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>Josefさん:
>>あまりよく解らないけれど、そもそも「安倍政権のインフレ目標設定が失敗」との見方が強まってゐる様にも見えます。
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>失敗でしょうね。細かい要因はいろいろあれど、大元は消費税を8パーセントに上げたことでしょう。しかし消費税増税は政府が強行したわけではなく、民主党政権時代に自・公・民で約束したことを実行しただけであり、しかも全マスコミが賛成し、国民も概ね理解を示すという中で行われたことですから、安倍政権だけのせいにはできません。
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>消費税10パーセントへの増税も予定されていて、相変わらず全マスコミが賛成し、国民も概ね理解を示しているようですから、増え続ける社会保障費への対応はますます困難になっていくでしょう。自分で自分の首を絞めているのです。
その増税でさへ現状必要な上げ幅からは程遠くて実質減税が進んでゐるのではないかと疑ふほどには大衆は合理的なのではありませんか。以下の「リカードの定理」は人間が裏付けがない大風呂敷を聞いたときなどに見せる反応をよく洞察して面白いと感じます。
>>>以上で説明してきた財政政策による景気安定化は、ケインジアンのマクロ経済政策の根幹です。このようなケインジアンの考え方に対して、マネタリストないしシカゴ学派のグループから次のような批判が出されています。ケインジアンによれば、景気の悪い時には減税をすれば、消費が刺激されて乗数プロセスに乗って、生産や雇用も拡大することになります。マネタリストは、消費者が合理的であるかぎり、そのような減税政策では消費は刺激されないと主張します。
>>>(中略)
>>>さて、もし消費者が合理的であるならば、現時点における消費を現時点での所得のみによって決めることはしないでしょう。生涯設計を考えるのであれば、現時点の所得だけでなく予想される将来時点の所得まで考慮して、現時点の消費を決めるはずです。そのような合理的な消費者が減税をどうみるのでしょうか。たしかに現在の税金は少なくなりますが、それは将来の増税と引き替えに行われるのです。したがって、生涯所得という観点からは、現在の減税はほとんど意味がありません。したがって、本当に合理的であるならば、減税されたからといって消費を増やすべきではないのです。
>>>(中略)もっとも、現実に人々の多くが上で述べたよう合理的に行動するかどうかは、明らかではありません。しかし、減税政策が有効であったとしても、それが人々の錯覚から生じたものであるかもしれないという指摘は重要なものです。(伊藤元重「入門経済学」P.187-188の小見出し「減税政策の有効性に対する疑問:リカードの定理」から、1988年)
昔読んだ教科書を読んでゐて、今は違ふ読み方ができるんだなと妙な感慨を覚えました。ただ、私が本式の学問的な思辨などとは正反対の生活を送ってきた俗物であること、この学者の講義を受けたことなども無いことは述べておいた方がよいと思ひます。
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