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前回書いた私の期待を一言でいえば、新たな大東亜共栄圏の構築です。
かつて、「左翼」と見られていた哲学者の故・廣松渉がそういう主張をして「転向」などと言われたことがありましたが、東アジア地域がゆるやかなまとまりを構築し共存共栄をはかるという思想に右も左もありません。「大東亜」という言葉がかつての軍国主義を連想させるのは仕方ないとしても、戦前戦中に真摯に行われた超克の議論を詳細に分析した廣松が、花開くことなく潰れていった東アジア共栄思想の中から良質の種を拾い上げ、もう一度育てようとしたことは「転向」とは何の関係もないでしょう。
東アジアは人口が多く、かつ、貧困層も多い。それゆえ一方では安い労働力提供の場として、他方では新たな市場開拓の場として、いわゆる経済侵略のターゲットとなってきました。日本はこのゲームにプレイヤーとして参加しています。かつての軍事が経済に置き換わっただけで、貧困の再生産や文化・伝統・環境の破壊という点で大差はありません。
ゲームのルールを変えること。外来のルールではなく、自分たちの利益になるルールを自分たちの手で作ること。そのためにはバラバラでは弱いから、ある程度まとまって共通利益を模索すること。そのための一歩を鳩山首相が踏み出すのなら私は強く支持します。
なんだかんだいっても日本は強国です。鳩山政権を日本の「脱欧入亜」の始まりとして期待する声がアジア諸国から聞こえてきます。アメリカとの関係を大きく損なうことなく、かつ、内部に様々な利害対立を抱えたアジア諸国の連帯を進めるのは超高度な外交力・設計力を要しますが、この困難な道にまず一歩を踏み出してほしい。誰かが始めれば、必ず有能な後継者が出てきます。
国内的には公約の無駄遣い政策をやめてね
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