|
2020年の書き込みがないので、将棋の話をちょこっと書いてみます。
この板で藤井聡太の話題が出たのは2017年の8月〜9月でした。
当時中3だった彼は、高3になった今年の夏、「棋聖」「王位」の2冠を奪取して、文字通りトップ棋士の一人となりました。現在では、藤井、豊島、渡辺、永瀬が4強と言われています。
藤井聡太の何が凄いか。強いのはもちろんですが、将棋界の空気をすっかり変えてしまった。
将棋界の空気は澱んでいました。女流プロの独立騒ぎ、名人戦のスポンサーをめぐるゴタゴタ、そうこうする間にプロ棋士はAIに実力で追い越され、挙句の果てはAIカンニング疑惑。この間、羽生世代は衰え、次代を担う若手は伸び悩み、糸谷8段が「将棋は斜陽産業」と呼んだ事態が進行していました。
そこに現れたのが中学生の藤井聡太でした。この少年のただひたすらに「強くなりたい」という真直ぐな姿勢は将棋界の濁った空気を一掃しました。藤井の出現後、才能を嘱望されながら「若手」から「中堅」にさしかかっていた中村一太、豊島将之、永瀬拓也が立て続けに初タイトルを手にしました。竜王陥落後、徐々に影が薄くなってきていた30代の渡辺明も蘇りました。もう終わったかに見えた羽生までが、ここにきて復活の兆しを見せています。もちろん未だ未冠の若手棋士たちも活性化し、このほんのわずか数年でプロ棋界が一挙にレベルアップしたような活況を呈しています。
一人の求道者が周囲の空気を一変させてしまうという話は書物では知っていましたが、本当にこんなことがあるんだと、私はいま凄いものを見ている気がしています。
|
|