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バジル二世さん、こんばんは。
各論に入り込めば業界ごとに私の知らないいろいろな事情があることと
思います。
私が言いたいのは文脈です。規制の緩和・強化、税率の引き上げ・引き
下げ、料金の値上げ・値下げ、いずれも良し悪しは文脈次第です。
たまたま私がタクシーに言及してしまったのでこれについて言うと、
デフレ不況という時代的文脈の中で規制緩和=値下げ競争を促すような
施策はおかしいだろう、ということです。
派遣労働についても言いたいことは同じです。
派遣労働というと私にはピンはねのイメージがあって好きではありませんが、
アナウンサー等の特殊技能の職種には利点があることも分かるので
職種によってはいいだろうと思います。けれども一般の製造業でも
派遣を認めたのはデフレ不況になってからですよね。そうすると、安くて
切りやすい労働力として派遣が使われるのは目に見えています。
「合成の誤謬」とかいうやつですかね。不況で経営が苦しくなると
企業は賃金を抑える必要が出てくる。また不況下では仕事がなくなり、
労働者は安くていいからとにかく仕事がほしい。従って、派遣労働を
認めることは企業、労働者双方にとって合理的である。これがミクロ
視点。
ところが全体としては、これが需要の縮小、経済活動の縮小を招き、
デフレが進行していき、企業も個人もますます苦しくなる。つまり
マクロ視点では非合理的な選択ということになる。
個別企業や個人は少しでも自分が得になる選択をしていくしかない
わけで、皆が合理的な選択をすると非合理な結果が生じるというのは
政治の責任です。そうならないように調整(=規制)をはかるのが
政治の役割のはずですが、ここ十数年、とにかく調整=規制は悪で
あるという声に押されてあらぬ方向に進んでしまったという気がします。
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