|
何でそんなことを?
今考えても判らない。
突き刺すはずのナイフが、彩菜と同化しようとしていたサキュバスの背中に腕ごと沈む。
「ば・・・化け物め!!」
腕を引き抜こうとしてよろめいて、踏み出した足が尻までサキュバスの下半身に?
「グエエエエゥアアアアッ!?」
サキュバスが逃れようと身をよじった。その後頭部に顔がぶつかり、上半身も引きずられるようにサキュバスの背中に潜りこんで行く。
「ぐえええええっ、何なのよこの男!?アタシに・・・・このっ!」
じたばたともがくサキュバス。
目の前で震える彩菜。
俺の口からサキュバスの声。
胸にぶら下がる乳房と背中で動く羽根。
そして手が動く?
「人間めえっ・・・アタシの手を??」
目に映ったのは左腕のCOMP。長い爪の生えたサキュバスの指で、俺は夢中で悪魔召還用プログラムを起動させる。
「何する・・ぐぅうっ。」
サキュバスの反抗で指がめちゃくちゃな動きに。くそっ・・・ヤバイ・・・COMPが・・・
腕のCOMPが握りつぶされ、引きちぎられた。全身に電撃が走る。
「ガッ・・・ハッ・・・はあっはあっはぁっ・・・・」
ゆっくりと体に手を這わせる。
サキュバスの体・・・
「なんなのよ・・・私を・・・・乗っ取ったの?」
彩菜が涙目で銃を俺に向けている。その銃口は震えて定まらない。
「まって、もう危害は加えないわ。アタシ、乗っ取られちゃったのよ。あの男に。」
その手から拳銃をゆっくり取り上げる。
「の・・・の・・・乗っ取られ・・た?」
「そうなのよ。アタシの意識はもう無いみたい。」
彩菜を助け起し、俺は背中の羽を仕舞った。徐々に小さくなり、背中に潜りこんで行く。サキュバスが最初に取り込んだソープ嬢の女の姿になる。
「う・・ふう・・・・」
股間から何か大きなものが滑り出てきて、床に落ちた。
粘液まみれの皮の塊のように見えたそれは、なんと俺の全身の皮だった。
-----------------------
「誰が男だって〜?」
いつの間にか彩菜が後ろに立っている。そしてあっという間に俺の頭の皮を・・
鏡には驚いた顔のサキュバス。そう、これが今の俺の体なのだ。俺の皮をかぶって俺に化けている淫魔の女王。
「や、やめろ!誰を助けようとしてこんな体になったんだよ!?」
「うん、ゴメン。助けてもらったんだよね。それよりDBネットのメール、早く見て。」
顔を直しながらパソコンの前に行くと、山本長官から直々のメールが入っている。
その内容は、
|
|