窓の外のざわめきが段々はっきりしてくる。
窓から差し込む太陽は昼間の明るさだった。
「まだ寝ているの?」
返事も待たずにドアが開き、入ってきたのは・・・
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酒臭い白人女性だった。(灼眼のシャナ2次) TES 10/1/6(水) 1:15
  ガラクタの真ん中で二人が呆然としている様子。 Skinner 10/1/24(日) 18:12
   足音を殺して物陰に隠れた。 TES 10/2/1(月) 16:32
   近衛 史菜。 SKN 10/3/20(土) 11:59
   目を閉じた。 null 11/1/24(月) 19:41 [添付]

酒臭い白人女性だった。(灼眼のシャナ2次)
 TES  - 10/1/6(水) 1:15 -

引用なし
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   マージョリーさん、俺の姐(あね)さんと呼ぶ人物で、うちの居候。
弔詞の読み手と呼ばれるフレイムヘイズ。
「今日は狩人のガラクタをチビジャリ達と調べにいくんだろ?」
おかしい。いつもはいくら起こしても起きないマージョリーさんが?
その日は朝から何かが違っていた。


「ふあ〜あ、なんだいこの暑さ。おまけになんだか・・・変な感じ。」
アスファルトから立ち上る陽炎の中を廃墟となったデパートに向かう俺と姐さん。
「どうせたいした物あるわけないんだし、なんでこの私があのチビジャリなんかと一緒に・・・あら♪」
ハイヒールの足が止まる。
駅近くのオープンテラスのカフェ。
「おいおい我が麗しのゴブレット、マージョリードゥよぉ、まさか朝っぱらから酒かっくらうほどの・・・!」
マージョリーさんのこぶしが肩から吊った巨大な本にめり込む。
「うっさい!ばかマルコ。ケーサク、アンタ先にいってさ、何かいいもの有ったらチビジャリたちより先に見つけて連絡するのよ?いい?」
「え、あ・・・ああ・・・判りました。」
「ちょっとお兄さん、生チュウね!」


仕方ない、俺一人で向うしかなさそうだ。
いつも一緒だった田中はオガちゃん(同級生の緒方真竹)と付き合い始めて以来、殆ど顔を出さなくなった。
普通の人間は俺、佐藤啓作だけ。
平井ゆかりこと、シャナちゃんはマージョリーさんと同じフレイムヘイズ。
坂井悠二はその体内に零時迷子と呼ばれる宝具を持つミステスという存在で、実は既に人間としての悠二は既に死んでいて・・・という説明は聞いたがいまいちまだ俺には理解できない。間違いない事は、俺より遙かに強く、遙かに紅世の徒(ぐぜのともがら)との戦いで役に立つであろうということだった。

「よう、坂井、シャナちゃんも。」
「佐藤、一人?」
坂井が振り向きながら額の汗を手の甲で拭う。
「弔詞の詠み手は?」
シャナちゃんは不機嫌そうだ。
取り壊し予定の建物には当然電気も来ていない。籠もる熱気は滞留し、ガラクタの山は埃と機械油のような匂いを滲み出しているようだ。
「あ、姐さんはちょっと寄る所があるって。よし、俺は何をすればいい?」
「ふんっ、まったくまたどっかでビールでも飲んでるんじゃないの?」
図星だ・・・まあ誰が考えてもそうかもしれない。
「あっつ〜〜い、ねえ佐藤、アイス買ってきてよ!」
シャナちゃんが俺に言う。何のいやらしさも無く、率直におねだりされた。
「あ、そうか。オッケー。コンビニいってくる。」
「い〜〜〜っぱい買ってきてね!」
「うん、判った。」

アイスのショウケースを開けると心地よい冷気が溢れ出てきた。
すぐには来ないと思うけど、マージョリーさんの分も入れて20個ぐらい買っていけばいいか。多すぎるかもしれないけど足りないよりはいいはずだ。

崩れそうになる足元に注意しながら懐中電灯を頼りにさっきの場所に戻る。
「お〜い、アイスかってきたぞ、坂井?どこだ?」
返事が無い。どうしたって言うんだ?
「!?」
暗闇に青白い光が広がり、そしてまた元の暗闇に。
「な、何やってんだ?そこにいるのか?」
懐中電灯で照らした先には・・・

ガラクタの真ん中で二人が呆然としている様子。
 Skinner  - 10/1/24(日) 18:12 -

引用なし
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   「なんだよ坂井。いるなら返事ぐらいしろって〜の。アイス、買ってきたぞ。おっと・・」
足元に注意しながら二人に近付く。
「ご・・・ごめん、あのちょっと・・・」
顔を真っ赤にしてシャナちゃんが謝る。
「あ、シャナちゃんに言ったんじゃなくて坂井に言ったんだよ。」
「と、と、とにかく、俺たち急用が出来たから。じゃあなっ!」
「さ、坂井?えっ?おいアイス・・・」
坂井が俺が手にぶら下げていたコンビニの袋を取り、その後をシャナちゃんがよろよろとした足取りで続く。
「ちょ・・・なんてカッコしてるのよっ!りゅ・・・シャナッ!」
「しょうがないじゃないか、こんなサンダル履くの初めてだし・・・あ、うるさいうるさいうるさい〜・・・あは、はは・・・」

行ってしまった。何なんだ?あいつら・・・
「何だよ、結局俺一人か・・・」


廃デパートを出ると強い日差しがアスファルトを反射し、俺は思わず目を細めた。
結局一人でガラクタをいじっては見たが、何が有用かどうかなんて皆目見当もつかないので諦めた。
ふと思い出し、シャツのポケットからカメオのついた首飾りを引っ張り出してみる。
ガラクタの中にあった壷をうっかり割ってしまい、その中からこれが出てきたのだ。
大き目のペンダントヘッドには女性の顔が彫刻されている。この手のカメオによく見るデザインは女性の横顔などだが、このカメオは全体が正面から見た女性の顔になっていた。
あそこにあったのだから、何らかの力をもった宝具なのだろう。跡で姐さんにみてもらうか。
「!?」
何だ?これは・・・・・・まさか封絶?
俺は・・・

足音を殺して物陰に隠れた。
 TES  - 10/2/1(月) 16:32 -

引用なし
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   これだけの封絶であれば、すぐにマージョリーさんやシャナちゃんが感知して現れるはずだ。
何の力も持たない俺は、せめてそれまで死なないようにする位しか出来ない。
廃デパートを中心に張られた封絶。目的は狩人の宝具なのだろうか?動く者はいない。
俺はマージョリーさんに貰った符箋の自在法のおかげで動くことが出来るが、普通の人間はその場で静止してしまう。

「くそっ・・・なんで誰も来ないんだっ。」
封絶が解かれる様子もなく、誰も来る気配も無い。
いや、誰かがデパートに向かって歩いている。
「なんで・・・あいつ・・・」
華奢で小柄な少女。御崎高校の夏服。
思わず物陰から飛び出した俺は、彼女に駆け寄った。
「おいっ、今ここは・・・危ない。こっちに・・・」
小首を傾げて不思議そうな表情の少女からは返事が無い。
「とにかく、隠れないと・・・でも、お前何で・・・」


もっと早く気が付くべきだった。
封絶の中で動いていたんだ。人間じゃ無いに決まってる。
その少女の名は・・・

近衛 史菜。
 SKN  - 10/3/20(土) 11:59 -

引用なし
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   転校生で、シャナちゃん達が仮面舞踏会の巫女、ヘカテーという紅世の王と瓜二つだといってかなり調べたようだが、人間だという結論に落ち着いたはずの・・・
無表情なまま、俺を一瞥したその冷たい眼差し。それはいつもの近衛史菜ではない。
「あの・・・近衛さん?だよね?」
突然水色の光の玉が史菜の肩の上に浮かび、それが見る見る大きくなって、一直線に俺を貫いた。
「ぐああああっ!?」

掠れていく意識。少し離れた地面に、俺の下半身が転がっている。
胸から下が消失していた。
史菜は特に気にする様子もなく、俺の体から流れ出した存在の力を吸い込むとそのまま廃墟のほうに歩き始める。
くそっ・・・くそっ!!!こんなのアリか!?このまま死んでしまうなんて。
何にも役に立たないまま、死んでしまって皆に迷惑をまたかけて?
マージョリーさん、なんて言うんだろう、俺を見て。

『ねえ・・・あなた。』
誰かが話しかけてくる。少女のような若い女のイメージ。
「だ・・れ?」
『私は紅世の王の一人。このペンダントに封じられていたの。契約しない?私のフレイムヘイズになってよ。』
「えっ・・・・俺が・・・シャナちゃんや・・・マージョリーさん・・・みたいな・・・」
『どうなの?早くして。』
「ぜひ・・・お願いします。」
『貴方としての存在は消えるけど、いいわね?』
「・・・はい。」

そして俺は・・・

目を閉じた。
 null  - 11/1/24(月) 19:41 -

引用なし
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[添付] 〜添付ファイル〜
・名前 : fumi.jpg
・サイズ : 8.9KB
   ペンダントが首に回る。
体が・・・熱い。

「・・・?」
近衛さんが立ち止まり、ゆっくりと振り向いた。
立ち上がった俺を無表情に見つめる瞳。
『さあ、稽古の時間よ。』
ペンダントから声が響く。
さっき俺の体を引きちぎった光球が容赦なく俺を襲った。
「ぐあああああっ!」
しかし俺の体は今度は千切れなかった。
『演じて。』
俺は光の球を・・・そう、さっき受けた攻撃をそのまま相手に返した。
近衛さんの足元のアスファルトに大穴が空く。
この手にはいつの間にか金色の錫杖が・・・

そして笛のような宝具の攻撃。
俺はいつの間にか奪った錫杖で攻撃を跳ね返し、女子の制服のスカートを翻して相手に襲い掛かった。全裸となった近衛さんに・・・止めを刺す。
錫杖を突立てた胸の間の皮膚が裂け、中身が噴出する。
『舞踏会の巫女、ヘカテーの偽りの器。その衣装を頂くわよ。』
萎み始めた近衛さんの体を受け止め、俺は命じられるままにその胸の間の裂け目に頭を突っ込んだ。
「ぎゅわうっわああああああぁっ!」
近衛史菜の顔が俺の顔に重なり、同化して俺の顔のなる。
手も。
足も。
胸も。
胴も・・・髪の毛も・・・・
股間の奥までも。

『最初の相手としては不足なしって所ね。作られた存在だから遠慮はいらないわ。それが今日から貴女の姿よ。名前も貰っちゃいなさい。本質の演じ手、近衛史菜ちゃん。』

手のひらを見る。
女子の夏服から伸びた細くて華奢な腕に小さな手のひら。細い指。
「こ・・・これが俺の体!?なんで女になる必要が・・・」
『私が演じることが出来るのは女だけだもん。』
「なっ・・・」


封絶をとくと、町が動き始める。
『偽りの器のくせに、その力は本体並みだったわね。まさかトライゴンまで使えるなんて。フレイムヘイズというより・・・貴女もう王といってもいいわ。ヘカテーと同じ。』
「俺が・・・紅世の王・・・頂の座・・・舞踏会の巫女・・・」
この力があれば・・・姉さんやシャナちゃん達を・・・

添付画像
【fumi.jpg : 8.9KB】

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このリレー小説はTiraさんのブログでのちょっとした話題で設置したお試し的なものです。 運営管理等は手が回らないと思いますのでお遊び程度に。SPAMとかで荒れ始めたら消すかもしれませんがあしからず・・・ ※また海外のBBSスパマーにリスティングされたようですので、2/22より一時書込み禁止中。2/25再開 3/6スパム投稿から禁止語句を登録しまくっているので投稿蹴られる事も在るかも知れませんがご了承ください。