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出てきたのは、仕様説明書と肌色の薄いヘッドキャップが5枚入っていた。
「これが・・・そうなの?」
俺は小包を机の上に置き、右手でその一枚を取って、ひらひらと振ってみたり、伸ばしてみたりした。
それはどう見ても、ただの薄いゴムで作ったハゲカツラにしか見えなかった。
「これが一枚一万だなんてサギだ。オレの血と汗の結晶のお年玉を返せ!」
オレはあまりの悔しさに、手に持っていたヘッドキャップを足元にたたきつけた。
「ネットで見つけたときには、本物のように思えたのに・・・」
俺は、こんな単純なサギに引っかかってしまった自分に無償に腹が立ってきて、小包やヘッドキャップをそのままにして、乱暴にドアを開けると、力任せにドアを閉め、部屋を出て、そのまま外へと出て行った。
「あら?どうしたの」
俺が乱暴に部屋を出て行ったので、冨美枝が何事かと思って、俺の部屋にやってきた。そして、ドアを開け、俺の部屋に入って来ると机の上の封を開けた小包に気がついた。
「あら?これはさっき届いた・・・なにこれ?」
冨美枝は、小包の中に入ったままだった仕様説明書を手に取ると読み出した。
そして、読み終わると、その形のいい唇に笑みを浮かべた。
「うふふ、これは使えそうね。」
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