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私は経済について「ド」のつく素人ですけど、そのド素人の直感では、日本はおかしなことばかりやっているとしか思えません。たとえば消費税増税。別に増税自体が悪いとは思いませんが、景気が悪いんだから、「この増税をすれば日本は大丈夫」という形でやらなければ駄目でしょう。つまり、皆が前向きになって、消費や投資に向かうように仕向けることとセットになっていなければなりません。そうし
ないと、消費税3%から5%にアップして逆に税収が落ち込んだ十数年前と同じことになって悪魔の循環に陥ります。これ、私の認識、というか直感が間違ってるんですかね?
その意味では「社会保障と税の一体改革」という名目は良いのです。社会保障の充実によって生活の安心が実感できれば少なくとも消費は伸びます。なんせ貯蓄世界一の国なんだから。ところが「一体改革」という名目は名ばかりで、社会保障制度の改革は何一つ決まっていないし、政府案すら出ていない。ただ税額が上がるだけで、それどころか「10%にしてもまだ全然足らないよ」という政府内部からの声が次々と報道される有様。これじゃあ国民は縮こまるしかありません。
その他の経済・金融政策についてもおかしなことだらけです。3年余り前、ナナコとのやりとりでこんなことを書きました。
>>自民党の、貧困問題に対するびっくりする程の鈍感さにドン引きして、
>>もういっそ民主党政権になって、色んなものがぐちゃぐちゃに壊されて、
>>皆がしまった!!って思った方がいいんじゃないのぉ?と思ったことなら、
>>何度かありますが。
>
>貧困問題はアメリカ型グローバリズムによるもので、「グローバリズムは
>チョイスの問題ではなくファクトだ」(竹中平蔵)というふうな認識で
>後追いをしている限り、どこが政権をとっても変わらないと思います。
日本の格差問題は要するにアメリカ型に近づいたというだけの話なんですね。構造改革、規制緩和、郵政民営化、その他最近のTPPに至るまで、ルールをアメリカ型に変えろというアメリカの要求を背景に、それに迎合する日本人がやってきたことです。アメリカに迎合してきた彼ら日本人は、なにも多くの同朋を貧困に落としてやろうという悪意からそうしたわけではない、むしろアメリカ型に改革した方が日本をバブル後の停滞から救いだせる、と信じたのでしょう。なんでそんな善意の誤りを犯すかといえば、よく知りませんが、たぶんアメリカを信仰しているからでしょう。いったん信仰者になってしまうと、新興宗教にはまった人がそうであるように、いくら説得しても効き目ありません(逆に頑なになったりして)。普通ならリーマンショックを目の当たりにして「なんかおかしいぞ」と思いそうなものなのに、相変わらずTPPとかで「開国」「外需を取り込む」などと言っているのも信仰から抜け出るのが容易でないことを示しています。
話がそれましたが、増税はなしにしてほしいですね、私は。といっても、単に与野党のくんずほぐれつの混乱の末廃案になりましたというのでは意味がない。またいつ復活するか分からないという不安、何よりも年金・保障の将来に対する不安で経済生活も精神生活も混迷するばかりです。
直感ですが、どっちみち増税は必要でしょう。ならば、手術と引き換えに健康快復が得られるというふうな展望をはっきり示した上で薬を処方すべきです。でないと、手術の苦痛で健康はますます悪化してしまう。たぶんこれは社会保障と税だけの問題ではなくて、円安を解消するとか、デフレに終止符を打つとか、失業や就職難を改善するとか、そうした問題解決のための諸政策と「一体」となって実行されるべこことです。一言でいえば、「よし頑張ろう」という気にさせる希望を作り出すことです。それがプロの政治の役割でしょう。TPP参加のように国民を不安にさせたり公務員採用大幅減のように若者の職を奪うようなことをやってる場合じゃありません。
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