| |
(続きです)
>しかし、ここでわたしが問題としていることを「個人の志向が貫徹できない不利」とまとめているのは不当です。
いいえ、あなたが問題に挙げた内、就業差別については同感であって、それ以外のところをそのようにまとめているんですよ。
>というより、そのように描写したうえで「個人の志向が貫徹できない不利」は差別ではないとするならば、例えばキリスト教徒だけを優遇してその他の宗教を迫害したとしても「差別」ではないということになります。だって、「個人の信仰を貫徹できない不利」ですからね。
こりゃまた雑な史論を…キリスト教徒による異教徒への弾圧や征服や虐殺など、あまりにも凄惨なものは比較にならないとおわかりでしょうから省きます。そこで、英国の例を。かつて英国ではカトリックは公職に就けないなどの差別があった。アイルランドが領有されていた頃は、これは事実上、アイリッシュへの就業差別と同義でした。これが差別ではない、という人はいないでしょう。
しかし、では就業も平等になりました、アイリッシュ系カトリックの英国民も公職に就けるようになりました、そうは言っても、国王の式典その他、アングリカンチャーチの儀式次第で行われる行事の際に、「いや、私はカトリックなので云々」と自己主張して場を乱せば?そりゃ叱られるに決まっております。
日本でも、もし私が知人の結婚式で「え?教会で?賛美歌なんか歌えませんよ」とか「禅宗のお葬式?うちは浄土宗だから宗派が違って唱えるものも違うんだけど、困ったな」とか言ったら顰蹙ものです。賛美歌を唱和したからといって、お念仏ではないお経を唱えたからといって、私が改宗したわけでも改宗を強要されているわけではないのに、ね。
アメリカの大統領就任式で聖書に手を置いて宣誓しても、アメリカ国民が全てキリスト教を信仰するよう強制されているのではない。そういったことと同じでしょう。ある男が職場でスカートを履かないよう求められても、だからと言ってその人に「その趣味はやめろ」とか「もしゲイなら女を愛せるように心を入れ替えるべきだ」とか強要されているわけじゃないんだ。ともかく、ここはそういう自己主張をする場じゃないんだから、場に合わせなさい、そういう指導はあっても当然です。それと同時に、そういう服装ひとつとっても表現の自由のはずだから、もっと広くあってしかるべきではないかという訴えは両立するでしょう。
>また、同性愛差別を正当化する論者たちも、性的指向を単なる「個人の志向」であると決めつけたうえで、それを貫徹できない不利は異性愛を正常とする社会常識に鑑みて「差別」と呼べないと主張しました。
だからあんまり、雑な話をしてもしかたがないですよ。その正当化論者とやらは、よって就業差別があっても当然だと言ってるの?そう言ってるんだったら、私はもちろんそのような正当化は認めないし、そのような形で「個人の志向」を持ち出してくるんだったら、いくらでも反論するでしょう。
>あなたの言うように「ジェンダーの規範による『差別』」は差別ではないとするためには、差別の定義に無数の例外規定を設けなければいけなくなるのです。
逆でしょう。世の中が成り立っていくうえで、ものの見方や考え方が異なる人が集まっていてなんぼなんだという約束事を守る上で、「あなたの内心には立ち入らないが、この場は、この場に合わせなさい」という態度を守ることも必要です。それを拒否するなら、同じものの見方や考え方のひとたちだけが集まって、勝手にやってろということになる。そっちのほうが問題でしょう。マイノリティは見る間に疎外されますよ。
>もちろん、例えば「スカートを履く男性」とあなたが個人的に友達付き合いをしない、というのはあなたの自由です。しかし、もしあなたが採用担当者だったとしても、それを理由に「スカートを履く男性」を雇用しないというのは「差別」にあたります。「社会常識に照らして妥当である」と言うかもしれませんが、仮にそうであってもそれを「差別」と呼ばない理由にはなりません。
ほら、勝手に決め付けて。私の男女観で言えば、スカートを履く男だろうがゲイだろうが、そんなこと自体は交友の基準でも何でもありませんよ。まして私が採用担当者だったとして、プライベートの服装の趣味を採用基準にするわけもありません。また、同僚や後輩の誰某が女装趣味があると知られて、そのことで中傷されているようなら発言者に注意もしますよ。でも、私にできることと言ったらその程度のことでしかないわけです。
で、一体、何で私は議論中にこんなことを申告せにゃいかんのだ?相手の内心を問題にしているわけじゃない…と言いつつ勝手に私の内心の男女観を決め付けられて、すごく心外だから「違う」と言わなくちゃいけないはめになったが、何の尋問なんだこれは。ほんと、フェミナチだな、あんたは。こんな嘘つきに権利だの差別だの言われたくないや。
>しかし、あなた個人の男女観を理由に他者の権利を侵害するなというだけ。
私の見解が、いつ、どこで、誰の何の権利を侵害しているんですか。きちんと引用して「ここが権利侵害」と指摘するように。私が具体的に「そんな権利ありません」としたところは、あなたも「わたしはそんな権利を主張していません」としているんですよ?あなたがたジェンダー教徒は、そうやって合意箇所も反故にして「あなた個人の男女観を理由に他者の権利を侵害するな」と言い出すんだ。いい加減にしろと言いたいですね。
|
|