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俺の所為とは言え、こんな小さな女の子を気絶したまま放って置くのは気が引ける。倒れるまえに言っていた台詞も気になるし、ここは様子を見るか。
液体の身体をゆっくりと顔に近づけていく。
そのまましばらく見ていると、突然あゆみちゃんが目を覚ました。
だが様子がおかしい。目に光が無いし、口もだらしなく空けて黙りこくっている。
どうしたものかと思っていると、不意に奇妙な感覚が俺を襲った。
視界がぶれている。というか重なっている。あゆみちゃんの顔が見えると同時に液体状の俺の身体も見えて……
……これはもしかすると、俺とあゆみちゃんの意識がが繋がったのではないだろうか。
試しに意識を集中させて、あゆみちゃんの内面に入り込むようなイメージをする。
すると、身体に重みが感じられた。確認のため身体を見下ろす。
「成功……したのか……?」
今の俺はまごうことなき進藤あゆみそのものだった。……よし、記憶も問題なく引き出せる。
あゆみちゃんには悪いが、俺の逃亡生活のためだ。しばらく身体を借りさせてもらおう。
他人にばれないようにするため俺の本体を一気に飲み込み、あゆみちゃんの人格をかぶらせてもらうことにした。
「これで当分は安全かな。麗華さんもまさか俺が私だなんて気付かないよね」
ひとまず、これでひと時の安息を手に入れることが出来た。
あとはこれからどうするか、を決めなくっちゃ。ずっと私のままって訳にもいかないもの。
そう思っていると、突然部屋のドアが開いた。
そこからひょいと顔を出したのは――
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