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俺が抜け出した後のあゆみがどのような状態になっているか気になっていたし、このまま放置しておくのも目覚めが悪い。肩をたたいて声をかけてみることにする。
トントンと数回ほど叩くと、気だるそうな声とともに目を覚ました。気のせいか、仕草が女の子らしくない。スカートが開けていてショーツが少し見えている。
「えーっと、大丈夫なのかな? スカート見えてるけど」
「うえっ!? はずかし……ってあれ、身体を移したはずなのにこの子のまんまってことは俺失敗しちまったのかな」
「俺? あなたも俺、なの……」
どうやら目の前のあゆみも俺で、真奈美もまた俺であるようだ。
しかし二人の間には主従関係のようなものがあり、真奈美の俺が上の立場だ。こうなったのはおそらく体内にいる俺の量の違いが関係しているように思う。
真奈美としての俺は自分のことを真奈美が俺に乗っ取られた存在だと理解しているけど、あゆみは俺がそのまま入って行動しているような感じだ。真奈美の経験からすれば、言葉に出来ないような違和感が今のあゆみにはある。
「それでこれからどうするんだよ、俺。このまま進藤姉妹に成りすまして生活するのか」
「うーん、暫くは様子を見ようか。あ、あと今のあなたの口調はおかしいから私みたいに記憶を辿って直してね。誰にも怪しまれたくは無いもの」
「そうか、いやそうよね。ま、私はお姉ちゃんに従うことにするわ」
その日はこういった話し合いで終わることとなった。
次の日――
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