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時代の空気みたいなものがあって、地方分権というのはなんとなく「いいこ
と」とされている気がします。「地方分権」と言ってりゃいいと思っている
のか、どいつもこいつも「地方分権」を唱えているような気さえします。
いや、よく知りませんが。
かくいう私も地方分権派です。しかし維新会が唱えるような道州制は何がい
いのか全然分かりません。各道州が自力で金稼いで競い合え、っていうんで
しょ?競争したら効率が良くなり質が上がるという私の嫌いな信仰、経済
グローバリズムです。
3年ほど前、私はこう書きました。(2009年11月27日)
> そこで前々から思っていることを書かせていただくと、地方分権化を思い
> 切り進めてほしい。理想的には人口10万くらいがいいけど、まあ100
> 万でも仕方がない。さらに今の都道府県単位くらいまでなら妥協できる。
> この行政単位を何と呼ぶべきか分からないのでとりあえず「県」と言って
> おくと、そういう小さな県に区切って(100万もいたら小さいとは言え
> ないが)、地方自治を徹底する。
> (中略)
> 県によって法律が違うといろいろ不便なことや非効率なことが生じるけど、
> そこがいい。効率を追求すれば、日本のみならず世界全部同じルールで、
> ってことになるわけで、確かに効率はよく、便利にもなるだろうが、
> 価値は強国のそれへと一元化し、こけるときはみんないっせいにこける。
私が地方分権を支持するのは効率のためではなく、あえて言えば非効率の
ためです。無駄がたくさん出てくる代わりに多様性が生じ、全体としては
強靭な柔構造になる。そういう「自然」のイメージ。
まあそれはそれとして、道州みたいに広い範囲だったら、今と何が違うん
だという感じです。そりゃ東京や大阪のような中核都市は自分で決められ
る範囲が増えてやりがいがあるかもしれないが、田舎からみれば「どこか
遠くで自分らのことまで決められている」という感じに変わりはない。
そこに「競争」が加われば、今度は企業に加えて行政によっても敗者=
貧困が大量生産されていくことでしょう。
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