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バジル二世さん、こんにちは。
TPP交渉が再開されるようですね。日本はマゾヒスティックに締結したくで仕方ないみたいだから(「性奴隷」に謝罪・補償したくて仕方ない朝日新聞も応援してます)、私としてはぜひニュージーランドあたりに頑張ってもらって、「漂流」状態になってほしいものです。しかし再開されるということは裏で話がついたのかな。
さて、消費者の(経済的)合理性についてですが、あくまで自己を中心とする狭い範囲の合理性であろうと思います。日本が苦しんできたデフレの場合、理屈からいうと、みんながお金を使いまくれば(つまり需要が増えれば)、脱却できる可能性が高まります。しかしそんなことはしません。賃金は下がる、待っていれば商品価格も下がる。そういうデフレ状況では、できるだけ消費を抑えるのが合理的行動です。
企業も同じで、消費が冷え込んでいるデフレ下で、雇用を増やしたり賃金を上げたり新規事業に投資したりすれば潰れてしまいます。消費者は消費を控えるのが合理的であり、企業は人件費をカットし、少なくとも国内での新規事業投資は控えるのが合理的です。
みんながそういう「合理的」行動をとることによって、デフレはますます脱出し難いスパイラルを描いていく。ミクロな合理がマクロでは不合理になる――「合成の誤謬」というやつです。
このように、自由市場に任せていたらにっちもさっちもいかないという時こそ、政府の出番。デフレ下では政府が積極的財政政策をとるべきだというのがケインズ型の経済政策でしょう(ケインズ経済学は世界大恐慌というたぶん史上最大のデフレ不況において登場しました)。
ところが、90年代に始まる「構造改革」以降、日本がやってきたのは、「インフレ」対策として成功を収めた英・米の規制緩和・自由化政策でした。一般に新自由主義と言われるやつです。誰かが言っていた喩えを使わせてもらうと、これは、栄養失調の人に肥満を治すためのダイエット治療を行ったようなものです。かくして日本は10数年にわたるデフレ・スパイラルに落ち、今なお脱却できないでいるのが現状でしょう。栄養が足らないのに食事を減らされ「もっと運動しろ」と競争へと駆り立てられるのだから、そりゃ「閉塞感」にも陥るでしょう。その上、患者自身も「でもこれが正しい治療法なんだ」と信じ込んでいたりするから始末が悪い。そこまで頑張れない自分、治らない自分に「自分はダメなやつだ」と自己否定感を抱き、閉塞感はますます深まる。
比喩ばかり言ってても仕方ありませんが、ついでにいうと、治療方法は患者の病気によって変えるのが当然なのに、経済エリートたちは一つの方法を万能だと思い込んでいるようにみえます。でもそれだとエリートじゃなくて単なる馬鹿だから、本当はエリートたちは全部わかっていて、自己利益のために庶民をだまくらしかしているのかもしれません。実際、このデフレ不況の間に資産家は資産を増やしているのだし。
TPPも、ユーロ圏とやらもそうですが、文化も歴史も地理的特性も国民性も、そして目下の経済状況も、何もかも違うにもかかわらず、経済や金融のシステムだけは同じにしたい、同じにする方がいいのだ、というふうな一神教的な単一原理主義はどうにかなりませんかね。非常に邪悪なものを私は感じています。
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