|
とはいっても、彩菜はハイエンドクラスの能力を持ち、神級の仲魔を自在に操ることが出来るが、俺は登録自体は最下位のクラス。俺の実戦研修の指導担当が彩菜だったのだ。
大して危険の無いはずの魔物に乗っ取られたソープに乗り込み、低級の淫魔ぐらいだろうとたかをくくって他の研修生たち4人と踏み込んだ。
「まさか・・・うそでしょ?」
彩菜の使役する大天使級の仲魔が次々と沈黙し、俺の前にいた他の男の研修生3人があっという間に魅了され、精気を吸い尽くされていく。
淫靡な微笑を浮かべる魔物は豊満な女の肉体を持ち、背中には魔族の証である蝙蝠のような羽が蠢いていた。
「い・・や・・・」
逃げようとしたもう一人の研修生の女は、出口の寸前で動けなくなった。
その服を突き破って羽が生えてくる。ゆっくりと振り向く女の人間の顔がずるり、と床に落ち、その下から真っ赤な目と牙の生えた淫魔の顔が現れる。
その小さなソープランド。そこで遭遇したのは全ての淫魔達の女王として君臨するサキュバスだったのだ。
「そっちの娘、面白いね。力を持っている。ちょうどいいわ、こんなところに隠れてるのにはウンザリしてたのよね。」
ばさっ、と空気が鳴ってサキュバスは彩菜の目前に舞い降りていた。
「顔も可愛いじゃない。気に入ったわ。私、アナタになってあげる。」
「こ・・・・こないでっ!」
「声も可愛いわね。その顔も声も体も、天使どもを操る力も全部いただくわ。」
腰が抜けて立てない彩菜の前のサキュバスの肉体が紫色の気をまとわり付かせながら徐々に透明になっていく。
その隙に逃げればよかったのだ。彩菜にサキュバスが気に取られてるうちなら逃げられたかも知れない。
その時俺は・・・
|
|