窓の外のざわめきが段々はっきりしてくる。
窓から差し込む太陽は昼間の明るさだった。
「まだ寝ているの?」
返事も待たずにドアが開き、入ってきたのは・・・
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近衛 史菜。
 SKN  - 10/3/20(土) 11:59 -

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   転校生で、シャナちゃん達が仮面舞踏会の巫女、ヘカテーという紅世の王と瓜二つだといってかなり調べたようだが、人間だという結論に落ち着いたはずの・・・
無表情なまま、俺を一瞥したその冷たい眼差し。それはいつもの近衛史菜ではない。
「あの・・・近衛さん?だよね?」
突然水色の光の玉が史菜の肩の上に浮かび、それが見る見る大きくなって、一直線に俺を貫いた。
「ぐああああっ!?」

掠れていく意識。少し離れた地面に、俺の下半身が転がっている。
胸から下が消失していた。
史菜は特に気にする様子もなく、俺の体から流れ出した存在の力を吸い込むとそのまま廃墟のほうに歩き始める。
くそっ・・・くそっ!!!こんなのアリか!?このまま死んでしまうなんて。
何にも役に立たないまま、死んでしまって皆に迷惑をまたかけて?
マージョリーさん、なんて言うんだろう、俺を見て。

『ねえ・・・あなた。』
誰かが話しかけてくる。少女のような若い女のイメージ。
「だ・・れ?」
『私は紅世の王の一人。このペンダントに封じられていたの。契約しない?私のフレイムヘイズになってよ。』
「えっ・・・・俺が・・・シャナちゃんや・・・マージョリーさん・・・みたいな・・・」
『どうなの?早くして。』
「ぜひ・・・お願いします。」
『貴方としての存在は消えるけど、いいわね?』
「・・・はい。」

そして俺は・・・
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しばらく呆然と床に座っていた。
 SKN  - 10/3/9(火) 13:36 -

引用なし
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   何なんだ?
一体なんだっていうんだ・・・くそっ、猛烈に喉が渇いてきた。
男の声がする。
「早く着ないと、水分なくなって死ぬよ?」
俺?俺の皮を着たのか!?
嘲る様に俺を見下ろす俺。
「しょうがないな、ほら、足から入れて。」

全身ヒリヒリとした痛みが、徐々に治まってくる。
「男になるってこんな感じなんだ。なんか力が沸いて来る感じ。ここはどうかな・・・おっ?ちゃんと使えそうじゃん。なあ飯田、一回やろうぜ。」
「なっ?」
「そっちも試してみたいだろ?結構気持ちいいぜ、女。教えてやるよ。」
「ちょっ・・・ま・・・」
俺になった飯田は・・・
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Re:俺の手をとって引き起こした。
 くろう  - 10/3/8(月) 1:08 -

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   「さ、これで今日からお仕事はじめられるでしょ?」

女はテキパキと朝の準備をしているみたいだ。

「1日のはじめはしっかりご飯食べないとね。ご飯食べたら、詳しく説明してあげるわ。服はそこにおいてあるから、適当にきてダイニングに来てね。」

そういいおき、俺は一人ベッドルームに残された。

「これ、どうなってるんだ。。。?」

俺は鏡の中のすっかり変わってしまった自分を見ながら半ば呆然としていた。
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うっとり俺を見ている。
 Skinner  - 10/2/20(土) 11:56 -

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   ちょ、ちょっと待て茜ちゃん、君という安全装置が働かないと俺の中の危険物はどうなるんだ!?
「私ね、ずっと憧れてた事があるの。綺麗で優しいお姉さんに思いっきり甘えてみたいなぁ、って。」
変なフラグを立てないでください・・・
「いいわ、茜。今から私があなたのお姉ちゃんよ。お姉ちゃんって呼んでみて?」
「おねえ・・・ちゃ・・ん。きゃっ。お姉ちゃん!!」
茜ちゃんが抱きついてくる。
「可愛い私の妹。可愛い顔、可愛い胸、貴女は私の自慢の妹よ。ほら・・・こんなになってる。」
「お姉ちゃん・・・スカートが・・・」
うわあぁっ?スカートを持ち上げている俺の股間の爆発寸前な部分を、茜ちゃんはおずおずとスカートの上から触ってくる。
「んんっ・・・嬉しい、茜。もっと・・・触って。」
「お姉ちゃんなのに・・・はあ、はあ、何でこんなのが・・・」
「大好きな貴女の為よ、茜。」
「お姉ちゃんっ!!」

はい、茜ちゃん堕ちました。

初めての相手は俺なんかじゃやだ、とかいってたくせに。
女装した俺とならOKとか、マジ有り得ない。
「茜・・・行くよ?私でいいのね?」
「お姉ちゃん、大好きだよっ、お姉ちゃんなら何でも大丈夫っ!!」
正気に戻ってくれ。今茜ちゃんの初めてを奪おうとしているのは俺でも無くてお姉ちゃんでも無い。股間に凶器を装着した葉月なんだ。
やば・・・あそこの先が暖かいところにっ!
「きゃっ!?」
「!?」
部屋のドアのほうで、何かが割れる音がした。
いつの間にかドアが開かれ、床に割れたグラスが。
「あ、あ、あ・・・・」
そこで絶句していたのは・・・
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並んで俺のベッドに腰を下ろした。
 Null  - 10/2/19(金) 12:10 -

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   「はあ・・・はあ・・・やりすぎだよぉ葉月。」
「ちっ、残念。」
こいつ、趣味が多方面だな・・・
「そろそろ終わりにしない?また今度遊ぼうよ。直利お兄ちゃんにはまた頼んでみるから、ね?これ以上はなんか危ない気がするよ。」
そうそう、そうしてくれ。もう沢山だ・・・

「葉月ちゃんの服ここに置くよ。」
「うん・・・へえ、結構スリムなんだね、お兄さん。ふっふっふっ・・・」
何か悪寒が今・・・
「茜、ウィッグない?」
「ウィッグ?判んないよ、ウチじゃないし。ちょっと葉月、どこへ・・・」
葉月はお袋の部屋に勝手に侵入した。
「お、あったあった。高級品っぽいね。」
「あ、そういえばおばちゃんが通販で衝動買いしたって前に言ってた。」
「まずは〜下地から。肌も綺麗だね、これはいい物できますぞ♪」
なあああっ?俺の顔に何をするっ!!
前髪をピンで留め、鏡を覗き込む葉月。
「むぅ・・・眉毛ちょっと・・・まあいっか。」
引き出しから取り出したのは・・・毛抜き?ちょっと、まさか俺の眉毛を?
「や、止めなよ葉月ちゃんっ!それはまずいってば・・・」
「だ〜いじょうぶっ。前髪で隠せば判んないよ。えいっ。」
ぶちっ
「抜いちゃえっ!」
ぶちっ
「抜いちゃえ抜いちゃえっ!」
ぶちぶちぶちっ!
止め〜〜〜て〜〜〜くれ〜〜〜〜〜〜っ!!!


「さっすが親戚だね。ちょっとびっくり。」
俺も驚いている。鏡に映っている俺の顔は、姉妹といっても通りそうなほど茜ちゃんに似ていた。眉毛は完全に綺麗な女性型に整形されてしまっている。
「ほんとだぁ、私みたい。髪型も似てるから?」
かつらの生え際の部分に肌色のクリームのようなものを塗ってこすると、まったく判らなくなってしまう。
「さすがにちょっときついね、服。」
葉月は俺の体で、自分の服を着始めた。
「ちょっとこっちきて。」
茜ちゃんを鏡の前で並んで立たせると、見事な双子が完成していた。
「さあて、どこ行こうか?」
おいっ!それだけは・・・俺の健全な男子としてのアイデンティティが崩壊してしまう。
家族や近所の人に見られたら・・・ぶるぶる。

茜ちゃんは・・・
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従兄の優弥(ゆうや)さんだった。
 Skinner  - 10/2/19(金) 1:02 -

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   「お、直利、あれ茜ちゃん?ずいぶん美人になったなぁ。」
優弥さんは優しく微笑んだ。
キラリ、真っ白な歯が光る。助かった、女の人だったらどうしようかと・・・

俺の体が茜ちゃんの腕を掴んで家の中に引き返す。
「だだだだだだ・・・・誰っ?今のっ!?」
「い、痛いよ葉月ちゃん。親戚の優弥さんだよ。確か京王大学の2年生だったかな?」
「なんですとぉ!?ガチ好み!ねえねえ、彼女とかいるのかな?」
「ん〜・・・いないと思うよ。中学、高校のときもいなかったらしいし。それに・・・」
「それに?」
「あの・・・ちょっとアッチの方らしいよ。」
俺の右手が茜に向かって親指を立てる。
「BL超オッケエエエエエエエイッ!」
「は・・・葉月ちゃんっ!?」
いや、ダメだろう普通。
読者が引くって・・・

玄関のドアが開く。
「おいなんだよ二人とも、人の顔を見るなり・・・」
「あ、ごめんなさい。直利兄ちゃんが・・・その・・・」
「ふふっ、ナオ、やっと俺の気持ちに気が付いたとか?」
超危険な展開。人生最大の危機が目前に迫っている??
「あの俺なんか、きっと不釣合いだと思うけど。一緒にいられたら幸せかな、って。」
ばっ、何を言ってやがるんだッ!!この口を、俺の口を誰か止めてくれ!!
「ふっ、ナオ・・・可愛くなったなお前。」
優弥さんが俺の手を優しく握る。そして、どこから沸いてきたんだ?この背景いっぱいの薔薇はっ!?

「だ、ダメだよっ!!ナオ兄!!こっち来てッ!」
我に返った茜ちゃんが俺の腕を掴んだ。
「ナオ、どこに行くんだい?」
「ゆゆゆ、優弥さん、あの、また今度っ!」

こうして俺の人生最大の危機、絶体絶命のピンチは茜ちゃんの手によって回避された。
再び部屋に戻った俺たちは・・・
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にゅあ(な)んですとーー
 憑依サイコー  - 10/2/18(木) 20:17 -

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   このアニメって、そんなにすごいのか…

あ、どうもお久しぶりです。いろいろ忙しいけど、このようにスレで気持ちを伝えられてうれしいです^^

何らかの形で気力があれば、書きたいなあw><
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原作面白そうですね。
 Skinner WEB  - 10/2/17(水) 19:52 -

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   DVD探してみますか。
この辺のをちょっとまとめて見ました。
http://ish.sp.land.to/bt0001/
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無意識に銃をその子に向けていた。
 null  - 10/2/17(水) 9:40 -

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   ニコニコと無邪気な笑顔で、もう1mぐらいまで歩み寄ってくる少女。
「オジャ・・マシテマ・・・す♪」
「止めて葉月っ!!人間なのよ、撃たないでっ!!!!」

ひゅんっ

「あぐっ!?」
手に衝撃が走り、銃が弾き飛ばされてソファーの裏に飛んだ。
「結界の外で何かをされたの。人間以外は結界には入れない。ゴメンね朋子ちゃんっ。」
弥生の手刀が少女の首筋に。そのまま崩れ落ちた少女の体を弥生がキッチンの引き出しから出したゴミ紐で縛り上げた。

「皐月!皐月はっ?」
俺は銃を拾おうとして、ソファーの陰の床に白いソックスの足が出ているのに気づく。
「皐月っ!?」
皐月は制服のまま、口の周りを粘液で濡らして気絶している。
右頬の白い肌が殴られたように鬱血し、鼻から血が流れている。
「皐月・・・皐月・・・」
「なっ、何!?まずい・・・結界が。」
弥生のうろたえた声。
窓の外を見ると・・・山が動いている。
そしてジリジリとこの家に向っている。そして無数の怨霊の姿。
「カテゴリーB?何やってるのよ、早く来てよ・・・」

家全体が圧力がかかった様にギシギシと軋んでいる。
「破れる・・・」
弥生は両手に短機関銃を構えた。
スカートに予備の弾倉を差している。
「葉月、皐月の側から離れないでね。」
「は、はい・・・」
H&K MP7を弥生から渡される。ドイツ製の高性能サブマシンガン。まさか実物を触ることになるなんて。

多すぎる。きりがない。綻んだ結界の中に次々と侵入してくる怨霊の群れ。まったく減った気がしない。
皐月を背後に隠しながら最後のマガジンをMP7に指し込み、ぎりぎりで目前まで迫った4〜5体の怨霊を吹き飛ばす。
そして、止まった。弾がもう無い。ゆらゆらと怨霊が俺たちを取り囲み始めた。

どうすればいいんだ?皐月を守れない。
「葉月ちゃ・・・ん。」
「皐月!?」
慌てて振り返ると皐月が目を覚ましていた。殴られた跡のある方の目が内出血で真っ赤に染まっている。そして右手に握られた、俺がさっき落とした小型拳銃
の銃口が俺の額に押し付けられる。
「さ・・・つき?」
あいつ等に乗っ取られたのか?
「ばいばい・・・お姉ちゃん。」
指に力が入る。安全装置がかかっていてそれ以上トリガーは動かない。
「私判るんだよ、だって葉月ちゃんが今日いっぱい練習したから。うふふっ」
皐月が嬉しそうに笑った。
そして正確な動きで皐月の親指が安全装置を外した。
「皐月ッ!!葉月っ!!!!」

全ての弾を撃ち尽くした弥生は、コンバットナイフで至近距離にいた怨霊を切り払って、こちらによろめきながら向ってくる。
「皐月?や・・・止めろっ!!」
初弾が右にそれ、直ぐに修正して撃たれた二発目は弥生の左太腿を貫通して後ろに血が飛び散らせた。そして照準は弥生の頭部を狙う。その小さな体と重なって、背後に影が見えた。こいつが皐月を・・・


「ぐおおおおぉおおぉおおぉんっ!」
突然その影が二つに裂け、消滅する。皐月がぺたん、と尻餅を付き、俺を見る。
「葉月ちゃん・・・」
両目から涙が溢れ出す。なんだ・・・皐月の悲しみが俺の心に流れ込んで・・・
「皐月?」
「葉月ちゃん・・・私が弥生お姉ちゃんを・・・」
駆け寄って皐月を抱く。手の拳銃を奪う。
「くっそおおおぉ!」
残りの6発で2〜30体の怨霊が吹き飛んだ。

絶望的な状況はまだ継続していた。
山のように巨大な何かが、結界のあった場所まで迫っている。そこからどす黒い気の流れが吹き付けてきて吐きそうになる。もう武器がない。

皐月に憑いていた怨霊が裂けた場所から、何かを感じた。
「・・・これは・・・」
地面に突き刺さった日本刀。揺らめくように、白い焔に包まれているように見える。
「葉月っ、ダメよ。それに触らないで。あなたの人格をルートにおいて、下層に関連付けしなきゃ・・・あなたが壊れちゃう。」

弥生の声で俺は手を引っ込めた。
しかし・・・もう助かる道はない。
「弥生さんっ、俺、壊れたら適当に処分してください。」
「は、葉月?やめ・・・」

『こんにちは。』
心に誰かが話しかけてくる。女みたいだ。凄腕の退魔師っていうから、目つきの鋭い男を想像していた。
『でっかいのだけ狙うわよ。カテゴリーBを滅すれば周りのザコなんて問題ないわ。構えて。』
深呼吸をして日本刀を構える。
『集中して。あなた達の力なら必ず出来る。』
あなた達・・・って俺と皐月の事?
「いえあああああああっ!」
地を蹴り、空中から刀に全ての意識を乗せて・・・

着地した俺の後ろで両断された山が、ただの土となって崩れていった。
「葉月ちゃんっ!」
「葉月っ!」
遠くから呼ぶ声。よかった。守れたんだ、俺。
『私のことは内緒にしておいたほうがいいと思う。私はあなたをどうするつもりもないし、この体も奪ったりしないわ。でも私は惑って怨霊化した。人もいっぱい殺しちゃったの。他の退魔師がこの状況を知ればただじゃすまない。』
そんな事いわれて、どう返事しろと・・・
『ただ黙っていればいい。怨霊化した私は他に存在する。私はその残り滓みたいなものかな?それにあなたが守りたい者を守る手伝いがしたいの。私がしたかった事。』
二人が息を切らせて駆け寄ってくる。
「葉月あなた・・・大丈夫なの?」
『じゃあこれからよろしくね、鈴木直利くん♪』
なっ、知っているのか?
『知ってるわよ、私は今やあなたの一部なんだから。女の子歴は私のほうが長いから、色々と教えてあげるわ。あ、お姉ちゃん歴も、ね。』
「弥生さん、俺は平気です。足、大丈夫ですか?」
「幸い綺麗に貫通してくれたから。22口径のマニ弾だったし。あ・・・今頃来たわ。」

家の前に続く道をハマーが登ってくる。
「助けを頼んだ人ですか?」
「そう、公務員の拝み屋さんたち。ちょっと貸しが有るのよ。っていっても遅すぎ。役に立たないわね。」
車が止まり、黒いスーツの男達がバラバラと降りてきて、辺りに残っていた怨霊たちを退治し始めた。一人だけ小さな人影が。俺と同じように日本刀を持っている。
『絶対に内緒よ。特にあの子には。』
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慌てて目をそらした。
 A  - 10/2/16(火) 10:50 -

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   「何ですか?先生。」
「何でもないわよ。それと先生はやめて。あなたは葉月なのよ?」
「あ、ごめんなさい。」
「明日それとなくオリジナルの鈴木君の様子を見てみるわ。それとあのファスナー、誰が持ってるの?」
そうだ、あのままバタバタしてて・・・
「俺は持ってないから、茜ちゃんかな?」
「そう、回収しておいてね。一応機密事項に触る物品だから。」
「はい。」

洗物が終わり、リビングで取り込んでおいた洗濯物を畳んでいると皐月が入ってくる。
「葉月ちゃん、まだ終わらない〜?」
「ん、もうちょっと。何かあるの?」
「あのね、皐月さ、ちょっとお願いがあるんだけど・・・」
「何?エッチなことは却下だよ。」
「うぅ・・・違うよ、あのね、
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「何でわざわざあなたが作られたか・・・」
 null  - 10/2/15(月) 8:35 -

引用なし
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   「はい?」
「身の回りの世話なんて本当はどうとでもなる事。葉月を作らなきゃならなかった理由はね、霊力の強くなりすぎた皐月を隠しきれなくなるって思ったから。器を二つにして霊力を割れば暫くは凌げるかなって思ってたけど。今のあなた達は当時の測定値をそれぞれもう越えているわ。」
「聞こうと思ってたんですけど、今の技術で人間のクローンなんて・・・」
「無理に決まってるじゃない。あんまり深くは聞かないで。でもその体は多分完璧。中国産だけど。」
なんだ中国って。何かすご〜く嫌な気分になったぞ・・・

「うぐっ?」
口を押さえる。猛烈な吐き気。全身ががたがたと震え、汗が噴出してくる。
「葉月?」
「ゲボッ・・・・んんんっ・・・」
声が出せない。体の震えが激しくなり、胃液が逆流して口を押さえた指の間から噴出した。涙で何も見えない。
「ちょっと・・・大丈夫?」
携帯のバイブの音がして、弥生が携帯電話を開いたようだ。
しばしの無言。メール?
「まさか・・・」

どんっ!

シートに背中が押し付けられるほどの急加速。
弥生は携帯で誰かを呼び出している。
「もしもし?挨拶は後でッ!アンタに頼むのは癪だけど、頼むわ。うちの周りに張った結界に多数の接触があったの。・・・うん、かなりの数。あの子が危ない。こっちは20分で行くわ。・・・そんなにかかるの?・・・とにかくお願い。」

俺は両手でシートベルトを握り締め、全身を襲う極度の不快感に耐えていた。
ETC料金所のバーに車の屋根が接触する音。
一般道に飛び出したアウディは渋滞の列から対向車線に飛び出して加速していく。非難のクラクション嵐。
「葉月、しっかりしてッ!貴方が頼りなのよ!」
くそっ、そんな事言われたって体が動かない。

丘陵地を切り開いて作られた集落の最上部に、昔からあった古い道が伸びている。その行き止まりが家だ。家に近づくにつれて不快感は頂点に達しそうな勢いで俺の体を襲っている。
車が急停止した。
見えた。
手の甲で涙を拭い、俺は震える手でバッグの中の拳銃を探した。フロントガラスの前に広がる光景は、普段通りの輪郭を持ちながら異質の色に染まっていて、その中を何かが漂うように動いている。
弥生はグローブボックスを開き、黄色いゴーグルのようなものを取り出して顔に装着した。
「これはウチが開発して防衛省に納品した物の次の試作品。あなたには見えないかもしれないけど、これを着けるとあいつ等を見ることが出来る。何なの?この数・・・まさかあの刀が原因?」
次にシートの下から弥生が引っ張り出したのは・・・銃だった。
確かイングラム?短機関銃でかなりのスピードで連射出来たはず。
「結界は破られていない。でも急ぎましょう。大丈夫?立てる?」
声は出せないが、何とか車を降りた。

イングラムの吐き出した対魔弾は玄関に続く小道を塞いでいた何かを吹き飛ばした。金色に輝く結界の中に入り、弥生が玄関を開く。玄関には皐月の靴と、同じぐらいの大きさの見慣れないローファーが2足。
「ううう・・・・ぐす・・・」
すすり泣く声。
「皐月っ!?」
声のするリビングのドアを開く。目に入ったのは皐月と同じ学校の制服を着た少女二人だった。
「あっ、こんにちわっ。お邪魔してます♪」
「朋子ちゃ・・ん?」
にこやかに笑って挨拶する少女は、俺たちに向かってぺこり、とお辞儀をした。
その右手はもう一人の少女の腕をねじり上げている。
「イタイッ・・・やめてよぉ・・・トモ・・・・ぎゃあああっ!?」
腕を捻りあげられていた女の子の肩から嫌な音がして、腕が変なほうに曲がった。そのまま失神した少女を朋子と呼ばれた少女は無造作に突き飛ばした。
「あっ、こんにちわっ。お邪魔してます♪」
こちらに一歩、歩み寄る。
「あっ、こんにちわっ。お邪魔してます♪」
ニコニコと嬉しそうに笑いながら。
「オジャマシテマス♪」
「う、わ・・わあああああっ!」
「葉月っ!ダメ!!」
俺は・・・
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喰霊
   - 10/2/14(日) 13:37 -

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   アニメの最終話で久しぶりに涙腺切れた思い出が。というわけで思わず衝動的に書込み。ちょっと反省中。
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「葉月ちゃん、どれにするの?」
 J  - 10/2/14(日) 12:37 -

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    駅前のドーナツショップで目を輝かせている皐月。
 皐月は甘いものに目がない。
「ねえねえ、これいつもだと幾らだっけ?どれでも100円なら・・・これかな?ううん、こっち。あぁもう〜!」

 窓際の席で皐月は3つ選んだドーナツのどれから食べ始めようか、真剣に悩んでいる様子。ついに決定したらしく、一番ごてごてしたデコレーションのひとつにかぶり付く。
 「んんん〜〜〜っ。おいひぃ〜♪」
 一人っ子だった俺には兄弟姉妹と過ごした経験がない。しいて言えば従姉妹の茜ちゃんとは、小さなころから家が近いこともあってよく遊んだけど。その茜ちゃんとも今は親戚ではなく、高校の同級生という関係になった。
 本物の俺、鈴木直利は現実に存在している。俺は皐月のクローンのこの体に写し取られただけの存在で・・・
「ねえ、葉月ちゃん?」
「えっ?あ、うん。何?」
「何考えてたの?ぼーっとして。」
「ううん、何でもないよ。あ、ほらちょっと。」
 紙ナプキンを引き抜いて皐月の口元の生クリームを拭いてやる。
「ありがとぉ。」
 本当に可愛い女の子だ。容姿はもちろんだけど、両親が亡くなったはずなのにいつも明るく、素直で。
「ねえ葉月ちゃん。」
 気がつくと皐月は俺の目をじっと見つめている。そしてそっと、俺の手に手を添える。
「ありがとう、私のお姉ちゃんになってくれて。私、ずっと一人だったから・・・本当にありがとう。」
 そうか。弥生は一緒に住んでいるけど、本当の肉親ではない。きっと寂しかったんだろうけど、それを出さずにずっと耐えてきたんだ。
「お姉ちゃんって呼んで、迷惑じゃないかな?だって葉月ちゃんは本当は・・・」
 ぎゅっと手を握り返す。
「俺は葉月。お前の姉だ。ずっと一緒にいるから安心しろ。」
 ぱあ、っと皐月の表情が輝く。そうだ、俺はもう鏡原葉月なんだ。
「どっかに行ったりしないでね、葉月ちゃん。もう一人ぼっちは嫌だから。」


「そう、よく知ってるわね。」
 俺は手にした小型拳銃の弾倉を装着し、スライドを引いて初弾をチャンバーに送り込んだ。
「一応男として18年間生きてきましたからね。モデルガンで同じやつも持ってたし。」
 ワルサーPPKS。ちょっと古い自動拳銃だ。
「実戦では対魔専用の弾丸を使うんだけど、調達が大変だから練習用の通常弱装弾を使う。体は中学生の女の子だから、両手でしっかりホールドして。」
「はい。」
 あれ以来二度と弥生は刀のことを口にしなかった。その代わりという事なんだろう。俺は弥生に連れられて深川の警察の射撃練習場に来ていた。話は通っているらしく、すんなりと中に通された。

 「凄いわね。本当に初めてなの?」
 最初は感じが掴めなかったが、徐々に標的に空く弾痕は中心の黒丸の中に集まるようになっていた。
「初めてです。あの、そろそろ腕が痛くなってきました。」
「弾も終わり、か。じゃあこれを装填しておいて。それとこれが銃砲所持許可証。一緒に持っていなさい。」
 公安委員会の印が押されたその許可証にはセーラー服姿の俺の写真が貼られている。
「あの、18歳になってますけど?」
「細かいことは気にしない。さ、帰るわよ。」


 郊外に向かう高速道路を弥生の運転する黒いアウディがゆっくりと加速していく。
 弥生が沈黙の中、唐突に口を開いた。
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俺を見たまま、立ち上がった。
 null  - 10/2/13(土) 21:02 -

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   「葉月、ちょっと来て。」
「えっ?まだ洗い物が。ああっ。」

 ぐいぐいと手を引き、弥生は俺を引っ張って古い一軒家の庭にある離れに連れ込んだ。
「うわ・・・凄い、ここ、あ・・・仕事場か。」
 葉月の記憶にはここが弥生の仕事場だという認識。壁一面の金属ラックにパソコン数台と測定機器のようなものがびっしりと詰まっている。

「そこに座って。」
 弥生の研究、そうだ。超自然科学の国際的な研究機関。そしてこの古びた離れが日本の拠点なのだ。

 弥生は葉月の記憶にない事を、俺に説明してくれた。皐月は実の妹ではなく、怪異現象によって取り殺された家族の唯一の生存者で、霊力の高さから常に怪異、物の怪、亡霊の類に狙われている為弥生が引き取って一緒に暮らしていること。
 両親の死後弱まっていた皐月の霊力が、葉月と暮らし始めて急速に増大していて、霊力を隠す為の真言を刻んだネックレスでは間もなく隠し切れなくなること。
 俺のこの体は皐月本人と同等クラスの霊力を持っていること。

「身の回りの世話、だけじゃこの先済まなくなる。皐月と、そして葉月自身を守ってほしい。」
 俺は返事が出来ず、何度も唾を飲み込んだ。
「そんなの・・・無理・・・ですよ・・・」
「そう、貴女には霊力はあっても、それで魔を退ける術がない。」

 弥生は立ち上がり、キーボードを両手でそれぞれひとつずつ高速で叩き始めた。
「そこのケースの中、見て。」
 昔の郵便ポストぐらいあるガラスの筒。中にあるのは日本刀?
「若くて有能な退魔師だった。剣術、体術、法術・・・特に剣術は神童と呼ばれるほど。」
「だった・・・って、その人は・・・」
「戦いで傷付き、身動きの出来ない状態だった時に、ある者によって無理やり怨霊にされたの。数十人の命を奪い、そして最愛の人を傷つけそうになった時・・・その最愛の人の為に自分を滅ぼそうとした。僅かに残っていた自分の意思で。」
「・・・最愛の人・・・」
「この刀はその退魔師の物よ。研究の為に正式に引き取った物。霊的処理は終わっているから、穢れや怨念は除去出来ているはず。それでもこの刀には膨大な念が残っている。恐らく人を守る意思、そして魔を退ける気。これを葉月の時みたいに、君にインストールしてみたいの。」
「えええっ?怨霊になった人の!?」
 
 刀自体が記憶媒体となって膨大な情報を持っているのだという。ガラスのケースから伸びたケーブルはパソコンに繋がっている。

「そんなの・・・イヤですよ。申し訳ないけど・・・」
「そう。そうね。御免。戻ろうか。」

 居間からテレビの音がする。
「はっづきちゃああん♪」
 皐月が抱きついてくる。
「や、やめ・・・ああんっ、ど、どこ触って・・・っ!このド変態娘っ!」
 

 姉、とはいっても元は同じ肉体。中学三年の皐月と同じ。俺はベッドの中で寝返りを打った。
 弥生さんの話は本当なんだろう。でも、俺に何が出来るんだ?
 死んだ人の記憶を、なんて・・・想像も出来ない。
 
 いつの間にか俺は眠りに落ちたみたいだった。
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俺は俯いたまま肩を震わせていた。
 Skinner  - 10/2/12(金) 11:13 -

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   葉月が生きてきた数年間。
その少ない情報で葉月は普通の女の子として振舞えるよう、接触する友達からの情報を元に人格を形成していったが、基礎情報の少なさから偏った『普通の女の子』が出来上がっているらしい。それはクラスメイトの発言が原因だったようだ。

「高校生になったら女の子は彼氏とか作ってエッチとかしまくるんだよねッ!」
すぐに大学生を逆ナンして毎日・・・

「高校生の女の子はみんなギャルっぽい服なんだよね。」
この髪の毛はソレらしい。

俺は立ち上がった。
そして携帯を取り出し、彼に電話をかける。
「もしもし?私。ごめんね、今日で別れて欲しいの。なんでも。絶対。嫌いになったの。じゃあねっ!」
「あら、葉月ったらひどいのね。」
「中途半端な望みを残したほうが相手に迷惑だろ?こういう場合。彼にはどこか違う所で幸せになってもらいます。」
パチン、っと携帯を閉じて俺は玄関に向かった。
「ちょっと、どこ行くの?」
「マツキヨ。髪、もっと黒くするから。」
「ちょっとまって、葉月。」
「なに?」
「夕飯、ハンバーグにしてくれる?」
「うん、わかった。帰りに買い物して・・・えっ?」
必要な食材を瞬時に思い浮かべている俺。


鮮やかな手つきで3人分の食事を用意する。
葉月の役割は妹の皐月の身の回りの世話をし、保護する事だった。
どんな料理もプロ並みに作れるようにずっと頑張ってきた葉月。
その経験を、俺は自分のものとして使いこなせている。
「葉月ちゃんのごはんが一番おいしぃよお♪」

ふと、弥生がじっと俺を見ていることに気がついた。
「面白いわね。貴方の人格と葉月の経験や記憶。これは・・・使えるかも。」
弥生は、

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アイツ、鈴木健一がいるはずの教室。
 Skinner  - 10/2/10(水) 18:14 -

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   席は窓際の・・・ん?まだ来てないのか?
「飯田さん、どなたかお探しですか?」
委員長がニコニコしながら歩み寄ってくる。
「えっ、あの・・・鈴木君、まだ来てないのかしら?」
「あら、鈴木君のことなんて。意外ですね。」
「そ・・・そんなことないわ。クラスメイトだし。」
「そのうち来るんじゃないかしら?鈴木君遅刻多いし。」
はいはい。確かにそうです。
よく観察していらっしゃる・・・


「え〜、今日は転校生がいるぞ。喜べ女子!いい男だぞ。」
男が入ってくる。
確かに、ムカツクぐらいのイケメンじゃないか。

「金田原君、自己紹介を。」
教壇に上がった金田原が爽やかに一礼する。
「金田原ユタカです。東京の私立に行っていましたが、私の父の仕事の関係でこちらに引っ越して来ました。特に飯田さん、よろしく!」
なっ?何だ?
金田原って・・・もしかして最近この町にでっかいビルを建てまくっているあの金田原グループとか言う会社のか?
「貴女とお知り合いになるために引っ越してきた、というのもありますので。」
クラスのざわめきはしばらく収まりそうになかった。


「わざとらしくていけ好かない感じのヤロウですね、金田原。」
「そうね、小川さんもそう思う?」
勝手に口調が変わってしまうのも、ちょっと慣れてきたかもしれない。
「不動産とかで急激に伸びた会社ですよね。にわか成金のクソガキってとこですね。」
委員長もこんな一面があるのか。女は怖いぞ。
「なんか変な事言ってたわね。私に会うためとかなんとか。」
「飯田家の資産が目的なのかしら?飯田さんには鈴木君がいるって言ったら面白そう。」
「そういえば・・・まだ来てないのかしら。」
「見えませんね〜。」

昼食が終わり、教室に戻ろうと廊下に出ると・・・

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お盆に載せたコーラをテーブルに置いた。
 Skinner  - 10/2/10(水) 16:59 -

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   「ほら、飲めよコーラ。」
「ん?ああ、さんきゅ・・・」
「早速なんだけど頼み、聞いてくれる?」
飯田は部屋のカギをかけ、おもむろに服を脱ぎ始める。
ま、まさか・・・俺にヤってほしいとかか?いやまさか・・・まったく必然性がないじゃないか。まして飯田は男性経験豊富なはずで、俺なんかと・・・
「ヤってほしいんだ。アタシを。」
「えっえっえっ・・・・あっあっ・・なっ・・」
すでに飯田は全ての服を脱いで生まれたままの姿。
「どうせもう暇なんだろ?卒業まで。いいよなぁ、推薦受けられるんだもんな。アタシさ、もうじき第一志望の赤坂女子短大の試験なんだ。それで代わりにヤって欲しいんだ、受験。」
そのお礼に裸になって俺と・・・?
正直に白状すると俺は童貞だ。まさかこんな所で卒業するチャンスがくるとは・・

いや、まてまて。代わりに受験すること自体が不可能だろう。
「女装しても多分その、飯田には似てないぞ?俺。」
「それなら大丈夫、これ絶対内緒なんだけどさ、うちの家系の女子は2〜3年に一回脱皮するんだ。ほら。」
「!?」

飯田が脱皮した。
茶髪の頭から黒いストレートの頭が抜け出てきて、体も輪郭がぐねぐねと崩れたかと思うとあっさり脱げ落ちた。
「脱ぎたてのコレを着ると、アタシそっくりに化けられるんだ。早く着てみて、それ。時間経つとぴったりくっ付かないから。早く早く!」


そんな家系って、人類じゃないんじゃないのか?飯田家。
「ほらね、どこから見てもアタシだ。」
「そ・・・そうだな。ちょっと股間がキツいぞ?なんか身長まで低くなってないか?って、なんだよこの声???」
「うんうん。声まで変わるんだよ。不思議だよね。」
「ま、前にも誰かにやったことがあるのか?」
「家族以外では始めてかな?お母さんとか妹とかは割りとしょっちゅうやってる。」
しょっちゅう・・・
「というわけで、頼むね。」
そう言って飯田は、

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感想・応援スレッド
 のなめ  - 10/2/9(火) 19:51 -

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   勝手に立てます。もしまずかったら削除していただいて結構です。
ゼルダさんのルートの続きが凄く読みたいです!
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頭を振った。
 sada  - 10/2/9(火) 11:42 -

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   靄がかかったように意識が集中できない。

「あの、どうだったんですか?先生。」

弥生がにっこりと微笑む。

「大丈夫、ちょっと戻ったら葉月が出てきたわ。」
「そうですか、よかった。って・・・なんで俺のままなんだ・・・?」
「葉月の擬似人格はその皐月のクローン体を動かすのに入れておいただけだから、貴方の人格の下に関連付けしておいた。」
「皐月・・・ちゃんのクローン?」
「そうよ。私がアメリカにいる間、姉として世話をするために作ったクローン。とはいっても住民データにアクセスしてちゃんと市民登録してある。数年間の学習で結構人間らしくなってたけどね、所詮は作り物。貴方の人格を構成している情報量に比べれば4%位よ。」

この人、いったい何者なんだ、という恐怖に似た感情が込み上げて来る。

「私はね、複数の財団から支援を受けて研究機関を運営しているの。学校の講師はその片手間にやっている趣味みたいなものかしら。まあ、一応学校の先生って身分があると社会生活を送る上での良い隠れ蓑になるしね。」

先生の手が伸び、俺の頭にふわっ、と置かれる。

「あのファスナーを持ち出すなんて。葉月ったら変な事に興味を持ち始めてたのね。」
「えっ!?あの、あれって先生が?」
「そうよ。仕舞っておいたらいつの間にか。調査依頼を受けていたんだけど、依頼がキャンセルされて廃棄するはずだったの。まさかこんな面白いことが起こるなんてね。」
「・・・・・あの、俺ってこれから・・・」
「大丈夫よ。社会的にも肉体的にも、貴方は私の妹として存在している。そのまま葉月になりなさい。研究の手伝いもして欲しいし。いくら私でも作れない人間としての君の人格でその脳は満たされた。前の葉月の人格も貴方の人格の下に残してあるから、ちょっと慣れれば前の葉月そっくりに行動することも、記憶を呼び出すこともできるはずよ。」

鏡原葉月・16歳♀。
どうやら俺はこの名前で生きていくしか無いらしい。
意識は全然俺のままなのに?
大丈夫なのか?

「あ、そうそう。記憶を見ればわかると思うけど、葉月、大学生のカレがいるから。精神的には処女だろうから覚悟しておいてね。ふふふっ!」

それって、まさか・・・
唐突に思考が葉月の記憶にリンクする。

「げっ・・・・」

数分後、
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黒い袋のようなものだった。
 Skinner  - 10/2/6(土) 13:24 -

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   「ゴミ袋?」
「違います。」
委員長がそれを広げる。
それはごく薄い生地で作られた全身ストッキング?見たいなものだった。
「イイダ科学産業で開発中のVRトレーニングシステムの端末ですわ、お嬢様。これに着替えてトレーニングルームで早速。習うより慣れろ、ですからね。」
「ぶ・・・VRって?」
「仮想現実空間で普段の彩花様の行動を体で体験してもらいます。目が覚めてシャワーを浴びるところから、服の着方、話し方、彩花様の字でノートをとり、その場面に応じた表情や態度。繰り返し何度でも体験していただきます。自然と身につくまで、ね。ここがトレーニングルームです。とっととお入り下さいませ♪」
「うわあああっ!」


「はぁああああぁ・・・・」
ベッドに倒れこむ俺。
時計はもう深夜直前。
こんなことで、学習なんて出来るのだろうか?
だめだ、今日はもう寝よう。明日こそ何とか脱出・・・を・・・


インチキだと思っていたこのトレーニング、効果が出てしまったのは突然だった。
「お嬢様、明日からいよいよ学校ですね。法事でパリに行っていた、ということになっておりますので。」
どんな親戚の法事だよ。
「大丈夫かしら、バレたらどうしましょう・・・」
「大丈夫ですよ、私達から見てもちょっとした仕草までカンペキにお嬢様です。」
「えっ?そんな、別にワタクシ真似してるつもりは・・・ないの・・・に?なっ何なんだこの話し方っ!?」
考えは俺のままなのに、体が勝手に彩花そっくりの行動を!?
「VRトレーニングと、寝室に設置されている睡眠学習システムの相乗効果ですわね、お嬢様。その偉そうに腕を組んで見下した表情もそっくりですわ。」
慌てて腕を解く。
睡眠学習?やたら寝つきが良かったのもそのせいだったのか。

そしていよいよ翌朝、俺はリムジンを降りて校門の前に立った。
やっと俺に化けた彩花と話が出来る。
この状況を何とかするにはアイツと話をつけないと。
「行ってらっしゃいませ、お嬢様。」
「ご苦労様。」
髪の毛を手で払い、颯爽と歩き始める俺。
向かう先は・・
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