|
いくら話したところで即座に修正されてしまうこの身体なら、たとえ本当のことを言おうとしても奴等にとって不都合な部分は伝えられないだろう。俺が元に戻るのはきっと難しいに違いない。
そして何よりこの身体はいろいろと便利だ。
元の俺よりも断然頭は回るし、スタイルも良い。身体能力も常人のそれとは訳が違う。……試しに本気で走ったら、前を走っていた自動車を軽々と追い越してしまった。冗談にしては面白くない。こんなの都市伝説でも聞いたことが無いぞ。
ん、そんなこんなでもう昼休みか。佐藤良子として学校に来たのが初めてだったからか、どうにも時間の流れが早く感じる。今日は朝から経験したことの無いことだらけだったからな……。
「くぁーっ……」
ため息をゆるんだ風船のように吐きながら椅子にもたれかかって休んでいると、後ろから声をかけられた。
なんだろう、と思って首だけをクルリと回して後ろを見るとそこには同じクラスの女の子が、こちらの様子を伺うように見ていた。
「あっ、あの、佐藤さん……ですよね。今日ここに転校して来たっていう」
ん? どうにも歯切れが悪いな。
「……そうだけど。何か用が?」
「ハイ。都合が良かったらでいいんですけど、私の頼みごとを聞いて欲しいんです
」
どうしよう。あんまり話したことない子だし、何頼まれるか分かったもんじゃないしな……。かと言って断るのもなぁ。今の俺なら何でも手伝えそうな気がするし、引き受けるってのもアリかもしれない。
俺は――
|
|