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バジル二世さん、
株価の上下とか、バブル(崩壊)といったことに私はあまり関心がありません。というのも、一般庶民の生活からは遠いところにあるからです。
80年代バブルで踊っていたのはごく一部の人たちであって、庶民の生活が激変したわけではないし(土地が高くなりすぎて「マイホームなど夢の話」などとよく言われるようになりましたが)、安倍二次政権になって株価が8000円から20000円に上がっても、実質賃金はむしろ下がっていることが示すように、庶民とはあまり関係がありません。
まあそうはいっても極端な変動があればみんなが巻き込まれてしまうので、せいぜい、「迷惑かけない程度にしとけよ」と思うくらいです。
>例へば土地資金の総量規制が銀行の担保価値を減じ長い不況に繋がったのはよく言はれますが、地権者の細かい土地を集めて開発業者に売る「地上げ屋」を需要側、供給側のいづれとしても、仰る市場の需給政策の問題の反例となります。
私は少し違う解釈をしています。土地バブル崩壊の引き金を引いたのが「総量規制」だったことは確かで、ここまでは問題なかったと思います。バブル狂想曲を踊っていた人たちがコケただけですから(バブルはいずれ崩壊するもの)。問題は土地バブルをインフレと見て政府(日銀)が金利を引き上げたことでしょう。それでなくても不良債権を抱えて慎重になっている金融機関に対して、金利引き上げ政策は「貸すな」というメッセージになります。これにより、バブルに直接関わった分野だけでなく、そこらの町工場に至るまでが、資金繰りに困って倒産、社長は首をつる、というふうな事態が全国に広がってしまいました。長引く不況は政府の政策の誤りにあったと思います。
80年代をバブルと結び付けて連想するのは後世の見方で、当時は、高度成長はとうの昔の話になり、2度のオイルショックをなんとか乗り切って、これからは低成長の時代だと言われていました。別の面からいえば、低成長であっても大多数の国民が十分暮らしていけるという豊かさと余裕を達成した時代でした。インフレ/デフレでいえば、ゆるやかなインフレであり、だから80年代後半の消費税(3%)導入は税収増をもたらし、国民生活に大きなダメージを与えることはありませんでした。
ところが、土地高騰という一部の強いインフレ状況に対して、総量規制でやめておけばよかったものを、金利大幅引き上げという経済全体に影響を与える全面的なインフレ対策をやってしまった、つまり過剰反応をしてしまったのだと私は解釈しています。他にも不良債権処理にもたついたことをはじめ、不況が長引いた原因はいろいろあるでしょうが、詳しいことは知らないので省きます。
アメリカは日本の失敗に学んだと思います。というのも、住宅バブルの崩壊(リーマン・ショック)後、金利に関しては、かつての日本がやったのとは逆に、下げましたね。これはバブル崩壊後のデフレを防ぐ対策だったと思います。で、さすがにもうそろそろいいだろうということで、しばらく前からFRBの利上げが取り沙汰されていることはバジル二世さんが仰っているところでもあります。また、日本が手間取った不良債権処理にも学んだか、リーマンショック後、アメリカ政府は多くの批判を浴びながらも巨額の公金を銀行その他にどっとつぎ込んだ。日本の失敗例がなかったら、アメリカは「私企業を公金で救うのは許されない」というふうな自由主義に押されて泥沼にはまっていたかもしれません。
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