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家族しかいないはずの警戒が厳重な屋敷でその事件は起きた。
議員と妻、私設秘書をしていた長男、使用人3名、警備会社の社員4人が全員、体を引きちぎられて死んだのだ。
唯一生き残ったのが高校一年生の娘だった。なぜか全裸で、血塗れで倒れていたのを警察官が発見したが、外傷はまったく無かった。
人形のように整った美しい顔立ちの少女。
その少女が鏡の中から見返している。
「さあ、名前を言ってごらん?お嬢さん。」
「え・・・あ、私は・・・権堂綾香・・・えっ?」
無意識に答えたのが、なんだ?何かがおかしい。
「綾香ちゃん、後始末は頼んだぜ。俺はあんたの姿で国外に出る。取調べなんかに付き合ってる暇は無いんでね。」
俺そっくりの男は、俺の服を着て出て行ってしまったようだ。
俺は・・・
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