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佐伯啓思氏による朝日新聞コラム2回目も憲法を扱った内容でした。
近代憲法は個人の基本的人権を守るために国家権力に縛りをかけるものであると言われていて、それは王権などの専制的支配を倒すところに成立した西洋近代国家が起源だからだろう、と佐伯氏は言います。同じ西洋でも王権を倒す革命を経ず現在も君主国であり続けるイギリスには成文法としての憲法はない。だからといってイギリスで基本的人権が保障されていないとは誰も言わない。「憲法」と訳されるコンスティテューションは「国のかたち」という意味であり、耳障りな言葉を使えば「国体」のこと。「国のかたち」はそれぞれの国の歴史的文脈の中でかたち作られるものだろう。その意味では近代憲法のほかに歴史的憲法のようなものがあってもいいのではないか。
ざっくりいうとそんな内容です。
5月3日憲法記念日の特集記事には佐伯氏の弟子筋にあたる柴山桂太氏のコメントが寄せられていて、「戦後の日本はアメリカの圧倒的軍事力への依存によって平和が保たれてきたから9条が生き残ることができたのであって、9条があるから平和が保たれてきたのではない」(記憶による不正確な引用)という意味のことを述べています。この柴山氏は左派の護憲論にも右派の改憲論にも反対、現状では解釈改憲が次善の策という立場です。
佐伯氏も柴山氏も穏やかな保守なので、ネット右翼な人たちからみると刺激がなくてつまらないかもしれませんが、朝日新聞は妥当な人選をしているのではないかと思います(左派については相変わらずアホみたいな人を使っていますが)。
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