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「お、直利、あれ茜ちゃん?ずいぶん美人になったなぁ。」
優弥さんは優しく微笑んだ。
キラリ、真っ白な歯が光る。助かった、女の人だったらどうしようかと・・・
俺の体が茜ちゃんの腕を掴んで家の中に引き返す。
「だだだだだだ・・・・誰っ?今のっ!?」
「い、痛いよ葉月ちゃん。親戚の優弥さんだよ。確か京王大学の2年生だったかな?」
「なんですとぉ!?ガチ好み!ねえねえ、彼女とかいるのかな?」
「ん〜・・・いないと思うよ。中学、高校のときもいなかったらしいし。それに・・・」
「それに?」
「あの・・・ちょっとアッチの方らしいよ。」
俺の右手が茜に向かって親指を立てる。
「BL超オッケエエエエエエエイッ!」
「は・・・葉月ちゃんっ!?」
いや、ダメだろう普通。
読者が引くって・・・
玄関のドアが開く。
「おいなんだよ二人とも、人の顔を見るなり・・・」
「あ、ごめんなさい。直利兄ちゃんが・・・その・・・」
「ふふっ、ナオ、やっと俺の気持ちに気が付いたとか?」
超危険な展開。人生最大の危機が目前に迫っている??
「あの俺なんか、きっと不釣合いだと思うけど。一緒にいられたら幸せかな、って。」
ばっ、何を言ってやがるんだッ!!この口を、俺の口を誰か止めてくれ!!
「ふっ、ナオ・・・可愛くなったなお前。」
優弥さんが俺の手を優しく握る。そして、どこから沸いてきたんだ?この背景いっぱいの薔薇はっ!?
「だ、ダメだよっ!!ナオ兄!!こっち来てッ!」
我に返った茜ちゃんが俺の腕を掴んだ。
「ナオ、どこに行くんだい?」
「ゆゆゆ、優弥さん、あの、また今度っ!」
こうして俺の人生最大の危機、絶体絶命のピンチは茜ちゃんの手によって回避された。
再び部屋に戻った俺たちは・・・
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