asahi.comより引用です。
内戦以来の混乱で破壊され尽くしたと思われたアフガニスタンの世界遺産バーミヤン仏教遺跡の石窟(せっくつ)から、「大唐西域記」で知られる中国僧・玄奘(げんじょう)(三蔵法師)の訪問と重なる7世紀ごろに使われたとみられる仏典の断片数十点を、日本の研究者らが見つけた。他の石窟にもなお多く埋もれている期待が出てきた。
文化財の保護修復などを手がける独立行政法人、東京文化財研究所を中心に7月中旬から8月上旬にかけて行われた「第1次バーミヤン遺跡保存事業」で確認された。同研究所の山内和也主任研究官らが清掃作業中に、床面の溝にたまったゴミの中から見つけた。最大の断片は5センチ×2センチほど。いずれも樹皮に墨で文字が書かれていた。
このうち5点の断簡の映像を調べた佛教大の松田和信教授(仏教学)によれば、文字は7世紀ごろアフガニスタンなどで使われた「ギルギット・バーミヤン第1型文字」で、言語はサンスクリット語(梵(ぼん)語)。「善」や「実体」「ヨガの結果」などが判読できるという。
1930年にフランスの調査隊が、今回の出土地の近くで同じ文字の断片類を発見したが、現在その所在は不明。90年代に難民が同石窟から持ち出したとされる1万点以上の仏教写本が英国の古美術市場で売買され、ノルウェーの実業家が購入したが、発見場所などははっきりしていない。
調査に参加した東文研客員研究員の前田耕作和光大名誉教授(アジア文化史)は「特定の石窟との関係が明確な仏典が発見されたのは画期的だ。壁画様式や石窟構造が中心だった研究に文字資料が加わることで、巨大な大仏を造り、周辺地域よりも仏教信仰が長く続く独自の仏教文化を花開かせたバーミヤンの信仰の様子を解明する手がかりを得たといえる」と話している。 (09/04 21:17)
新しく仏典が発見されたことは喜ばしいのですが、私としては、フランスの調査隊や難民、ノルウェーの実業家その他の資本家たちの軽薄な趣味によって、貴重な資料が多数散逸してしまったことがすごく残念です。
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