窓の外のざわめきが段々はっきりしてくる。
窓から差し込む太陽は昼間の明るさだった。
「まだ寝ているの?」
返事も待たずにドアが開き、入ってきたのは・・・
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中年の女性だった。 通りすがりのハムスター 09/9/30(水) 9:34
  白川薫子!? A 09/10/13(火) 14:53
   何とかその場をとりつくろうと・・・ null 09/12/7(月) 21:31
   床に倒れこんだ。 blitz 10/7/22(木) 22:06
   気がつくと…… blitz 10/7/22(木) 23:32
   「学校に行って欲しいのよ、薫子としてね」 blitz 10/7/30(金) 2:49
   はぐらかされた。 blitz 10/7/31(土) 2:50
   瀬能楓さんだ。 blitz 10/7/31(土) 3:49
   と、友子!? null 11/1/24(月) 17:39
   トイレから出ようとしたが…… blitz 11/2/19(土) 3:31

中年の女性だった。
 通りすがりのハムスター  - 09/9/30(水) 9:34 -

引用なし
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   誰だ???
親しげな笑顔で部屋に入ってきて、窓を開ける。
何だ・・・この部屋?
俺の部屋じゃない!?

思い出した。
俺は・・・あの薬を試したんだった。
ひょんなことで手に入れた幽体離脱促進剤。
体を幽体離脱しやすい状態に出来て、訓練次第で幽体離脱が出来るようになり、更に訓練すれば他人に憑依が出来るという・・・
ということは・・・俺はいきなり高度なテクニックの憑依を成功したってわけか!?布団の中でそっと手を胸に当てる。
むにむに・・・おっぱい!
股間に・・・・無い!!
成功だ!!
俺は女の肉体を乗っ取っている!!
俺はそっと起き上がり、壁の姿見を覗き込んだ。
鏡の中に寝起き姿で立っているのは・・・

白川薫子!?
 A  - 09/10/13(火) 14:53 -

引用なし
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   俺は憑依するなら全校一のナイスバディな2年の戸田恵美、って思ってたのに。
美人だけど性格が超最悪な生徒会長の白川が鏡に映っている。
「薫子?どうしたの?」
「・・・・えっ?ああ・・・俺か。いやなんでもないっす。」
「えっ?」
やばい。
「ええと・・・あの、そのなんだ・・・・」
俺は・・・

何とかその場をとりつくろうと・・・
 null  - 09/12/7(月) 21:31 -

引用なし
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   「あらやだ、薫子じゃないのね?あなた誰なの?」
「はい?」
「薫子の肉体をのっとったんでしょ?幽霊じゃなさそうね・・・生霊・・・か。」
「はいいいっ?」


「ふぅん・・・そんな薬があるのね。危ないわよ?そんなの使っちゃったら。」
「え、ああ、そうですか、ですね。」
この母親いったい何者?
全てを見透かしているようだ。
「薫子の魂はそこにいないようね。とすると・・・貴方の体に飛ばされてると考えるのが妥当なところかな?」
「えっ・・・俺の体に???」
「ふふふっ、面白いことになってきたわね。」
何を言っているんだこの緊急事態に!?
突然、けたたましくチャイムが鳴った。
ドアノブをガチャガチャとまわす音が玄関ホールに響く。
「来た見たいね、貴方の体。」
母親はすたすたと玄関に向かって階段を降り始めた。
俺はパジャマのまま、スリッパをはいて後に続く。
パジャマの中でノーブラの胸がぽよぽよと・・・

鍵を開けるや否や、飛び込んできたのは見慣れた俺だった。
「おおおおおお、お母様!!私です!!薫子です」
「おかえり、薫子。とにかく中に入りなさい。」
ぜえぜえと肩で息をしている俺の姿の娘を引っ張り込み、また鍵をかける母親。
「気がついたらこんな汚らしい男の姿に・・・そ・・・そのワタクシの・・・体!?」
「あら、汚らしいなんていったら本人に失礼でしょ?ちょっとこっちに来なさい。」
母親は俺の肉体の頭に手を乗せた。
「おかあさ・・・まっ!?あああああっ・・・・・」
硬直して動かなくなる。
なにやら小声で呪文のような・・・
「はっ!」
「う・・・わ・・・」
俺の姿の薫子は・・・

床に倒れこんだ。
 blitz  - 10/7/22(木) 22:06 -

引用なし
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   突然俺の体が前のめりになって倒れた。顔面からいったように見えたんだけど、大丈夫なんだろうか……?
そう思案していると、薫子の母親に声をかけられた。
「ねえあなた。もし良かったら、このまま薫子として生きてみない?」
「へっ……?」
あまりに突然すぎて、素っ頓狂な声を上げてしまった。
――いきなり何なんだ?俺にこいつとして、「薫子」として生きろだって?この人は何を……
「ど、どうして何です?何でそんな事を俺に?」
「簡単よ。貴方のほうが、この家の後継者に相応しいから」
「後継者ぁ?」
「そう。白川を継ぐのは、柔軟かつ大胆な思考と術を使うに相応しい才能を持つもの。
薫子は才能は十二分に有ったんだけど、どうにも視野が狭く、人を見下しがちでね……
でもね、薫子になっているあなたを見たとき、言葉では言い表せない何かを感じたの。それが何かは私にも分からないんだけどね。
でもこれだけは言える。間違いない。あなたは薫子を超える逸材よ」
「…………」
しばらく話を聞いていたが、訳が分からなかった。
――白川を継ぐ?才能?逸材?俺にそんな期待を?
俺の頭の中は疑問符でいっぱいだった。突拍子が無さ過ぎる。俺は白川という家について何も知らないのに。
だというのに俺は、母親の話をもっと詳しく聞いてみたいと思った。何故かは分からない。ただ、この話をもっと聞いておかないと、後々後悔する。そう思ったからだ。
「どうかしら?」
「……まだ決められません。いきなりですしね……
でも、俺はあなたの話に、あなたに興味がある。もう少し詳しく教えてください」
「ふふっ。そうくると思ったわ。じゃあまずは下準備からね」
そういって、母親は床に倒れ伏している俺の身体に近づき、頭に左手を置いた。
それと同時に、右手を俺にかざしながら言った。
「ちょっとこっちに来てくれるかしら」
「え?あっ……はい」
不思議がりながら近づくと、俺の頭にも母親の手が置かれた。
それを確認した母親が、さっき唱えた呪文のようなものを唱え始めた。
するとどうだろう、急に俺の身体と薫子のからだが光り出し……

気がつくと……
 blitz  - 10/7/22(木) 23:32 -

引用なし
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   目を覚ますと、そこにはさっきと変わらぬ母親の姿が。
「気分はどうかしら?薫子?」
「はい……私(わたくし)は大丈夫です。お母様……ってええ!?」
「その様子では成功したようね。まあ、私がやったんだから当然だけど」
「こ、これはいったいどういう事でございますの!?お母様!?」
「まったく……とりあえず落ち着きなさい、貴方。はしたないわよ?」
「はっ、はぁ……」
信じられない。俺は今、完全に白川薫子として存在している。
さっきまで身体に感じていた違和感が、まったく感じられないのだ。言葉遣いも、白川のそれである。
そればかりか、目の前の女の人――白川葵が自分の母親だということもはっきりと認識できる。
一度深呼吸をして、葵さんを見つめる俺。
「どうやら落ち着いたようね。」
「はい。お母様。……私はいったいどうなったのです?元の私は何処へ?」
「まずはあなたの状況から話すわね。簡単にいうと、貴方と薫子の精神を混ぜたのよ。
その結果、今のあなたが出来たってわけ。今の貴方は薫子そのものと言っても過言じゃないわ。とは言っても、簡単な処置だから2日もすれば元に戻るんじゃあないかしらね。
次に、元の貴方が何処に行ったか、どうなっているかだけど……
薫子にも同じ処置をして、家に帰したわ」
「えっ……そんな事してしまいましたら、直ぐにバレますわよ!?
あの御方、只でさえ男嫌いですのに、俺の代わりなんてしたら発狂してしまうのでは……」
「その点は大丈夫よ。別の術を使っておいたから。今の薫子は貴方になりきってる。目を覚ましたとたん、慌てて出て行ったわ。2回もこけてたのが面白かったわよ」
「それはそれは……酷いことをしますわね……」
絶対この人ドSだ。俺の勘が、いや、私の経験がそう言ってる。
……待て、「私」の経験ですって……どうやら何時の間にか俺は私になっているようですわね。少し嬉しい気分。でも、俺っていう響きに悪寒を感じるのが、悲しいですわ……
「まぁ、こんな所かしらね。貴方からは何かある?」
「ありませんわ。お母様。徐々に私の記憶も読めるようになってきましたし」
「あら良かった。なら早速やって貰いたいことがあるのよ」
「?なんです?」
「それは――」

「学校に行って欲しいのよ、薫子としてね」
 blitz  - 10/7/30(金) 2:49 -

引用なし
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   お母様のその言葉が私には一瞬理解できず、固まってしまいました。
俺……いや、私が言えた義理ではありませんが、ほぼ初対面の人に自分の娘の身体を預けたままにしておくだけでなく、学校へ行けだなんて……
元の娘の心配はしないのでしょうか。私にはちょっと理解できませんわね。
……それにしてもさっきから違和感が拭えませんわ。自分が自分だという確固たる自信があるのに、それを否定する自分も居て。おかしい。自分が定まらない。
俺の様子を不審に思ったのか、母親が近づいてきて……

「どうしたの?やっぱり嫌だったかしら?」
「ああ、いえ、なんだかさっきから俺が、私が、よく分からなくなってきて……
違和感があって、こう……水と油を無理やり混ぜたような感覚があって……
自分が何かっていうことが分からなくなってきましたの……」

いつしか口調がおかしくなっていた。言っている事も。だが、それすらも今の自分では気付かない。
どうなっているのだろうか、自分は。平常でありながら、狂っている。
このままだとどうなるのか。得体の知れない悪寒が体中を駆け巡った。
身体は震えていた。急に怖くなった。何が怖いのかも分からない。
思わず地面に向かって倒れこんだ。立って居られなかった。


だがその時だった。突然身体が、心が軽くなった。悪寒も消えている。
意識もはっきりしてきたので、周りの様子を確認すると……

「ごめんなさい。一般人のあなたにはちょっとやり過ぎちゃったわね。
あせって、またドジ踏むところだった」

……抱きとめられていた。深く。そりゃもう深く。
まるで当然だと言わんばかりに胸に顔を押し付けられている。これは俺には刺激がツヨスギル。

「わっ、わわぁ!?」
「あらあら、強く抱きしめすぎちゃったかしら。ふふふ」

この人、絶対分かっててやってるだろ。俺は女性経験豊富じゃないんだぞ。
だからこうして憑依薬で女の子の身体を……って、あれ?

「俺……私じゃなくなってる……?」
「そうよ。あなたには魂の結合はまだ早すぎた。だから、もう一度勝手にいじくらせてもらったわ」
「い、いじくる……?何かいやーな雰囲気が……」
「あらぁ、心配しないでよ。この白川葵、二度もヘマはしないわよ。
あなたに施した術式を変更して、魂の切り替えが利くようにしたわ。
そうね……さしずめ、魂のコーティングってとこかしら。
これからは意図的に、薫子として振舞えると思うわ。普段はそのままでね。」


これだけでなく、葵さんは他のこともいろいろと交えて俺に起こった異変について説明してくれた。
魂のコーティング。葵さんが行ったその術によって俺は助かったようだ。
魂の結合なんて術は、普通はこんな風に短時間で行うものではなく、もっと時間をかけて徐々に行うもので、葵さんのうっかりでいきなりやられた俺はかなり危険な状態だったらしい。
ちなみに、放って置けば廃人確定コースなんだそうな。……うっかりってレベルじゃねーぞ!

だが、ここでまた俺の頭の中にあの疑問が浮かびだした。
――何故、こうも俺に括るのか。良くしてくれるのか。
跡継ぎだとか、才能だとかじゃない、もっとちがう理由があるのではないか?
そう思い、緊張しながらも聞いてみた。
すると――

はぐらかされた。
 blitz  - 10/7/31(土) 2:50 -

引用なし
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   真剣な表情で何度も聞いたのだけどうまく論点をずらされてしまい、気付けば俺が学校に行くのが完全に決まっていた。
なんか腑に落ちないけど、しょうがないので支度をすることに。
部屋に戻って着替えをする。パジャマを脱いで下着姿になり、いつものようにタンスから――

出てきたのは、清楚な白いブラジャーとショーツの一式だった。
……忘れてた。今の俺は「白川薫子」だったんだ。
これには俺も予想外。思わず固まってしまう。そこには、下着姿で呆然とブラジャーを持ち上げている生徒会長の姿が!
イカンイカン。現実逃避している場合じゃない。覚悟を決めて、装着せねば。
えーっと、まずはホックを外して付け替えるんだよな……
背中に手をまわし、ホックを外す。難なく外せたことにちょっと感動。
あとはそのまま取って付け替えるだけか。何だ、簡単じゃないか。
しかしブラを外す時にそれは起こった。少し手元が狂ってしまった。

「ひゃうっ!」

電撃が走るような気持ちの良い感覚。
見てみると、そこにはピンク色の小さな突起がそり立っていた。
おもわずそれを弄んでしまう。コリコリとした感触が気持ちいい。
身体も熱くなってきた俺は、いつしか女陰へと手を伸ばしていた。
乳首がこれなら、と思うともう手は止まらない。
もう触れるか、といったところまで手を近づけたところで――

「何やってるのー?早くしないと遅れるわよー」

違う部屋から葵さんの声が。その声で俺は我に返った。もう少しで一線を越える所だった。危ない危ない。
急いで着替えを済ませてカバンを持ち、そのままパンだけ食べ、玄関へ走る。
行儀が悪いが、学校に遅れそうな今はそんなこと言ってられない。靴をはいて外へ。
おっといけない、あれを忘れるところだった。俺はゆっくりと玄関に振り向いて、言う。

「それでは行ってまいります。お母様」

そのまま白川薫子として、私として家を出る。初めてでありながら、いつもの通学路を通って。
いつしか心は躍っていた。これから起こるであろうさまざまな出来事に。


通学路を歩いていると、前から女の子が来ました。
長い髪をリボンでまとめ、私と同じ学生服を着た、身長が少し低めの……
私からも駆け寄ってあいさつを。

「おはようございます。白川さん」
「おはよう。瀬能さん。今日も元気そうですね」

親しげなこの女の子は――

瀬能楓さんだ。
 blitz  - 10/7/31(土) 3:49 -

引用なし
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   私の数少ない友達の一人。いつもキツイ雰囲気を醸し出している私にいやな顔一つせず話しかけてくれる、優しい子。
つい、まじまじと顔を見つめてしまいます。それにしてもきれいな瞳ですわ。

「どうしたの白川さん?私の顔に何かついてる?」
「いえ、何でもないですわ。ただ……」
「ただ?」
「その……かわい……かったから……つい……」
「ふえっ!? いっ、いきなり何言いだすの!?そんな……可愛いだなんて……」

はっ、私は一体何をこんな告白まがいの恥ずかしい事を……
「俺」が少し出てきてしまったのでしょうか。それはともかく謝らないといけませんわね……

「す、すみません。こんなことを言うなんて、私どうかしていましたわ」
「いや、いいよ。褒めてもらったんだからね。……でも、珍しいね。白川さんからそんなこと言われるなんて思ってもみなかった。何かあったの?」
「……そう、見えるのですか?」
「うん。いつもはあんまり冗談とか言わないしね、白川さん」
「なら、なにかあったということで。ふふっ、さ、遅刻しないためにも早く行きましょう瀬能さん」


***

今日はいつもより少し遅れちゃったから、急がないと。
そう思って早歩きをしていると、前から見慣れた子が来た。
きれいな薄めの黒髪をストレートに流して、優雅に歩いているのはおそらく白川さんだ。でも何か違和感があるような……ま、いいか。
そう思って近づき、いつものあいさつ。

「おはようございます。白川さん」
「おはよう。瀬能さん。今日も元気そうですね」

柔らかい笑みで返してくれる。でも、やっぱりどこかいつもとは違う気がするな。
いつもならあいさつした後はすぐに歩き始めるのに、今日は立ち止まって私を見つめてる。

「どうしたの白川さん?私の顔に何かついてる?」
「いえ、何でもないですわ。ただ……」
「ただ?」
「その……かわい……かったから……つい……」
「ふえっ!? いっ、いきなり何言いだすの!?そんな……可愛いだなんて……」

わわっ、驚いて変な答え方しちゃった。だっていきなり可愛いだなんて言われちゃったんだもの。それもあの白川さんに。
でも、いやな感じはしなかった。寧ろそう言われて良かったような気がする。何でかな。

……それにしてもどうしたんだろう?いつもはこんな冗談みたいなこと言わないで、先に行っちゃうのに。
気になったから聞いてみると、また白川さんらしくない答えが返ってきて驚いちゃった。
あんな楽しそうな白川さん、今まで見たこと無かったよ。
あと、赤面してうろたえてた白川さんもだけどね。あの不意打ちは犯則よね……


***

なんとか遅刻ぎりぎりで登校できました。横の瀬能さんも安堵の表情です。……来る途中で、私を見て何かを思い出したような素振りをしては、ニヤニヤしていたのが気になりますけど。
……そのまま瀬能さんと取り留めの無い話をしながら下足室へ。
ここの学校の下足室は学年で分けられていて、けっこうな広さがあり、概ね生徒からの不満は無いようです。生徒会長としては嬉しいことですわ。
自分の靴箱で靴を履き替えていると、聞きなれた声が後ろからしました。
なにやら気だるげな声の調子。
誰なのでしょうか、と思い振り向くとそこにいたのは――

と、友子!?
 null  - 11/1/24(月) 17:39 -

引用なし
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   そう、俺の家の隣に住んでいる腐れ縁で幼馴染の友子。
何故か唐突に俺の意識に戻ってしまった。
「ふああ・・・ねっむぅういぃいぃい・・・・・」
相変わらずだ。友子はむっちゃむちゃ朝に弱いのだ。
基本的には美人系。しかしおしゃれとかにはあまり関心がないらしく、長い髪の毛を無造作にゴムで一つにまとめて、トレードマークの赤っぽいセルフレームの丸めがねが鼻にかろうじて引っかかっていた。

そして・・・俺の初体験の相手。
お互い好奇心で、なんとなくお互いの初めてを、俺の部屋で。

「・・・あれ、ケンイチ?なんでそんな格好してるの?」
「えっ??」
俺は今白川さんの肉体なんだよな?何だってこいつは・・・妙に勘が良いというか。
「何なの?その顔・・・体も・・・生徒会長の白川さんじゃない。なんでアンタがそんな体に?」
やばい。楓さんの目が点になっている。

俺は友子の腕をつかんでトイレに引っ張り込んだ。
「あああ、あの白川さん!?」
「瀬能さん、先に行っててくださる?ワタクシちょっとこの方とお話があるの。」
「は、はい・・・判りました。」

「はあっはぁっ・・・いったいじゃない!!離してよ。」
「あ、ご、ごめん・・・って何でオレだって判ったんだよ。」
「当ったり前じゃない。ふぅん・・・面白いことになってるわね。これ、本人の肉体?」
「そうだけど・・・お前、なんでそんなに平然としてるわけ?」
「へえ〜へえ〜面白いじゃないッ!!こんなシチュエーション、ほっとく手は無いわ。」
「ちょ・・・・んぐぅ・・・!?」
友子の唇が重なり、下が唇を押し開いて潜り込んで来る。
「生徒会長さん、始めまして。私、友子です。ずっと白川さんのことが大好きだったんです!!」
「ちょっ!?」
「ちゃんと白川さんのフリしてよ。」
「あ、あのなあ・・・」
オレは・・・

トイレから出ようとしたが……
 blitz  - 11/2/19(土) 3:31 -

引用なし
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   ガシっと力強く左手を掴まれる。さすがにここまで我がままを押し通されてはたまらないので言い返そうと思い、振り向くと……

爛々と目を輝かせている友子と目が合った。一見とても可愛らしい女の子の表情に見えるんだけど、付き合いの長い俺は知っている。これは友子が新しい「オモチャ」を見つけたときの眼だ……。
アイツにとっての「オモチャ」は色々なものがあるが、たいていろくなものが無い。というか、物ですらない。
決まってアイツは運よく弱みを握った人を、気が済むまで自分の好きなようにこき使う。
パシリならまだましな方で、俺は一度アイツにとんでもなく恥ずかしい命令を課せられた事がある。小学三年生のあの夏の日を俺は決して忘れないだろう。……イカン、思い出してしまった。うう。

閑話休題。
とにかく今の友子にかまっていたら、何やらされるか分かったもんじゃない。逃げなければ。

「あ、あのー……。 友子、さん?」
後ろに後ずさりながら発した声は、みっともなく震えてしまっていた。
「んー? なーにかなー? ふふふふ……」
うわあ、完全に眼があの時の眼と同じになってる。これはマズイかもしれない。
「ちょっと急用を思い出したので、放してもらって良い、かな……? 」
もちろんでまかせだ。でも今はこれ位しか言い訳できそうにないし。

「……」

しばしの沈黙。友子は俯いたままピクリとも動こうとしない。さっきの暴れようは何処へ行ったのかと思うくらいだ。やけに不気味。
でも、もしかするとこれはチャンス、か?
そうと決まれば、さっさとこんな居心地の悪い空間から脱出しなければ。

そして、友子の腕を無理やり引き剥がそうとして――
俺の考えが甘かったことを思い知らされた。

「そう簡単には逃がさないわよぉーー!!」
「うひゃっ!?」

くっ、腕に気をとられてる隙に体制を崩されてしまうとは。目の前の友子はしてやったりという顔でふんぞり返っている。俗に言うどや顔だ。
……これは、もしかしなくてもピンチか……?

「さってさて……まずはどうしてやろうかしらね……」

そう言って、少しずつ顔を近づけてくる友子。まずい、このままではあの時と同じ恥ずかしい思いを、いや今回はそれ以上かも……。
くそ、もうどうしようもないのか?


すっかり恐怖で頭の中がいっぱいになってしまっていた俺は、無意識に右手を友子に向けて突き出していた。何の意味も無いのは分かっていたけど、少しでも抵抗するにはこうするほかなかった。

だが、そのときの俺はすっかり忘れていたのだ。今の俺は「白川薫子」であるということを。

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このリレー小説はTiraさんのブログでのちょっとした話題で設置したお試し的なものです。 運営管理等は手が回らないと思いますのでお遊び程度に。SPAMとかで荒れ始めたら消すかもしれませんがあしからず・・・ ※また海外のBBSスパマーにリスティングされたようですので、2/22より一時書込み禁止中。2/25再開 3/6スパム投稿から禁止語句を登録しまくっているので投稿蹴られる事も在るかも知れませんがご了承ください。