる謎の人影を探索しに言ったはずの船橋から奇妙な通信が入ったことがその始まりである『敵、大型の要塞艦発見。大きい……！』その言葉を最後に、通信は途絶した。「ちょっと、どうしたの？もしもし？もしもーし？」す、と後ろから現れた摂政のDeepBlue（通称DB）が「通信途絶」とホワイトボードに書き込む「それは判ってる。問題は何でうちの国内なのに通信途絶するの？って事」DBは藩王の問に少し首をかしげたあと、「原因不明」と書き加えたがくっ、と頭を垂れたがこんな事でめげてはいられないと、精神的復旧を速やかに果たす藩王「ねえ、うちのレーダーに怪しい反応は無いの！？」「今確認してますが、観測班からは特に報告はありません」傍らにいたアシタスナオが答える「どういうこと？探索班の報告が本当なら反応があってしかるべきじゃない」「仰るとおりです。正直彼等の身に何が起こったのかすら把握できてませんから」正直野郎の安否はもっと後でもいい、藩王やメイドさんやデレの安否を第一に考えねば、と思いつつスナオは事実を淡々と話す「ツンさまぁー、大変です！」わたわたと一人のメイドが駆け込んでくる。藩王付きのメイドの浅田だ「どうしたのよ浅田。…き、昨日の宿題ならまだ提出期限は先よね。そう稲垣に伝えて」「違います！っていうか昨日は宿題なかったはずですけど、あ、さてはまた前日の課題を提出し忘れましたね。この前もう二度とやらないと…」「そんなこと後でいいじゃない！それで何が大変なのよ」浅田の顔を掴んで強引に軌道修正する。ツン藩王、追い詰められている模様だ「ああそうでした。交易路や飛行場の各メイド喫茶から連絡があって、戦艦らしき巨大な飛行物体がわが藩国内を通過しているそうです！」ざわ、とその言葉を聴いた面々が騒ぐ。「どうやら彼等の報告は真実のようですね、いかがいたします藩王」「…そうね、彼等の捜索隊は出しておいて。スナオ、貴方は稲垣とはるに連絡を取って有事に備えてちょうだい。はるはこの前の探索から戻ったばかりで申し訳ないけど」「かしこまりました」「DBは予算と燃料、あと資源の在庫再チェック！同時に共和国内への敵艦警戒の旨を連絡して！」「委細承知」実務においてツン国を動かしている両輪が己の仕事へと取り掛かっていく。すう、と息を吸うと政庁中に響く声でツン藩王は叫んだ「今よりキノウ＝ツンの名において総員に告げる。我が国の、いや私達の意地と威信を賭けて総員戦闘準備に取り掛かりなさい！」『ハイル・ツンデレ！』平時においてはメイドさんと無職と様々な変態しかいないキノウツン藩国だが、一度目標を同じにすれば萌えと燃えで繋がれた同士である。怒涛の勢いで戦闘準備に取り掛かった技士の一人、はるは日課であるメイド喫茶でシチューをふーふーしてもらうのを泣く泣く諦めて仕事に戻ったRF11は先日取り終えた映画の作成を急ぐ。戦意高揚のためとか己の趣味のためとか真意ははっきりしていない凝り人はとりあえず食事がまだだったので飯を食べていた。味噌汁を飲んで嗚呼幸せだなあ、と言っている摂政、アシタスナオは技士であり、ツン藩王の家庭教師でもある稲垣と共に新しいキャリアーの設計と製作に取り掛かっている「稲垣、基本のラインはこれでいいと思う。後は塗装のコントラストを考えてくれ」「（…こくこく）」もう一人の摂政、DeepBlueは一番大変な物資計算や各行動の予定期限などを知らせる仕事に就く「予算不足、燃料高騰…」そして藩王キノウ＝ツンは自らのできることをやらんと新型機設計に取り掛かっていた「べ、別に共和国のためじゃないんだからね！ Ｉ＝Ｄを作りたくなっただけよ！」治において乱を忘れず果たしてこの行動が後の戦いにどう影響するのだろうか頑張れキノウツン 負けるなキノウツン夜明けはまだ遠い「…で、船橋氏。何故我々は砂漠を走っているのだろうか」「このままだと出番がないまま遭難しただけで終わるからじゃないのか？」
「今よりキノウ＝ツンの名において総員に告げる。我が国の、いや私達の意地と威信を賭けて総員戦闘準備に取り掛かりなさい！」キノウ＝ツン藩王の布告が、出されて以降この国の時計の針は、そのスピードを緩めつつある。砂漠の中で、生存のため、人々は思い思いに出来ること、やるべき事にかかっている。「ただちに、戦時体制に移行！家族への連絡は10分で済ませろ！当分、ここで寝泊まりだ。」声を張り上げ、スタッフに発破をかけるDB。月夜のハンガーで、摂政DBの声が響く。戦時経済移行に伴う経済体制は、国家の財政を真綿のように締め上げる。キノウツン藩国損亡の危機は未然に防ぐ。そのために、ここに居る。でなければ、何のための摂政だろうと。そう心に決めながら、執務室へ足をすすめる。 摂政アシタは既に開発技官のところへ、藩王様も自らI=Dの開発に乗り出した。 政庁官僚達に取り囲まれ矢継ぎ早に報告を受ける。キノウツン藩国を支える優秀な吏族達。彼らは、藩国移転の憂き目を乗り越え、藩王様と藩国の為に身を粉にして働く整備兵でもある。キノウツン藩国の吏族の象徴が、スパナとペンである所以である。「にゃんにゃん共和国から、戦時体制移行に伴う、拠出物資の提出期限が迫っております」「あぁ、藩王様のサインは頂いた。問題ない」「ただ、資金と燃料の配分比の検討を始めませんと」「I=Dの開発申請依頼が・・・」「フィーブル藩国の最新の情報ですが・・・」「分かった、ブリーフィングルームにスタッフを集めろ、5分後に会議をスタートさせる」靴音を響かせDBは歩く。月明かりが政庁の廊下を照らす。この新天地の気候は猫には厳しい。けれど、戦の炎に比べればこの冷たさもまた、いいものだ。 ブリーフィングルームの扉をくぐり、会場を見渡す。藩王キノウ=ツン、摂政アシタスナオは、技師と共に兵器の開発のためにこの場にはいない。吏族の青狸、凝り人は既に座に着き書類の処理を始めている。働かない方の摂政って名前は、もう返上かなぁ。独りごちて、息を吸い、声を発する。 「I=D1号機アメショーの設計を藩王様自ら始められた！アシタ摂政についても同様である。今、我々が踏ん張らねば、キノウツン藩国の未来は潰える。藩王様のご努力を無に帰すわけにはいかん。当局上げて、全力でサポート体制に入れ！」普段、全く何もしない摂政のDBが声を上げる。「ハイル・ツンデーレ！」「明日のデレの為に！」声を上げる吏族の面々。月が輝く砂漠の夜は、寒さが厳しい。寒さを和らげるのは、ツン藩王様の笑顔に違いない。
戦闘状態へと突入した各国。それはキノウツン藩国でも例外ではない。基本的に輸入に頼っているこの国ではこのままだと食料がきつくなる。古来より食料が尽きて戦えた国など無い。大抵は滅びる摂政であるDeepBlueはこのような事態を憂慮し、食糧の緊急増産案を行う事にした海上−「という訳で我々は食料ゲッツのため、これより漁を行いたいと思う」「はい、軍曹殿。質問があるのですが」「二等メイド。質問を許す」「はあ、何ゆえ我々メイド候補生達がこのような事をしなければいけなイタタタタタタタタ」両の拳骨をこめかみに当ててぐりぐりと容赦なくウメボシされている。痛い痛いと泣く二等メイド「愚か者共が。現在貴様等の先達であるメイド達はこれから出撃せんとするもの達に少しでも平穏を与えんと働いているのだぞ」「はあ、それは判っておりますが」「これが今生の別れとなるかもしれないその時に、最後の食事を出すことすら出来ない。そんな状況を貴様等は見ていられるのならばメイドなど辞めてしまえ！」「申し訳ありません申し訳ありません」そんなメイド候補生の言葉はヒートアップする軍曹の耳には届いていない「軍曹、魚群探知機に反応がある。ぼちぼち網の引き上げを始めるぞ」「む、了解した船長。総員整列！」はっ、という声と共に各員ブーツの踵を鳴らして姿勢を正す「貴様等は何だ！」『メイドであります軍曹殿！』「そうだ、貴様等はメイドだ！貴様等は人様に仕えて奉仕するメイドだ、人であるなどおこがましいにも程がある！」『肝に命じております軍曹殿！』「よし、では船長の指導の下、作業に取り掛かれ！」『かしこまりました！』一糸乱れずに全員が一礼する「とは言ったものの…実は私生の魚とか触った事ないんだけど…」ジージーとリールから釣り糸が出て行く音の中、先ほどウメボシを喰らった赤毛メイドが隣の金髪メイドに呟いた「貴方、調理実習は受けたでしょう？」「いや、正しく言えば生の魚というか生きている魚をいじったことが…」呆れた、と話しかけられた金髪メイドは呟いた「私達はメイドなのよ？例えば活きのいい魚をご主人様が食べたいといわれたらどうするつもり？」「いやあそれは…どうしようねえ」あはは、と笑う赤毛メイド。竿の先が下に引っ張られている「ちょっと、貴方引いてるわよ」「あ、本当だ。ひぃぃぃぃぃぃっと！」竿を立てて一気にごぼう抜きにかかる。やがて水面から勢い良く黒い影が飛び出すと、空中で釣り糸が切れて何故かそのまま金髪メイドの胸元に入り込んだ「いひゃぁぁぁぁぁ！？」「うあ、メンゴメンゴ」「ご免で済んだら警察はいらないにゃぁぁぁぁ！？」ゴロゴロと金髪メイドが転がる。どうも変なところに入り込んだらしい「はっ早く取り出して頂戴！」「いや、さっきも言ったけどあたし生きてる魚をいじったことが」「何でもいいから早く！」えーしょうがないなあ、と自分のことを棚にあげて赤毛メイドはごそごそと手を入れた「柔らかいねえ、え、これじゃない。んじゃもうちょい奥か…おおうすべすべ」「ふざけてないで早く取ってちょうだい！」「ふざけているのは貴様等だろうが」は、と二人が後ろを向くと形相を鬼のようにした萬・スペード軍曹が立っている「貴様等何をふざけている！」「いえ軍曹、実は彼女の服の中に釣った獲物が入り込んでしまいましてそれを取り出している最中でして」「手間取りすぎだ」つかつかと揺れる船上を軍曹が歩いてきた「いえ、軍曹殿！軍曹殿のお手を煩わせるわけには！ていうかやめて下さい！」急いで逃げようとする金髪メイド。だが、進めない。下を見ると足が甲板から少し離れている「愚か者が。他者の手を煩わせるなどメイドにあってはならぬわ！」ギリギリギリ、と軍曹の釣竿が見事に金髪メイドの襟に針を引っ掛けて一本釣りを決めている「軍曹殿、質問してもいいでしょうか」「何だ」「釣られた私はこの後どうなるのでしょうか」「愚問だな」スパーン、と空中に金髪メイドと一匹の穴子と釣られたメイド服が舞うのだった〜本日の釣果〜波、高し。なれど穴子の大群に遭遇。結果的に大漁なり穴子 数百匹メイド候補 一名
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女の私は20代後半です。この掲示板の趣旨にも最適な女です。最近、私以外の他の女が証拠もなく、勝手なことばかり掲示板に書き捨てて行ったり、書き逃げたり、サクラだったりすることが多く、もっとひどい例としては、女のふりをしている男だったとかの実例もよくありますが、私はまじめな女である証拠があります。この証拠は北海道から沖縄まで全国どこにお住まいの方でも、絶対認めていただける自信があります!!あなたが18才以上なら、xw48k-dvda@memoad.jp あて空メール下さい。証拠の返信をごらんになられて、お気に召さない場合は無視していただければ、それ以上しつこくしませんので、御安心下さい。では、空メールお待ちしています。xw48k-dvda@memoad.jp
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文族作品ではないですが新しくスレ立てるのも何なのでここにイラストをおいて置きますhttp://w5.abcoroti.com/~trpg2maho/cgi-bin/up/source3/No_0132.jpg城壁のそばにある、乾燥に強い稲を栽培している水田。水はオアシスと海水を真水化して得ている。さらに、地下から粘土質の土を掘り出し、水田用の土として使用している。
大族の身分ではありますがお力になれればと食料増産ＳＳ書いてみました食糧増産云々というよりメイドさんＳＳになってますが(それも分かり難いですが)もし使えるようなら、添削して使ってやってくださいhttp://w5.abcoroti.com/~trpg2maho/cgi-bin/up/source3/No_0135.rtfメイド学校の生徒が田植えしているとうそれだけのＳＳです
空気SSの再掲しますhttp://w5.abcoroti.com/~trpg2maho/cgi-bin/up/source3/No_0137.txt
「……キノウツン国の国土は大半を砂漠が占めている。なぜ、我が藩国はこのような場所に位置しているのだろうか。かつて、旧ツン藩の初代藩王は長き流浪の旅の末に、オアシスを拠点として国の礎を築いた、とされている。しかし、ある伝説では異なる理由が述べられている。その伝説では、初代藩王は某国の貴族だったのだが、都での勢力争いに破れ落ち延びた、という。都を落ち延びた彼と彼の一族は、新たな安息の地を求めて砂漠をさまよった。しかし、旅慣れぬ貴族の身。そのうえ、慌しい旅立ちのため準備も不十分であった。一行から、水はともかく食料の蓄えが尽きようとしていた。皮肉なことに、砂漠を行くことになった時に水を確保することは出来たが、旅の疲れがこのような所で祟ったのか、食料まで手配することに頭が回らなかったのだという。また、別の説では財が底を尽きかけていた、ともそこまで砂漠に深入りするつもりではなかった、ともされているが真偽は不明だ。当時のこの地は、交易路など存在せず、有史以来未だ人の踏み入れぬ地が数多く存在する秘境の一つとして数えられていた。現在でも、砂漠で命を落とす国民や商人は後を絶たないのだ。当然ながら地図などは存在するはずもなく、彼らを導くのは街で囁かれる伝説と希望のみであった。もしかすると、それは絶望に由来する死へのマラソンだったのかも知れない。彼らは前進した。昼は体力を温存しながら、夜には力強く前進した。来る日も来る日も前へと進み続けた。彼らに後戻りという選択はなかったのだ。一行のほとんどが徒歩であった、という。老いた母を負う息子がおり、幼ない弟の手を引く姉の姿があり、しかし、一人がくずおれ、誰かが彼を助け、懸命に進み続けたのである。そして、ついに進むことすら叶わなくなる日が訪れた。一人倒れ、二人が脱落し、ついに藩王は自らが一人で歩いているのに気がついたという。彼は昔の暮らしのことを思い、昔から親しくしており今回の旅の道連れともなった友たちのことを思い、愛しい家族のことを思い、独り倒れ伏し慟哭した。彼は最期に、彼ら自分の道連れとして死んだ者たちが無事に天へ昇れるよう神に祈った。それはいかなる偶然か僥倖か。あるいは、彼らのそのような姿に祈りを聞き届けた神が憐憫を覚えたのか。地に伏した藩王は、自らの口の中に入る土が不思議と不快ではないのに気が付いた。元来好奇心が旺盛であった(勢力争いに負けたのもそれが原因だった、という)彼は今一度起き直ると、辺りの土をすくうと口へ運んだ。味があるわけではないが、やはり不快ではない。むしろ何日も食料を口にしていない身体に、長らく忘れていた力が蘇えるような錯覚さえ覚えたのだ。そして、その蘇える力は彼の心にまで及んだ。再び立ち上がった彼は、その土を集めてすぐ近くにいるはずの仲間にこの驚くべき食料を分け与えるために歩き出した……この伝説は特に砂漠に近い地方でよく聞かれる。変形として道に迷った旅人が倒れた場所がその不思議な土だった、というバリエーションも存在するようだ。オカルト研究者の間では、この土は旧約聖書出エジプト記において人々の命を救った神の食べ物、マナ(Manna、マンナとも)ではないか、というまことしやかな噂が存在するようである。彼らの間では、土はいくら食べても月夜を過ぎると再び採取できるようになった、完全に無味無臭で味を付けることはできなかった、水とこれのみで生活することで本来の力を超える力を発揮することができる、など様々な特徴が述べられている。また、別の研究者は、この不思議な土は平行植物の一種であり、先に述べた特徴もそちらの方面から全て説明することができる、と主張しているがこの説が受け入れられたことはない……キノウツン国国立大学所蔵 砂漠の伝説と神話〜砂に埋もれた無名都市〜より抜粋」私は本を閉じた。「結局、この"不思議な土"ってのは何なんだろうね？」「最近の研究によると、砂漠に住む昆虫や植物なんかの死骸が、砂漠という特殊な条件に放置されたことによって砂のように見える結晶に変化する、ということだ」我々は、一週間程前からこうして砂漠に入り、この土を集めては国へ送っている。戦争なのだ。打てる手は打っておく、ということなのだろうか。「しかしなぁ、いくら緊急事態に備えるためとはいえ、こんな物を食料として集めるのはどうなんだろうな……」「栄養価は高いし雑菌もいない。加工せずに食べられて長期の保存も可能。これ以上はないじゃないか」「……そんなことを言っているんじゃない。味だよ、味」「……ああ」先程述べたように、こいつはほぼ完璧な食料であるが一つだけ欠点がある。完全に無味無臭なのだ。食事が味気なくってしょうがない「いいんじゃないか？そんなにたくさん食べなくていいんだから丁度いいだろう。上手い飯を食ってる軍は弱い、って俗説もあるしな」そんな設定のショートショートを誰か書いてたよなぁ、と思ったが黙っておいた。「ふうん……それで、何か目印になりそうなものは見付かったのかい？」「いや、見渡す限り、気持ちいいくらいに砂漠が広がっている」……そして、現在の我々にとっての問題はこれだ。ついつい風で移動する採集地を深追いしすぎて、我々二人は道に迷ってしまったのである。「ううん、今こそ初代藩王の偉大さが身にしみて理解できる、っていうものだな」「まあ、捜索隊も出してくれるだろうしそれこそ食料は埋もれる程ある。死ぬことはないさ」「……今に見るのも嫌になるだろうけどな」「……ああ。おい、アレは何だ？」「町のようにも見えるが……寂れてるな。人がいるようには見えないぞ」「ここでぐずぐずしていても埒が開かない。行ってみないか」「まあ、そこまで言うのならしょうがない。じゃあ、陽の低いうちに移動しよう」・・・二名の行方不明が明らかになった日から、我々は捜索隊として二週間ほど拠点を中心に各方面へ隊員を派遣した。しかし、成果は上がらず次第に帰還の期限も近付いてきた。そんなある日、ついに彼らの荷物の一部を発見。回収された。荷物には一冊の手帳があり、そこに記された足跡から我々は彼らに何が起きたのかを理解した。そして、採集された"土"を持って戻ったのだ。二人は、恐らく砂塵の向こう側にある、という伝説の「無名都市」を発見、果敢にもと言うべきか無謀にもと言うべきか、内部の探索に乗り出したのだろう。二人がそこで何を見出したのか。手記にもほのめかすようにしか記述されていないが、それでも私はこれを読んだことを後悔している。最後のページを引用することで、報告書のまとめとしたい。「私はついに独りになってしまった。おそらく、彼はもう無事ではいるまい。私もすぐにその後を追うことになるだろう。彼と私は、ヤツらに食われてしまうのか。それとも、地下のあの不可思議な装置の中で考えるのもおぞましい実験に供されるのか。ともあれ、私の命はもう長くはない。ああ、あの時に廃墟へ行ってみよう、という彼の言葉を無視していれば、そして、都市のあの扉を私が見付けなければ、このようなことは起こらなかったろうに。いや、もう悔やんでもしかたない。私は最後の抵抗をしなくてはいけないのだ。先程から、この辺りを何者かが探っている音がする……足音だ。近付いてくる。そして、話し声……いや、あの調子は独り言だろうか。待て。あの声は、あの口調は聞いたことがある！そう、ついさっきまで二人きりだったのだから聞き間違えるわけがない。無事だったのか？しかし何と言っているかは聞き取れない。こちらから声をかけてみるべきか……おい！返事をしてくれ！どうしたんだ！……なんだ。あの影は。人類という造形を悪意を持ってコピーしたかのような、しかし、あの引き摺るような音は何だ？我らは何を呼び覚ましてしまったのだろうか。今からその償いをこの身を以ってすることになるのだろうか…… あの怪物が我が友の声を出している？月がその不吉な顔を見せた……ああ、あの顔は！そうか畜生！つまりそういうことだったの(手帳の最後のページはここで途切れている。後のページには、まるで初めてペンを持って書き殴ったような意味の取れない記号のようなものが続いている)」
ヤギと羊の放牧 乾燥した大地で食糧を大量に生産するのは容易ではない。キノウツン藩国ではさまざまな工夫を凝らし、米などを作っているが、やはり手間がかかってしまう。そこで、土地に合った農作物や家畜の飼育を行い、手軽に食糧を増産しようということになった。食用サボテン、放牧、唐辛子などがそれであるが、ここではヤギや羊の放牧について紹介しよう。放牧が行われているのは場所はオアシスと廃墟の周辺だ。 家畜の放牧を行うのに重要なものは、餌である。餌となる牧草は乾燥した大地でも育つ羊柴という植物を利用している。この草は成長が早く、また必須アミノ酸含有量が多く栄養価も高いので牧草としての価値が高い。ついでに砂漠の緑地効果もあるということで、キノウツン藩国内ではあちこちに見られる草である。 飼育したヤギや羊の肉は、国民の貴重なたんぱく源となっており藩国の名物であるメイド喫茶などでも見かけるだろう。（糞は肥料、羊毛も衣類製造などに活用しているが、それはまた別の話）さらに、ヤギ乳や羊乳は飲むだけでなくさまざまな食品に加工されている。牧草地帯に隣接する地域では加工工場が建設され、国民の雇用にも貢献しているのだ。農林水産省の関係者の話では、チーズなどの乳製品は長期保存が可能なため緊急事態に備えて相当数備蓄されているとのことだ。緊急事態。それは今回の食料増産命令ような事態のことである。〜とある放牧地でのこと〜「全員集まってくれ。藩王様から勅令が出た」現場責任者のマトンが従業員を呼び集める。従業員はいったん作業をやめ、ぞろぞろと集まってくる。「勅令とはまた穏やかじゃないですねえ。もしかしてあれのせいですか？」まだ若い女性従業員のラムが尋ねる。「そうだ。この前国内を通っていったバカでかい船と戦うってんで食料増産命令が出た。」一同ため息が漏れる。あの時は国中大騒ぎになった。幸い巨大船は藩国を通過していったため大した被害は出なかったのだが…「しばらくは休み無しですねえ。明日はオアシスで水遊びでもしようかと思ってたんですけど」残念そうにラムが呟く。水遊びは砂漠の国の国民にとっては至高の娯楽になのだ。「戦争が終わるまで我慢しな。それに今は国の存亡の危機なんだ。俺たちの働きで前線の兵士を飢えさせないようにしないと。」マトンの存亡の危機という言葉に、周囲の雰囲気が変わる。国が滅べば休みどころではない。「明日から人員も増強されて増産に当たる。みんな気合入れていけ！」『おう！』危機感をあおって士気を盛り上げる。キノウツン国民は砂漠という過酷な環境で生活しているため、結束力は強い方なのだ。「おう、ゴート。お前は飼育班の指揮をとれ。」「わっかりました！」中年のおっさんが威勢良く返事を返す。「シープ、お前は牧草の種やら苗木を買い付けて来い。出来るだけ安く、大量にな。」「は〜い。なんだか無茶言われてるような気がしますけど頑張りますー。」若いにーちゃんが暢気な感じで返事を返す。「ラム、お前さんは明日来る人員のリストを作ってまとめておいてくれ。」「はい。」若いねーちゃんがごく普通に返事を返す。「で、その人たちの部署はどうするんです？」「あー……お前が適当に決めておいてくれ。」ラムを信用にして任せているのか、単にいい加減なのか。「はぁ。わかりました」いつものことなのか特に動じることもなく了承するラムさん。「じゃあ俺は加工工場の方を見たあとは備蓄してあるチーズとかの搬出作業を手配せにゃならんから、あとは頼むぜ」『はーい！』全員、持ち場に戻り作業を再開。マトンは加工工場へと走っていった。キノウツン藩国放牧地の忙しい日々が始まる…
とりあえずこんな感じえーキノウツン藩国の一団が近づいてまいりましたまず見えてまいりましたのは今回分隊長として出撃しておりましたアシタスナオ摂政と整備士として出撃していたDeepBlue、青狸、凝り人、ＶＺＡの吏族であります通常業務において自国のみでなく他国のチェックも兼ねており、もっとも忙しいと思われる吏族と戦闘メンバーを支える整備士更に今回の戦闘では歩兵もやると言うマルチ振りを発揮していた模様です本日は正装として吏族服をチョイスした模様ですが、これからも頑張っていただきたいところですね続いて見えてきましたのは猫士の模様です髭をいじりつつ歩いてくるのはメイド服を装着した『ムーディ』はるのようです国内においては所有アイテムによって『いざと言う時頼りになるけど一緒には働きたくない人（女性編）』において堂々一位を獲得されたらしいですが、本人はどこ吹く風服装以外は見事にダンディズム溢れる態度ですその後ろには歩兵として出撃した猫士を引き連れてＫＡＴＺＥが歩いております非公式発言としまして「これでツン様にお目通りが叶う」と喜んでいた模様です。よかったですねどうやら最後の集団はパイロット及びコパイロットのようですね庄津Ｋ太郎、高原鋼一郎、小宇宙、船橋とまずはテストパイロットや偵察隊を勤めた面々が歩いてきます続いて今回Ｉ＝Ｄ操縦を行った宇木、彩雨、空気。更にその後ろにはコパイロットを勤めたわびすけ、せい、稲垣、浅田、ＲＦ１１、木材の姿も見えます何故か男性パイロット達はバリバリの特攻服に身を包んでおり、その後ろには女性陣のメイド服が見え隠れしておりますこちらに提出されました資料によるとどうやらメイド喫茶の店舗ごとの衣装を借りてきたそうで、色々なバリエーションに身を包んでいますね一部のパイロットは付け耳を借りてきて着けています。普段は出来ない事に挑戦しているのでしょうかえーなお藩王であるキノウ=ツン伯爵夫人ですが本日はパレードを欠席との事でして、代わりにコメントを戴いております『共和国の勝利おめでとうございます。本日は都合によりパレードを欠席しまして申し訳ありません。皆様のこれからのご活躍を心よりお祈りしております キノウ=ツン』だそうです。あ、『私信：浅田帰ってきたら覚えてらっしゃい』…うーんどういう意味かはわかりませんが恐ろしい執念を感じますさて藩王不在を受けての事でしょうか、パレード車の一台にキノウ=ツン藩王の等身大人形が乗っておりますこちらの資料によりますとどうやら藩王付きメイドの浅田お手製の物だそうです。可愛らしいですねなお、この面子を配した彼等の先の戦闘における活躍ですが手元にあります報告書によりますと、歩兵隊は丘陵展開部隊として要塞への砲撃及び内部突撃を行い、Ｉ＝Ｄ隊は予備戦力として後方支援を担当したとの事です一部の搭乗兵からは『秘密のまま終わった秘密兵器』という自虐的な発言も見られますがそんなことは無いので気にせず頑張ってくださいキノウツン藩国は北海道を魂の故郷とする中堅国であり、主要産業は国の主要施設総てに設置されているというメイド喫茶国民は大抵の人物がおおらかな気質であり、移民などを快く受け入れる土壌となっているそうです
メイド喫茶レポート（お昼時のテレビが、どのチャンネルも突然砂嵐に。しばらくして、全ての局で同じ放送が始まる）えー、ごほんごほん、てすてす。只今よりこの放送は我々キノウツン藩国メイド喫茶クラブが占拠した。繰り返す。この放送は我々キノウツン藩国メイド喫茶クラブが占拠した。数々の先人たちよ、私はようやくここまで来たよ。それでははじめよう。我は数々の同志に請われて、これより始まるメイド喫茶レポートを放送する。（ドアの外からテレビ局員の騒ぎが聞こえるがスルー）ファイル＃０ ―プロジェクト始動―「そうだ、メイド喫茶へ行こう」 顔をボコボコにした摂政の青狸がそうつぶやいた瞬間。 政庁の空気が変わった。「……聞き捨てならないな」 ゆらりと立ち上がったのは、近くの席で仕事をしていたＶＺＡ。「もうじき給料日だしね……」 続いて凝り人がゆっくりと立ち上がると、三人はお互いの顔を見て不適に笑う。 そうして、静かにプロジェクトが始まった。 どうでもいいけど青狸、映画であんなことしたその顔の痛みをもう忘れたのかお前。ファイル＃１ ―絹の道―１ でこぼこトリオ出撃 給料袋を右手に携えた三人は、仕事が終わると他の吏族の誘いも断ってタクシーに乗り込んだ。 右手の袋のおかげで、今はタクシーだって使えてしまうのだ。「まずはどこに行こうか」「よ、幼女がいるところでどうよ！」「はいはいロリロリ」 いつもどおりにVZAを受け流すと、青狸はにやりと笑って言う。「今日行くところは決まってるんだ」 青狸は子供に似合わない黒い笑みを浮かべると、運転手に店の名前を告げた。２ 道程 窓の外の風景は次第に市街地からはなれ、国外の方向へ向かっていく。「おい、青狸、どこへ行くつもりなんだ……？」 不安そうに聞く凝り人。その横ではVZAが幼女が居るといいなぁ、といっているが、誰も聞いていない。 運転手が大人一人子供二人のこの一行をどう見ているかはわからないが、どう見ても怪しい一行である。「給料日で仕事明けの僕たちは癒されるべきだと思うんだ。だからね、ほら、見えてきた」 道の向こうに見えてきたのは、交易路の始点。ツン国の出入り口である。「今日のお店の名前は絹の道。旅人たちを癒すお店だよ」
◆デザインこの機体のデザインは、ツン藩王自らが担当している。デザインコンセプトは「兎は飛ぶ」。なんともまぁ、な一文だ。だが、この兎というデザイン。パイロットたちにとって大きな意味を持つことになる。かつてトーテミズムにおいて持たれていた「兎は幸運の象徴である」というイメージ。特に、大きな耳や、目を開けて生まれることによってイメージされた、生き延びるために周りによく気づく、つまり生存の象徴。験を担ぐことの多い軍人にとって、これは大きな心の安らぎとなったのだ。この機体の特徴と呼べる点は、主に三点。まず第一に頭部に存在する耳状大型レーダーの存在である。アメショーでは発揮しきれない、キノウツン国のパイロットの特性である感覚の値の強さを生かすために藩王の取った苦肉の策が、通常パイロットの処理の限界地を越えた情報入力、つまりレーダーの精密化であった。アメショーに存在するアンテナよりさらに大型のレーダーを備え付けることによって、表示される情報量を増加させたのである。ドラッグにより人の限界を超えたパイロットにしか扱いきれない情報。これによって、キノウツン藩国のパイロットの遠距離における戦闘はほぼ無敵になった、といっても差し支えないだろう。二点目の特徴として、顔面上部を覆う大型のフェイスガードが上げられる。キノウツン藩王と国民は、正直可愛い女の子が大好きである。それを禁止されるくらいならこんなゲーム止めてやんよ。つまんね。というぐらいには、可愛さに心血を注いでいた。しかしそこで下された命令。「女の子は不許可です」。キノウツン全国民は絶望した。かなり絶望した。が、三秒で立ち直った。「まぁあれだよね。人が乗れればいいんだよね」これである。人が乗れる、という要綱を満たすためとしては、１：搭乗が可能である２：人を乗せるものとしての安全性の二点を満たす必要がある。前者については、この機体は背面からのコックピット搭乗が可能であることより満たされた。後者を満たすための策が、このフェイスガードだ。センサー類の集まっている頭部の装甲を強化し、防衛することによって、戦闘中の敵攻撃によるセンサー破壊によっての盲目化を防いだのである。このマスクの下の素顔。それを知るのは、整備員の中でも一握りと、パイロットのみ。「自身の妻とも呼ぶべき機体のかわいい所は、俺だけ知っていればいいのさ」とは、キノウツン空軍のある隊員の言である。それぞれのパイロットは、彼女たちの顔や髪型を自分好みにアレンジしている、という噂。そしてコックピット部位の装甲については、他所に比べて装甲を増すことによって、安全性を確保している。なお、藩王自身は「マスクの下は美少女とか良くない？」というだけのデザインだった、という説があるが、真偽は不明であるそして最後の三点目。これが一番大きい。この機体、アメショーとは異なる空戦機なのだ。にゃんにゃん共和国という国の機体であるアメショー。確かに凡機であるがゆえに、かなり堅実な出来の良いつくりになっている。だがそれ故に、「不利な戦況の打破」という点において、効果を発揮しきれないのである。それに頭を悩ませていたツン国は一つの結論を出す。それが航空戦力の保持である。これまでキャットバスケットしか航空戦力を保持しなかった故に、必然的に限られていた戦術的面において、これは多大な効果を発揮した。「空中からの爆撃の後、アメショーによる掃討」など、自軍の被害を抑えた戦闘が出来るようになったのだ。なお、機体スペックは以下の通り。乗員：パイロット一名、猫士２名全高：22.30ｍ（耳含む）全幅：15.53ｍ翼面積：65.2ｍ＾2空虚重量：23,300ｋｇ動力：キノウツン設計ＴＤ−36Ｂ Ａ/Ｂ付きターボエンジン×4推力（Ａ/Ｂ）：13,200ｋｇｆ×4最大速度：Ａ/Ｂオンでマッハ4.5固定武装：30mm機関銃×2脚部レーザーブレード×大2、小2
開発経緯かつてにゃんにゃん共和国全軍を挙げての戦闘となった浮遊要塞戦（イベント18 はじめての戦争）を覚えている方も多いだろう。彼の要塞が初めて発見されたのはキノウツン藩国であった。当時、別任務で砂漠地帯へと乗り出していた国民2名が目視において敵要塞を発見。しかし、原因不明の電波障害によって交信が途絶。以降のアクションを起こすのにわずかな、だが重大なラグを生じさせる事となったこの事態を教訓として、キノウツン藩国上層部では強行偵察や空戦をこなせる独自Ｉ＝Ｄを作成することを決定した。自由に空を飛び、危険を察知する目であり耳でありそして情報を運んでくる翼を。計画名『ＷｏＱ計画』（Ｗｉｎｇ ｏｆ Ｑｕｅｅｎ 女王の翼）摂政、アシタスナオの名の下にこうして独自Ｉ＝Ｄ製作への戦いは始まったのである。計画に際して集められた主だったメンバーは以下の面々である。外装デザイナー キノウ＝ツン責任者 アシタスナオ試験搭乗者 庄津Ｋ太郎内部設計及び開発 整備工場有志 藩王であるキノウ＝ツンの外装デザインが上がるまでの間（詳しくは後述の項を参照）現場がまず取り掛かったのは現在共和国において使用されているアメショーを元とした試作機の開発であった。最初にあーだこーだと現場と設計のセンサーの類が酷く悪いため、随伴歩兵による偵察を前提とするアメショーでは強行偵察はほぼ無理といっていいものであったから、まあこれは当然の処置である。首から上に集中しているセンサーを改良、かつ増強する事となった。結果、頭部部分は原型のものよりも外部にセンサーを突出させる事と光学センサーに外付け補助システムをつけることで解決した。これにより、従来のアメショーより（とりあえずは）高度な探索力を備える事に成功したのである。続いて試作２号機では同時に試作飛行用ブースターのテストを兼ねてノズルなどを増設した機動性重視型となった。だがテスト時にあまりにも燃料を食いすぎた上、操縦できなくなってオアシスの一つに突っ込む羽目になった。この際のデータを元として、空中での姿勢制御方法として足の裏に小型推進用ノズルを装着するのみに留まる事となった。同時にブースターの飛行方法もただ推力をつけて飛ばすだけでは不可能であるとわかった為、何で飛ばすかを考える事になる。試作３号機は先の試作機において得られたデータを元に着地時のショック吸収や空気抵抗を考えて関節などの駆動系を強化。更に飛行時のことを考え、操縦席の機構も一部改修を施された（後述）。このデータにより、本体部分の改修や設計はほぼ期待通りの数値を出せたため、内部機構の改修は完了することになる。数機の試作設計と飛行用のブースター設計は進んでいたが、藩王からのデザインが届いて現場はいろんな意味で発狂した。明らかにアメショーのラインを流用して作るのを前提とした現状のパーツではかなり満たせない外装部分が多かったからである。（それまでの案ではアメショーのフレームを50％近く流用して作る予定だった）急遽フレームから改良設計案を練り直すこととなった。基本構造案としてわずかに全長を狭め、更に装甲部分を少しでも軽量化する事で最大のコンセプトである機動性の確保へと動いた。一方で外装部分のフォルムを上手く合わせる為にかつてアメショーのコンベンションで提出された企画のデータを参考としてフレームを再設計。ようやくデザインとのマッチングに至った。（この際に出所不明の設計データが使われたとの噂もあるが真偽の程は定かではない）外見は藩王によってデザインされ、内部機構は設計者達の頑張りで当初の予想よりは大分いいものが出来上がった。強化されたセンサーに加え、バイザー部分を外付けする事で光学センサーの補助として熱源探知を積む事に成功。センサー増加による過熱を防ぐため、デザインで書かれている髪を利用して排熱用のラインとすることで連続稼動を可能とした。装甲を大分犠牲とした事で機動性を確保。高機動性も確保している（代償として燃料をドカ食いすることになったが）飛行用を主としたブースターも完成し、取り付けられている（ただし本体での飛行実験は行われていない）とにもかくにもこうして新型Ｉ＝Ｄ『うささん』は完成の運びとなった。キノウツンの目であり耳であり翼であるうささんは新たなる力として守ってくれるだろう。翼は風に乗り、風は翼に乗ることを願う…飛行能力さて今回の新型機体の最大の難所が飛行能力であった。短時間ならまだしも長時間の飛行を必要とするためにどういう飛行方法を取るべきなのかにまず設計者達は頭を悩ませた。まあ当然のことでただ飛ばすだけならば人型である必要などどこにもなく、普通に飛行機作った方が早いからである。だが、国家方針として可愛い方がいい、という考えがある以上その線は取ることが出来ない。故に彼等は考える。可愛い機体を空へと飛ばす方法を。まず考えられた案はプロペラをつけて空を飛ばす物であった。アメショー用の即応セットのようにエンジンとプロペラを背負わせて飛ばすというものである。方法としてはヘリコプターに近いものだったが、安定性と機動性の面からこの案は却下される事になった。続いて出た案は巨大な気球を背負って飛ぶという物だった。いつの時代の話なのだろう。その他にはグライダー、蝋で固めた鳥の羽、人力飛行等等…どう見てもろくでもない案しか出てこない。最終的には誰かが「普通にブースター着用で良くないか？」と言ったのでそれに決まった。あまりにも皆疲れていたのだろう。まず最初に試作されたのはロケット型のものである。ロケットを２門くっつけただけのシンプルな作りだった。もうとりあえず飛ばすことだけを考えて作られた酷いものだった。本体の試作第２号機にくくりつけられて行われたテストではその強力すぎる推力で機体を制御することが出来ず、そのままオアシスに突き刺さる羽目になった。この教訓からまず機体で試さずブースター単体で飛ばそう、という意見が現場から出た。大分この時点で危険な予感がしていなくも無い。第２号は普通にジェットで飛ばしてみようということになった。無線で遠隔操縦しながら単体でテストを試みた結果、何故か交易路脇で不調を起こしてそのまま砂漠へと墜落した。第３号はこの失敗を考慮して設計そのものを考慮。外部取り付け式のブースターとして大分いい感じには作れたがいかんぜん大きすぎたために機体とのバランスが取れず、断念する事になる。設計部は煮詰まっていた。デザインが上がってこない事もあったがこれほどまでにうまく行かないとは思いもよらなかったのである。明らかに設計ミスであった。だが男達は諦めなかった。何が悔しいってここで引き下がるほど今以上に惨めな事はない。頑張れ俺ら。頑張ればいけるぜ俺ら。その言葉が彼等を支える最後の一線だった。連日連夜の会議と作業が続き、ついに第４号が完成した。がっしょんがっしょんと工場のラインを一本拝借して作り上げたそれは無骨だったが男達の総てが注ぎ込まれている夢の翼であった。さっそく砂避けのゴーグルやマントをつけた彼等は砂漠で実験を始める。朝どころか真っ昼間のその日は猛烈に暑かったが、無事試験は成功した。喜びながら帰った彼等を待っていたのは藩王からデザインが届いたとの知らせだった。壮絶にぶっ倒れた後、泣きながら外装を直して更に藩王デザインによるエンジンへと換装する彼等の姿はかなり悲壮感漂っていたという。最終的にターボエンジン方式となった翼は無事、うささんの翼として使われることになる。そこにはある男達のドラマが秘められているが大体においてそれが明かされることは…無い。
農業地帯での爆発。それは、キノウツンの国民にとっては寝耳に水であった。先日自分たちがしたばかりの奇襲を、他人にされたのである。まるで意趣返しのようで、苛立つやらなにやら大騒ぎだ。そんな中、キノウツン藩国藩王キノウ＝ツンは、政庁において聯合の調印式を行っていた。そんな中へ飛び込んできたのは政庁勤めのメイドの一人。「ツン様。事件です！国境付近、農業地帯で爆発！避け藩国からは、白のオーマを観測したとの連絡が」と、其処まで叫んだ所で気づく。其処に居るのは、我が国の首脳陣と、それに加えて他国の首脳陣。そんな中での今の慌てた発言は、まさに国の恥を晒すようなものであった。「……失礼いたしました」青ざめるメイド。（あぁ、せっかくの政庁勤めも、またメイド喫茶からやり直し……）だが、何時までたっても連れ出される気配が無い。恐る恐る目を前へ向けると、一切の問題は無かったかのように調印式は続いている。（これは……？）疑問に思ったメイドの手を、引っ張る人物が居た。浅田である。「浅田様、一体……」「大丈夫ですから。静かにしていなさい」「はい……」浅田の隣に並んで立つメイド。そうこうしているうちに、調印式は進み、後はサインだけを残す所となる。なにやらの会話の後、キノウ＝ツンが先にサインし、アルトピャーノ藩王がサインを終わらせた。調印式の終了である。「さぁ、続きをお話なさい」小声で言う浅田に背を軽く押され、一歩前に出るメイド。不安から周りを見渡すと、その場に居た一同がこちらに視線を向けていた。（あぁ、足が震えている。なんて無様なんだろう）「……どうしたの？」正面に立っているキノウツンが、こちらを見たままで聞いてくる。（うぅ、でもこれ以上ツン様をお待たせするわけには……ここまで来たら、メイドは度胸！）「はい。国境付近、農業地帯で爆発。白オーマとの情報が入っております。そのため、偵察隊が出せず、軍は膠着状態です」震える足を理性で押さえ、大きな声で報告するメイド。一瞬の静寂の後、アルトピャーノ藩王の口から、静かに言葉が出る。「ツン王。なにやら無粋な輩が居るようですね」「えぇ。申し訳ございません、沢邑王。せっかくの調印式ですのに」こんなときでも悠然としている沢邑と、高貴なツン。「少々退席をお許し戴けません？無作法者にお帰り頂く為の」「いや、レディだけに行かせるのは忍びない。もし宜しければ、エスコートさせていただけますか？」「あら、嬉しい。私でよければ喜んで」そういうと、二人は手を固く結んだ後、お互いの部下に命令を出し、歩き始めた。キノウツン・アルトピャーノ連合軍の発足である。一同が出て行った後の部屋で、緊張の糸が切れたメイドが一人腰を抜かしていたのは、誰も知らないお話である。さて、この連合軍であるが、アルトピャーノ藩国は、今回の調印式に多数の国民を連れてきていた。聯合を結ぶことになった両国家間の、技術交流のためである。調印が終われば、即座に始める予定であった。軍事大国であるキノウツンの技術を整備士たちは学び、砂漠特有の病状について医師たちは学び、そして帰還する予定であったのだ。もちろんその後には、今度はキノウツンの国民がアルトピャーノへ行き、かの国の特産である食物の生産についての技術指導を受けることになる。まさに、現在キノウツンという国においては、戦争というものに対して万全の体制がとられていたといっても過言ではない。そうして攻撃と燃料をキノウツンが。サポートと食料をアルトピャーノが。足りない所を補い合った、理想的な軍が誕生した。
とりあえず書いてみた。チェックとか突込みとかあったら宜しくお願いしますあとはると青狸は勝手に名前借りました。問題あったら変えますhttp://w5.abcoroti.com/~trpg2maho/cgi-bin/up/source3/No_0213.txt
歩兵用の文章を無理やり捻り出してみたので誰も書かなかった場合の予備として置いときます。http://w5.abcoroti.com/~trpg2maho/cgi-bin/up/source3/No_0214.txt
燃料生産地文書きました。が、体調不良のため、出来はいまいちです。使用するかどうかは判断任せます。http://w5.abcoroti.com/~trpg2maho/cgi-bin/up/source3/No_0216.txt今晩はこれから出かけますので、何かあれば携帯のほうにどうぞ
http://w5.abcoroti.com/~trpg2maho/cgi-bin/up/source3/No_0215.txt現状こんな感じです。イラストとの兼ね合いで修正予定
ぴとん、ぴとん、と一滴一滴黒い雫が垂れているライゲツ油を精錬する時に出る不純物の塊である精錬所の施設で一滴一滴落ちる雫を見ながらキノウ=ツンは考えていた長く続くこの戦争で多くの民衆が疲弊している。表面上は皆明るく振舞っていてもいつ終わるとも判らない戦いへの緊張が心や体を蝕んでいる何故、誰も彼も戦いを続けるのだろう。どうして戦いは終わらないのだろう。この油田から産出される燃料だって本来なら燃料の不足している地域を救えるのに、まず戦闘のために使わなければなければならない戦うから終わらないのか、終わらせるために戦うのではいけないのか。答えの出ない問答がぐるぐると頭の中を回る。そして皮肉な事に、彼女自身キノウツン藩国を率いて国民を守るために戦っている身なのだ。一体オーマだとか地べた摺りだとかに何の違いがあるのだろう。この油みたいに最初は同じものだったのかもしれないのに。ふと、壁にかかっている時計を見る。もうすぐここを出て政庁に戻らなければならない時間だ。浅田やアシタが仕事を抱えて待っているだろう。キノウ=ツンは椅子から立ち上がると振り返らずに部屋を出て行った雫は落ち続ける。時間も止まることなく動いていく
文族じゃないけれど。http://nimaho.hp.infoseek.co.jp/kinou/fla.htmflash修正したので置いておきます。直すところがあれば言ってください。