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「ちょっとまって。まだ鈴木君が訳判らないみたい。ねえ、鈴木君?」
「あ・・・ああ・・・ほんと訳わかんないぞ?なにがどーなって・・・」
「あの、私たち、ほとんどお話したことが無いわよね?でも私は鈴木君のこと見ていたわ。」
「は・・・はい?」
「もっと私たちが判り合えて、その・・・お付き合いしてほしいな、って。結婚を前提に。」
「はいいいいいいいっ????」
「悪い話じゃないと思うわ。うちはお金持ちだし。鈴木君も親孝行できる。友達からでいいの。解り合うために。だめかしら?」
「いや・・・ダメなんて・・・友達なら。」
「ふふっ、ありがとう鈴木君。先生、お願いします!」
「はあっ?」
おっさんの目が怪しく光る。
「お任せを。バッチリ入れ替えちゃいましょう。」
「ぎ・・・・ぎゃああああああああああっ!!!!」
枕元の機械の電子音が徐々にはっきり聞こえてきて、意識がはっきりしてきた。
「う・・・・」
「おお、彩花。気が付いたかな?」
「・・・はい?」
「はっはっは。言っただろう?中身を入れ替えると。お前は私の娘、彩花になったのだ。」
「んなっ・・・・まさか・・・脳移植!?」
ちょび髭が、ちっちっちと指を振った。
「いくら私のような天才でも人間の脳を何の障害も残さずに交換なんて無理無理。術後1時間足らずで動けたり話せたりなんてまず不可能。中身をそっくり入れ替えるだけなら多少の調整で問題ない。まあ私だから出来る神業だがな。ヒッヒッヒ。」
慌てて鏡を探す。あった・・・飯田彩花!?これが・・・俺かっ!?
「か・・・皮だけ・・・張り替えたのか?・・・・あ・・・声も?」
「皮だけ、ではないな。その声帯もそうだが。お前には飯田家の娘としてしっかり子孫を残してもらわないとならんからな。それに必要な部分もちゃんと残してあるぞ?彩花。」
・・・まさかそれって・・・
「あ、彩花さん。目が覚めたんだね?」
「おお、鈴木君。入りたまえ。」
俺が入ってきた。
服から何まで完全に俺。
「おとうさ・・・いえ、今日からはまだ他人ですね。彩花さんの為にオレ、頑張ります。」
「そうかそうか、鈴木君。私も自分の息子だと思ってビシビシ事業について叩き込んでやる。まずは大学受験、ぬかるなよ?」
「ええ、任せておいてください。これで思う存分、飯田家の為に働けるってこと。武者震いがしますね!」
「はっはっは、頼もしい奴だ。」
なんか勝手に盛り上がっているけど・・・
「あ、あの・・・だあああっ、こんなのアリかよっ!?元に戻せ!!勝手にオレと入れ替わるなっ!!」
「あら、彩花ったら。そんな言葉遣いしちゃ鈴木さんの奥さんとして恥ずかしいわよ?今日からたっぷり、飯田家の娘に相応しい女子に教育しなくちゃ、ね?」
「やめろぉおおおっ!!」
「さあ、お入りなさい、あなた達。」
ぞろぞろと・・・・メイドさんがっ?
「皆さん、新しい彩花をお願いね。」
「「「はいっ!奥様!!」」」
すっげーヤバイ状況なのは間違いない。
でもそれすら一瞬忘れるほどの綺麗なメイドさん達・・・
「私がメイド長をしております、神崎と申します。」
オレは・・・
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