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>芥屋さん:
よんどころない事情で亀レスになってしまって申しわけないです。
>これについて、私もいろいろ思うんですが、いまひとつまとまらない。
>そこで、もうちょっと純子さんの見方をお聞きしたいのですが…
といっても私もそれほど知っているわけではないのですが
私も学習障害やADHDはかなり入っていると自分でも思うんですね。
アスペルガー障害や自閉症の方ほど深刻ではないのですが、それで結構、苦労もしてし、なんとかそれを克服してみようと思って、いろいろと脳科学とか、認知障害の本を読みあさったんです。
それで自閉症がどういう症状か、多少の知識は持っていたので、「自閉症が超男性脳?、違うやん!」(^^)という話になってしまった。gajiさんがおっしゃっている
>たまたま、娘が自閉症の療育センターでの仕事をしていたので、多少知っているのですが、コレは”論あそび”としか思えない)
というのは当たっていると思います。「思いつきでものを言うな!」というか(^^)
自閉症に関する私の理解が正しいのかどうか、私も専門家じゃないのでわかりかねます。でも、私が理解したところでは、自閉症者というのは、脳のパターン認知の機能がないか、あってもかなり弱いということだと思います。
原因は、まだよく分かっていないようです。
パターン認知というのは、現象学で言う「コギタチオ→コギターツム」構造、「ノエシス→ノエマ」構造のことですね。
わあ、よけい分からなくなってしまった(^^)
いやあ、ドナ・ウィリアムズの「自閉症だった私へ」三部作を読んでいる、ちょうどそのころ、神名龍子さんから、現象学も教えてもらっていたので、頭の中でごっちゃになってしまったというか……ああ、そういうことかと理解できたというか。
なんと現象学を勉強しておくと自閉症という症状がかなり理解しやすいです。以下ちょっと脱線して現象学の説明します。
人間が知覚するときに、まず意識の中に目や耳など五感から知覚した刺激がゴチャゴチャと流れるように入ってきています。これを現象学では「体験流」というのですが、すると人間の意識は体験流の流れを、自動的に図と地に切り分け、さらにその「体験流」から、知覚している物の概念を自動的に作り上げて、それも同時に認識しているとフッサールは言っています。
例えば机の上にサイコロがあるとする。そのサイコロは全ての面が見えているわけではない。同時に見えるサイコロの面は三面が限界です。それなのに私たちは、それが、サイコロであるとわかり、サイコロが机の上にあると瞬時に理解して知覚しているわけです。
別にサイコロの定義なんて教えられたわけではない。いろんなサイコロを観たり、ふれたり、使っているうちに、いつのまにか、自然にサイコロという概念が記憶の中に作られていて、サイコロの三面だけ観れば、それが瞬時にサイコロだとわかるように私たちの脳は出来ているらしいのです。
自然に(無意識に)…というのが「現象学」のミソです。私たちは、それが、サイコロだとわかるくせに、じゃあサイコロを定義して説明してみろと問われると瞬時には答えられない。
そういうときには、まずはその「サイコロだ」という思いこみをいったん「カッコに入れて」(エポケー・判断中止)、「あっサイコロだ」と思っている時の知覚や、今まで「あっサイコロだ」と思った時の体験まで辿って、考え直してみる。(現象学的還元)すると「そうか、私はこういうものをサイコロと呼んでいたのかあ」ということがわかる(本質直感)という(^^)。それが現象学です。
いや概念が「サイコロ」だと、さほど問題はないんですけどね。これが「社会」とか「神」とか「差別」とか、自動的に概念を作ってしまった時のソースが伝聞情報だったり、元になる体験に個人差があるような概念だと、いろいろと問題が……(^^)。
気になる概念があったら、いつも本質直感しておく癖をつけておかないと危ない危ない(^^)。というのが神名さんの現象学のお師匠さまである竹田青嗣先生のおっしゃっていることで……。
現象学の説明が長すぎた。
自閉症というのは、このコギタチオ(体験流を意識する)→コギターツム(意識が作りあげた概念)という、通常の人間なら、自然に行っている機能が、うまく働かない症状のようです。心理学のほうだとこれをパターン認知といいます。
以前、テレビ番組で、自閉症の方が絵を描いているのを観たことがあるのですが、すごい描き方をしてました。まず赤色の絵の具をチューブから出して、まず延々と赤い色を筆で点点と紙に打っていく。その作業が終わると、今度は、緑色の絵の具を……。「あんたはRGBディスプレイかい」と思わず突っ込みを入れたくなるような描き方です。
これが、私たちが絵を描けと言われたら、まずは輪郭から描き始めますね。
さて輪郭とはなんでしょう? 体験流の中から、ある概念を持つ物を図と地に切り分けて取り出す時の意識が引いた分節線ですね。しかも、その分節線だけ描いておけば、写実的な描写でなくても「ああ、これは○○の絵だな」と、他の人にもわかるわけです。これがパターン認知能力。
パターン認知能力のない自閉症の方がどういう「世界」を体験しているのか。パターン認知能力のある私たちには、想像を絶したものがあります。
そもそも言語の習得がまったく不可能なんじゃないのかとも思えますし、たしかに言語をまったく習得できなくて痴呆状態のようになってしまう自閉症の方もいます。
しかし中にはドナ・ウィリアムズさん(女性です)のように、逆に4カ国語をまったく難なく操れる方もいる。高機能自閉症というんですが、最近、発見されたようです。というか、ドナ・ウィリアムズさんが自伝を書いたおかげで、世界中の専門家がびっくらこいた。
どうやら、高機能自閉症の人はパターン認知に変る、別な能力を修得して、その障害を補って生きているようです。
私も、実感としては、まったく想像もつきません。すべてが現象学的に還元されまくった世界。どんなんや(^^)?
ただどうやら、そういう方たちには超人的なまでの記憶力があって、体験流をまるごと記憶していて、リストみたいな形にして整理しているようです。
サイコロの六つの面を観たときの体験流をそれぞれ記憶しておいて、リストを作り、このうち三つが確認されたらサイコロだ、というふうに……。
さて、次に、男と女ですが、実はこれも「男」と「女」の概念をパターン認知してしまっているんですね、私たちは……。
定義を学校で教えられて認知しているわけではない。いろいろと観たり、聞いたり、デートしたりするうちに、自動的に頭の中に概念が作られてしまっているわけですね。
gajiさんのいう
>てゆーか、見た目がまるで違うヂャン(w
というのは、まったくそのとおりで
自閉症の方でなければ、そういう認識の仕方をするわけです。
高機能自閉症の方だと、膨大な記憶の中から、人に会った体験を想記して、特徴を分析して……共通する知覚が「男」のほうに多いから、きっとこの人は男性であろう……-。
飲み屋で「ニューハーフ」は男か女か…ということで大激論しているオジサマが二人いれば、それは、どっちが正しいというわけではなくて、たぶん、二人が無意識にパターン認知している「男」と「女」の概念がズレているんですね。
まずはいったん二人とも「男」とか「女」の概念をエポケーして、現象学的還元をして、どういう根拠で「ニューハーフ」を「男」と思うのか、「女」と思うのか、本質直感してもらわないと……(^^)
「そうか、オレは、チ○ポがムズムズする相手を女と呼んでいたんだ」ということが分かって愕然とするかもしれませんが……(^^)。
まあ、飲み屋で床屋談義をするなら、それで十分、笑い話になっていいんですが、科学として論文を書くのなら、「理屈っぽいから男性」というのはどうもねえ。思いつきと言われても仕方がないような……。
まして、高機能自閉症の方が理屈っぽくなるのは、別の理由がある可能性のほうが大きいわけだし。「概念は認知できるが現象学的還元しないと定義がわからない」のが普通の人なら、自閉症の人は「定義を発見するか、教えられないと概念が認知できない。」そりゃ理屈ぽくもなるわさ。
参考
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