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今さらですが、アメリカ大統領選挙の民主党候補クリントン氏も保守党候補トランプ氏もTPPに反対という立場を表明しているのは面白い現象です。
TPPはグローバリズムの一つですから、両陣営が反対に回らざるをえないということは、グローバリズムに対して反対したり、反対とまではいかなくても懐疑的なアメリカ国民が増えていることを示しているでしょう。EU離脱を選択したイギリス国民の判断とも通底しており、まずは喜ばしいことです。
もとよりグローバリズムで得をするのはグローバリストであって、一般国民の大多数は不当に奪われる立場なのだから、理屈からいえば反対が多いのが当然なのです。ところが実際にはそうではない(なかった)のは、文字通り「地球主義」という言葉、そしてこの言葉がまとう「自由」というイメージが多くの人々に肯定的イメージを抱かせたからだと思います。グローバリズムへの反対は「保護貿易」「一国中心主義」「不自由」さらに進んで「非人道的」という意味すらまとうこととなり、忌避されてきました。
グローバリズムの進展とともに、その弊害が見え始め、懐疑的な人が世界的に増えてきていることを私は歓迎しています。早くグローバリズムの流れを押し止めないと、間違いなく簒奪される側から過激なナチス的民族主義が各国内で台頭してきます。そうなる前に手を打たないと危なくて仕方ありません。
しかしながら、(トランプ氏のことはよく分かりませんが)クリントン氏はもともとTPP推進者だったわけで、TPPの理念に反対しているわけではなく、当初思い描いていたよりも利益が小さい内容になったことに反対しているだけだと思われます。だから「再交渉」と言っているのでしょう。もっと過激にアメリカン・グローバリズムを押し込んだ内容にすべきということで、その意味では、TPP反対といっても、必ずしもグローバリズム反対者が増えたことだけを示しているのではないということも頭に置いとかなくてはなりません。
さて、肝腎の日本はどうでしょうか。
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