|
ウエノ近くのガイア教団の施設近辺で不穏な動きがあるとのこと。
「暇つぶしにはいいんじゃない?私指名してよ。」
メールにはもう1名、同行者を指名して二人で行くことになっている。
にこにこしている彩菜をちらっとみて、俺はため息を付いて彩菜のIDを送信する。
俺自身の皮は、分離できる体の一部のようなかんじで脱いでも生きている。
それをバスタブに寝かせ、鏡に向かって顔を見る。
見るものを虜とする淫魔。その変身能力で獲物の理想の女性の姿になるというが、それだけでなく今の俺は相手の肉体に触れるとその姿を写し取る、という能力を持っていた。
「はい、握手。」
「あっ・・」
あっという間に双子の彩菜となる。
「可愛いわよ、レイナちゃん♪」
彩菜は俺を自分の双子の妹、という設定が好きらしく、ペアで動くときはいつもこれだ。
同じ制服を着ると区別が付かない。
「さ、いこっかあ〜」
はしゃぐ彩菜を先頭に俺たちは地下鉄の駅に向かった。
その大半が破壊されて運休となっているが、上手く乗り継げば神田までは出られる。
そこからは何とかするしかない。
ゴミだらけの階段を下りて無人の改札に向かう。
壁は元の色が判らない位落書きされ、地下独特の異臭が漂っている。
改札の前に人影が見える。
俺たちは一旦足を止めた。見た目はか弱い双子の女子高生だ。用心しないとすぐにちょっかいをかけてくるやつがいる。人間でも悪魔でも・・・
近寄ってみるとその人影は・・・
|
|