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いろんな見方があるとは思いますが、私は格別自民党を「やばい」とはおもっていないのです。「やばい」のは日本の政権で、民主党の政権も相当にやばかった。消費税10パーセントというのは小泉後の自民党政権が言い始めたことですが、民主党が政権を取ると「消費税増税はしない」と言っていたにもかかわらず管首相の時でしたか、いきなり「消費税10パーセント」と言い始めた。
政権党が変わっても変わらないもの、それは官僚機構です。官僚機構は狭義の「権力」は持っていませんが、国内重要情報を握っているのはもちろんのこと、海外主要国と膨大な国際情報を共有し繋がっている日本の神経中枢です。民主党みたいに「政治主導」みたいな幼稚なことを言ってても話にならないわけで、この官僚機構の能力をさらに高めながら使いこなす力量が政治家には求められます。ところがそういう政治家も政党もないのか今の日本の不幸だと思います。
なぜそれが不幸かといえば、官僚機構は化物ではなく知識やノウハウを豊富に蓄積した職能集団ですから、本来、それを使いこなす政治家を欲している、ところがそういう政治家がいないために、国際的に力のある勢力に引っ張られてしまい、その能力を日本国民のためではなく日本国という政治機構のために使うようになるからです。
言いかえれば株式会社化してしまうということです。数年前、ソニーの副社長が新聞のインタビューで言っていたように「雇用を守ることで株主を失望させることはしない」、つまり社員を守ることよりもクビを切って株価を上げる方を選ぶ、というふうになっていく。
構造改革とか、経済特区を作るとか、デフレでも消費税を上げるとか、ここ20年来やってきたこと、これからやろうとしていることの全体はそうした国家のグローバル企業化ととらえることでだいたい説明がつくと思います。その場合、国民は主権者というより「労働者」であり、「安くて」「使える」存在であることが求められます。だから英語教育も「文学」だの「思想」だのではなく「ビジネス」へとシフトされねばなりません。
ナナコのいう自民党の憲法改革草案というのも、一言でいえば、国民主権からトップダウン型国家へという内容ではありませんか。もちろんそこまで露骨に書いてはいないけど、方向としてはそういうことでしょう。
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