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NHKの19時半の枠(クロ現の枠)で、こないだ九州ローカルをやってたんですが、例の「鉄道やフェリー等に打撃を与える」という問題も扱ってました。
わたしは正直、国家サイズの大きな経済の数字は、まったくわかんないんですね。なので、高速道路無料化が、我が国の経済のあり方にとって長期的に良い話なのかどうなのか、いやそれ以前に、短期的に景気対策として有効なのかどうなのか、そういったことすら、何にもわかりません。
ただ、そういう次元の話ではないんですけれども、現実に九州内部で、バス会社の高速便への強烈な打撃とか、船会社の深刻な経営不安とかが出てきていて。これ、現時点での話として、ですよ。
それぞれの業界の従業員やその家族というものが、いるわけですよ。この話は。その人たちの現在の現実生活というものが、あるんですよね。だけど、そういったものはいつの世の、どんな変革にも付きまとう問題です。
九州といえば、産炭地の問題がありました。国家社会の主要なエネルギー源を、石炭から石油へ。その大きな舵の切り替えは、これはもう、そうせざるをえなかったでしょう。けれど、炭鉱労働者やその家族へのかくたる保障政策もないまま、閉山の嵐が当地に与えた深刻な打撃は、いまもって、癒されているとはいえないままですが、こういった産業転換にともなう大きな問題まで、新政権は考えてくれているでしょうか。
今後この国の経済のあり方というものは、もはや鉄道・高速バス・フェリーといった輸送手段は経済の大きな枠には考慮できないんだという、そういう覚悟の元で、一気に舵を切らねばならないんだということであれば、わたしは何にも言えません。
だけど、そういう覚悟の元の話であるのかどうなのか、さっぱり見えてこない。いったい、何の覚悟の話なんでしょうか?そもそも、そういう覚悟の上での話なんでしょうか、この話は???? わたしには、そういう話であるようには全く見えません。
事実、誕生した新政権では前原さんがこの問題の担当大臣になりました。前原さんといえば、国防に関して(日米同盟よりも自主国防に重きを置いているのかと思われるような)右翼的と言える考え方の人でもありますが、国土交通相に任命されました。この人、ものすごい鉄道マニアでもあることも有名ですが、そもそも高速道路無料化の案が党内で出たときには、反対論陣を張ったそうですね。
そういう人(国防と鉄道に人並ならぬ情熱を持つ人)を、物議をかもしそうな国防相ではなく国土交通相にしたあたり、なかなか鳩山さんも「やり手」というか「グッジョブ!!!」なのかわかりませんけど、どうも鳩山政権の間としては、高速道路の問題は国民的な議論をしてもらえばそれでよろしく、乱暴に実施してしまうつもりもなく、幕引きならばそれで良いと考えているのではないのかなと感じています。
同じNHKの番組で、諫早湾の堤防の問題も扱っていました。漁民と農民とで、それぞれ生活していく上での死活問題なんですね、堤防を開けるかどうかは。そもそも、干拓されたことで漁業に深刻な打撃が出て、既に離職した人のみならず自殺した漁師もいるんだということも地元の談として出ていましたが、かといって今更、堤防の門を開けば、おそらく同じ悲劇が、今度は農家を襲うんでしょう。
ならば、そもそも諫早湾の干拓とは何だったのか。漁師を殺すか農家を殺すかという、そのような話だったのか。なぜ、そんな事業を行ってしまったのか。おこなったのは、民主党政権ではなく自民党政権であります。本来、このような地元民の深刻な利害対立を現実に即して調整するのが保守政党の役目であったはずですが、戦後の自民党の土建業的な体質からして、実は農家にも漁師にも目は向いていなかったのかと思わざるを得ません。
民主党は保守派ではなく進歩派ですから、こういう観点からではなく理念から政治をするんだろうと思いますけど、前政権の犯した大きな過ちを繰り返して欲しくはないです。また、自民党にあっては、目先の権力奪還なぞではなく、自党の越し方を振り返って、本気で保守政党としてはどうすべきなのか、自分たちを今後やるべきことを見つめなおして欲しいと願っています。
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