|
それも、ただの異星人ではない。太陽系の外の銀河を中心的に拠点とする犯罪組織の一員だった。組織での地位はと言うと、組織のトップの長女であり、幼い頃から相当な訓練を積まされてきた実力者。名実ともに次期トップと言えるなるであろうこいつが、何故こんなところに居て俺を助けたのか。
その理由は単純にして明白だった。
自分の立場に嫌気がさしたのだ。毎日毎日犯罪をくり返し、捜査官に追われ、女らしいことはろくに出来ない。ならいっそ、自分の身体を誰かに明け渡しそいつにその生活を押し付けようと思ったのだ。
そのために頭がよく、利益のためなら手段を選ばず、社会的地位を無くしている奴……つまり俺を探していたというわけだ。
「くそっ、私め。とんでもないことしてくれたわね……。
こんなことされたら、恩を感じずには居られないじゃない」
一方的な恩義は毒とはよく言ったものだ。私にとってはただの人生の押し付けだが、俺にはこの女に借りが出来てしまった。人一人の人生をもらうだなんて。そんな奴が俺以外に居るのか?
だが、今は目先の障害から先に取り除かなければな。誰か来る前にとりあえずここを出よう……
脱出は思ったよりスムーズに行えた。私の身体は想像以上に強く、コンクリートくらいなら素手で壊せたのだ。これには俺も驚いた。私の身体はどう見ても華奢。どこからこんな力が……?
おっと、今はそんなこと重要じゃない。
今俺にとって重要なのは――
|
|