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アメリカのTPP反対 Josef 16/9/21(水) 19:37
  イギリス・メイ首相の演説 Josef 16/10/13(木) 17:43
   アメリカ大統領選挙 Josef 16/11/14(月) 19:05
   Re(1):アメリカ大統領選挙(藤原正彦氏のエッセイ) Josef 16/11/21(月) 16:41

アメリカのTPP反対
 Josef  - 16/9/21(水) 19:37 -

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   今さらですが、アメリカ大統領選挙の民主党候補クリントン氏も保守党候補トランプ氏もTPPに反対という立場を表明しているのは面白い現象です。

TPPはグローバリズムの一つですから、両陣営が反対に回らざるをえないということは、グローバリズムに対して反対したり、反対とまではいかなくても懐疑的なアメリカ国民が増えていることを示しているでしょう。EU離脱を選択したイギリス国民の判断とも通底しており、まずは喜ばしいことです。

もとよりグローバリズムで得をするのはグローバリストであって、一般国民の大多数は不当に奪われる立場なのだから、理屈からいえば反対が多いのが当然なのです。ところが実際にはそうではない(なかった)のは、文字通り「地球主義」という言葉、そしてこの言葉がまとう「自由」というイメージが多くの人々に肯定的イメージを抱かせたからだと思います。グローバリズムへの反対は「保護貿易」「一国中心主義」「不自由」さらに進んで「非人道的」という意味すらまとうこととなり、忌避されてきました。

グローバリズムの進展とともに、その弊害が見え始め、懐疑的な人が世界的に増えてきていることを私は歓迎しています。早くグローバリズムの流れを押し止めないと、間違いなく簒奪される側から過激なナチス的民族主義が各国内で台頭してきます。そうなる前に手を打たないと危なくて仕方ありません。

しかしながら、(トランプ氏のことはよく分かりませんが)クリントン氏はもともとTPP推進者だったわけで、TPPの理念に反対しているわけではなく、当初思い描いていたよりも利益が小さい内容になったことに反対しているだけだと思われます。だから「再交渉」と言っているのでしょう。もっと過激にアメリカン・グローバリズムを押し込んだ内容にすべきということで、その意味では、TPP反対といっても、必ずしもグローバリズム反対者が増えたことだけを示しているのではないということも頭に置いとかなくてはなりません。

さて、肝腎の日本はどうでしょうか。

イギリス・メイ首相の演説
 Josef  - 16/10/13(木) 17:43 -

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   イギリス・メイ首相の保守党大会演説の内容が以下に報じられています(10月6日)。感心しました。

ttp://www.bbc.com/japanese/37571578

>多くの英国民がEUを拒絶したのは、英国に影響する政策や法律の決定に英国がもっと決定権を持ちたいからというほかに、何十年とかけて出来上がってしまった国内の深い分断を反映していると首相は指摘。労働者が「特権と権力のある人々」にあまりに無視されていると批判した。

メイ首相自身はEU残留派でしたが、国民投票でなぜ離脱派が勝ったのかについて、多くの「リベラル」を標榜するメディアの蔑むような視線とは異なり、労働者階層の不満を正しく認識しているようにみえます。このような認識が日本を含む先進諸国にも共有されれば、未来は決して暗くないでしょう。

>首相は、政界やメディアの一般市民との分断を指摘し、「(市民の)愛国心は不快だと言い、移民問題を心配するのは視野が狭い、犯罪についての考えはリベラルでないし、職を守りたいと思う気持ちは不都合だと、市民をみている。1700万人以上もの人が欧州連合から出たいと投票した事実に、ひどく混乱してまったく受け入れられずにいる」と述べた。

ここで「政界やメディア」(a lot of politicians and commentators)について言われていることは、イギリスの国民投票を伝える日本のメディアにも共通していました。離脱派を移民を排斥する差別主義者であるかのように言ってみたり、離脱派は勝ってしまったことに後悔しているなどと言ってみたり。

就任2カ月のメイ首相が今後どういう政策を展開していくのかは1年くらい見ないと分かりませんが、国民分断の問題をちゃんと認識しているところから、大いに期待できるのではないかと思っています。

アメリカ大統領選挙
 Josef  - 16/11/14(月) 19:05 -

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   史上最も醜悪な、などと言われたアメリカ大統領選挙はトランプ氏が勝利しました。大手メディアの予想(と期待)を裏切るこの結果は、EU離脱派が勝ったイギリスの国民投票結果と軌を一にしていると言っていいでしょう。2016年はグローバリズム終焉の始まりの年として記憶されることになるかもしれません。

それにしても、国論が二分されるような選択について、ほとんどのメディアが一方を支持するという事態は異様でした。メディア報道をみているとトランプ氏がエキセントリックな人物であるという印象を受けますが、結果をみると、実はメディア報道がひどくエキセントリックであったことが分かります。

朝日新聞11月13日に大野博人編集委員が著名な人口学者エマニュエル・トッド氏を取材してこう書いています。

>他方、(トランプ勝利は)民主主義が機能した結果、という声もある。嘆いているのは、政治家やメディア、大企業経営者など米国内のエリートや既得権層で、その連中がふつうの人々の考えをわかっていなかっただけだと。
>「トランプ氏は支離滅裂でも、支持する人たちの反乱には理がある」と選挙前に指摘したのは、フランスの歴史学者エマニュエル・トッド氏だ。働き盛りの白人の死亡率上昇などに注目し「米国は大転換のとば口に立っている」と波乱の可能性を示唆していた。
>開票翌日、電話すると「当然の結果」と話した。「生活水準が落ち、余命が短くなる。自由貿易による競争激化で不平等が募っているからだ。そう思う人が増えている白人層は有権者の4分の3。で、その人たちが自由貿易と移民を問題にした候補に票を投じた」
>むしろ「奇妙なのは、みんなが驚いていること」という。「問題は、なぜ指導層やメディア、学者には、そんな社会の現実が見えないのかという点だ」

トッド氏が指摘する「働き盛りの白人の死亡率上昇」については、たとえば次のような報道がこれまでにもなされています。

「アメリカではなぜ自殺率が増え続けているのか」(2016年5月)
ttp://toyokeizai.net/articles/-/115717

今回の大統領選挙戦において、メディアはトランプ支持者を「低学歴、低所得の白人男性たち」とディスりまくっていました。ところがフタをあけると白人女性もまたトランプ氏に投票した人の方がクリントン氏に投票した人より10ポイントも多かったという調査結果。この結果をみてニュースのキャスターだかゲストだかが「女性を馬鹿にしていたトランプさんが女性に支持されるのは不思議ですねぇ」と間抜けな発言をしてましたが、生きていくことが苦しいからに決まっているじゃないですか。ポリティカリィ・コレクトみたいなエリート御託以前の話です。

トランプ氏には、政治家としての知識や経験はなく、これから優れた大統領になる可能性はほとんど無いでしょう。トランプ支持の人たちも、それが分かった上であえて支持した人が多いと思います。「ヒラリーが勝って今のままの不平等政策が続くならもう自分に未来はない」と感じている層です。「希望は、戦争」じゃないけど、希望のない今の現状をハンマーで叩き割ってくれそうな人、それがヒラリーではなくトランプだったというだけでしょう。たとえとんでもない大統領になったとしても、最悪の「今」を継続する大統領よりはマシ。

これ、アメリカだけの話ではありませんね。

*エマニュエル・トッド氏は先ごろ『問題は英国ではない、EUなのだ』(文春新書)という本も出していて、以前よりEUの問題点を指摘してきています。単なるドイツ嫌いという話もありますが。

Re(1):アメリカ大統領選挙(藤原正彦氏のエッセイ)
 Josef  - 16/11/21(月) 16:41 -

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   英国のEU離脱と米国大統領選挙について、藤原正彦氏が「週刊新潮」最近号のエッセイで私と同様の見方を、私よりもずっと達意な文章で伝えているので、部分的に紹介します(発売中の雑誌なので大量引用は控えます)。

>日本を含め世界中の有識者やメディアは、ほぼ一致して英国のEU残留と大統領選でのトランプ敗北を固く信じ、またそうなることを強く望んでいたから、選挙後の彼等の負け惜しみや歯ぎしりは見物だった。EU離脱では「理性が感情に負けた」「ポピュリズム(大衆迎合主義)の恐さ」「今となって後悔する国民」などと言いたい放題だった。「扇動され踊らされた低学歴労働者による無責任な愚挙、民主主義の危機」と慨嘆してもみせた。今回のトランプ勝利後も同工異曲が繰り返された。さらには反トランプデモが全米に広がるなどのおまけもついた。

そして藤原氏は二つの歴史的出来事に共通因として「グローバリズム(ヒトモノカネが自由に国境を越える)」と「PC(ポリティカリー・コレクト、ありとあらゆる差別や偏見をなくすこと)」の二つを挙げています。グローバリズムは各国で冨が一部の上層に集中し下層を増やして国民を分断し、PCはグローバリズムによって増加する一方の移民を抑制しようとする議論を非人道的な差別として封印する役割を果たしてきた、というわけです。

前回の投稿で私はトランプ氏が「優れた大統領になる可能性はほとんど無い」と書きました。藤原氏もトランプ氏の力量を評価しているわけではないようです。その上で、トランプ氏に投票した人たちの気持ちをこう推測してエッセイを締めくくっています。

>グローバリズムにしがみつく人々とその体制を倒してくれるなら、無教養の成金オヤジでも誰でも構わない。セクハラでも差別でも何でもよい。彼等の怒りはそれほどまでに深かったのである。

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