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いかにも女の子の部屋、って感じだ。
とにかく誰もいないのは助かった。
本物の葉月が家に帰るとき、いきなり鍵を開けるのか、チャイムを鳴らしてから開けるのか、などと悩んで10分ぐらい玄関の前でうろうろしてしまったのだ。
『鏡原 弥生・葉月・皐月』
表札には女性っぽい名前が3人並んでいた。無用心じゃないのか?これって。
体のムズムズした感じは続いている。鏡に近寄って葉月の顔を観察する。
全体的にほんのりと桜色に染まり、目がちょっと潤んでいて・・・色っぽい。
さっきの、茜ちゃんとのアレで、興奮したままなのかもしれない。
「・・・・!??」
気配を感じドアのほうを振り向いた瞬間、誰かがドアを開けて襲い掛かってきた!?
体ごとぶつかって来たそいつは、俺の上半身をがっちりと抱き締め、そのまま二人ともベッドに倒れこむ。
「いった・・・・っ・・・・」
相手が顔を上げて、満面の笑顔で俺を覗き込んでいる。
「えっ?ええっ?」
「おっかえりぃ、おねいちゃんッ!」
同じ顔!?俺と・・・葉月とまったく同じに見えるその少女は猫のようにじゃれ付いてきて、突然飛びのいてカラテみたいな構えを・・・
「あ、あの・・・何やってるの?かな?」
「だって、お姉ちゃん、皐月がこうやって甘えるといっつも『このヘンタイ娘ッ!!』ってボコボコにするじゃないかぁ〜。」
「へっ?あ、そうなんだ。」
「お姉ちゃん?」
「は、はいっ!?」
「どうしたの〜?すっごく変!」
さすが肉親、異変にもう気がついたようだ。とにかくこの子は皐月ちゃんで、妹なんだなってことは判ったが。思いっきり疑いの目で俺を睨んでいる。
「ただいま〜っ!」
玄関の鍵を掛ける音。
張り詰めた緊張を破って、誰かが帰ってきた。表札の残りの一人、弥生という人物だろう。ん?鏡原弥生・・・かがみはらやよい・・・・って!!
「な〜にじゃれてるの?あなた達はいっつもいっつも。」
葉月ちゃん、誰かに似てると思ってたんだけど、まさか鏡原弥生の妹だったなんて。
弥生は俺たちの高校の・・・
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