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誰かと繋がりあうような感覚。テレパシー、とでも言えば分かりやすいのだろうか。今現在、確かに俺は誰かと繋がっている。
おそらくは一人ではなく複数人。さっき部員らしき人たちが居たプールの方から感じる。
気になった俺にはさっきのことなどもう頭には残っておらず、気付けばドアを開け、歩き出していた。
プールサイドに着くと、さっきの女の子たちがプールから上がったばかりなのだろうか、水浸しのまま座り込んでいた。
そして、皆一様に自分の身体を舐めまわすかのように丹念に見ている。真横に友達がいるにも拘らず、一心不乱に自慰にふけっている者さえいる。
――明らかに正常ではない。
「これはいったい……? なにが、どうなって」
気になった俺は彼女たちにゆっくりと近づいて――
また、あの感覚。
……気付けば、視点が低くなっている。変化はそれだけではなく、何時の間にか視点が下がっている。
どうやらプールサイドに座り込んでしまっているようだ。あろうことか、両手を水着の中に捻り込ませ、胸を鷲づかみしたままで。
見上げれば、さっきまで自分が乗っ取っていたはずの彼女が佇んでいる。
「あ、えっ? な、にが……?」
とっさのことに何が起きたかも分からず、出る声も言葉にならない。
が、それも一瞬のことであり、あのおかしな感覚とともに全ては元に戻っていた。
――今の現象は何だったのだろうか。俺が瞬時に移動した、と言うよりも……
「別の人に、乗り移っていた」
にわかには信じがたい。俺は他の子に乗り移った覚えなどないのだから。
しかし、そう結論付けるしかなかった。あの現象を説明するにはそうとしか考えられない。
確かに、俺はいま目の前に座り込んでいる子に成っていた。一瞬だけだが。
この考えが正しいかどうか、これだけでは判断しかねた俺はいろいろと試してみることにした。
その結果――
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