テニスの王子様―小説掲示板
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82/ 詩
・投稿者/ 夜映瀬
・投稿日/ 2005/06/28(Tue) 16:50:43
・IP/ 61.204.183.229

    自分への嫌悪を拭い去ってしまいたい。

    何処へ行くのか解からない、ただひたすらに歩いて歩いて歩いて、

    真っ白な世界に黒を落としてしまいたい。綺麗であることが

    こんなに苛立つ。黒く染め上げてしまいたい。

    躊躇いなんて忘れてしまった。いつも戸惑ってばっかりだったのに。

    何となく見上げる空はいつも濁りの無い青色。

    ただ何となく過ぎていくだけの時間。そして、日常。どれだけの時が、

    今までに流れ、過ぎていったのだろうか。

    考えたことも無かったのに、今更のこの感情は何なんだろう。

    無駄に過ごした時への「償い」

    踏み出せなかった事への「償い」

    汚してしまった自分への「償い」

    兎に角「償い」

    罪悪感?そんなもの、今更あるのか。

    あったらこんなことにはなっていない筈なんだ。

    何も答えなど無い。吹き抜ける風が空しさを募らせていく。

    放って置いて、朽ちていくまでには

    きっと 平気だろう 恐らく。

    誰にも見つかることなく。樹海の中一人佇んでいれば、

    近くに自然とやって来る。

    激しく、沸々涌いてくるけどそんなもの追っ払って、

    傷付けた剣を翳して。

    撓る弓矢は折って捨てて、

    この手だけが頼る術。

    掻きわけて、一直線に進みつづけることがどれだけ困難なことか、

    そんなの分かりきってる。

    でも、ここで迷ってさまようよりはよっぽどいい。




81/ 休日には
・投稿者/ 空
・投稿日/ 2005/06/26(Sun) 19:57:29
・IP/ 60.40.52.4

    「おっ!可愛い子はっけ〜んっ」

    「・・・・・・・・」

    「ねぇねぇ、キミキミ!!可愛いねぇ〜」

    「・・・・・・・・」

    「そうだ!今から俺と、デートしない?」

    「・・・・・ちょっと・・」

    「え?今日は無理なの〜?じゃあさ、メルアド交換しよーよ」

    「・・・・・・・おい」

    「わっ・・ちょ・・何で逃げるのさー!」

    「おい!!!!!」

    「ん?何、海堂君」

    「あんたな・・・」

    「ん?」

    「俺と歩いてんのに、何ナンパしてんだよ!」

    「え?・・・あははっ、ごめんごめん」

    「あんたが試合してぇって言うから、俺は来たんだ!」

    「もー、そんなに怒んないでよ、薫ちゃん」

    「ちょっ、ばっ・・勝手に人の名前呼んでんじゃねぇ!!」

    「いいじゃん、薫で」

    「よくねぇんだよ!!」

    「もー、海堂君ってば怒りすぎ!」

    「うるせぇ!てめぇが怒らせてんだろうがっ!」

    「ほんじゃま、ストリートでも行きますか」

    「ちっ・・・」





    ゲームセット、ウォンバイ千石! 6−4!

    「また勝っちゃったねぇ〜」

    「くそっ・・」

    「海堂君はこれからどうするの?」

    「あ?・・・ランニングっスよ・・」

    「え―――?!これから?!」

    「・・・・・っス」

    「ん―――・・ねぇ、お茶しようよ」

    「は?・・・・・・・・断る」

    「いいじゃない、行こ!」

    「断る!」

    「疲れてるでしょ〜」

    「疲れてなんかねぇ!!」



    「海堂君・・・俺は海堂君に、無理してほしくないんだ」

    「・・・・・え?」

    「キミはいつも無理して、自分を傷つけて・・」

    「・・・・・・・・・・」

    「だから・・・ね?」

    「・・・・・・・・・・わかったっスよ」

    「ほんと?!」

    「今日だけだ」

    「ラッキー!じゃあ行こうっ」

    「ちょ・・引っ張らないで下さい!」

    「はいはい、行こう・・海堂君」

    「・・・・・・・フン」




    END




    ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

    いきなり思いついた作品。(作品と言えるのか?!)
    やっ、カップリングとかじゃないですからね?!
    普通に・・・普通の小説ですよ?   何
    キヨと薫ちゃんの会話です♪

    でわでわ、ここまで読んでくれてありがとうございましたww



59/ 第1話   約束のグラウンド
・投稿者/ 夜映瀬
・投稿日/ 2005/05/31(Tue) 01:58:36
・IP/ 219.108.140.33

    数年前の夏の日、夏なのだから当たり前といっては当たり前だがその日も日差しが
    ガンガンと照りつけ、アスファルトを焼いていた。街行く人たちは諸々に団扇で扇
    いでいたり、扇子を持って煽いでいたり小型の電池式扇風機なんて言うモノを持っ
    ているチビッコがいたりと様々なスタイルの人々で溢れていた。走り回る小学生く
    らいの子供が汗を流す光景を大人達は何とも言えない眼をして見つめている。少な
    くとも、今この状況の中に好んで居る人はいなさそうだ。尤も、自然のやっている
    ことなど人間が如何の乞うのできるわけでも無いのだが。

    それにしても、本当に暑い。気温はゆうに35度を超えているであろうこの状況の
    中、アスファルトからの照り返し、加えて高い湿度もあるが為に、じっとしている
    だけでも肌からは汗が噴き出してくる始末だ。出来ることなら早く家に帰って、
    クーラーのガンガン利いた部屋でアイスの一つや二つでも食べて涼みたい。え?
    じゃあ帰ればいいじゃないかって?それがそういう訳にもいかないんだ。「約束」
    があるからなんだ。だから30分以上も前からこの暑い中人ばっかの駅前なんかで
    ずっと待っているんだ。だけど幾ら待っても来るはずのアイツは来る気配が無い。
    一体何のつもりなんだ、こんなに人を待たせやがって。人間にだって我慢の限界が
    ある事を知らないのか。そうオレが軽くキレかかっていた時、アイツはやっとオレ
    の前に姿を現した。あろう事か、45分遅刻だぞ!?よんじゅうごふん!!

    「おーい泉輝。ゴメンよー、待った?」
    「待ってねぇ訳ねぇだろーが。暑いんだよ。バーカ」
    「ご機嫌ナナメだなぁオイオイ;とりあえずそんな怒るなよなぁ。
    俺隣で歩いてんの怖ぇんだよ。」
    「怒らせた原因はテメェだろうが。早く行くぞ」
    「ハイハイ。反省しときますよ。(一応ね)」
    「・・・何か言ったか?」
    「いやいやいやいや何でもないから!!気にすんな!!」

    目的地は、電車に乗って1時間ほどの場所に在る、今は誰も使っていないサッカー
    グラウンド。サッカー少年である二人は、このグラウンドを見つけた1年以上前か
    ら定期的に通う様にしていた。別に特に意味は無いが、誰にも邪魔される事の無い
    良い練習場所として利用することが出来るからだった。その内、管理人でも現れる
    のかと思って待っているが今まで一度も現れたことは無い。現れたことは無いと言
    うか、何時まで経っても現れる気配すら無かったので自由に使っていた。

    「なぁ瑞黄。あそこのグラウンドって何だろうな、前どんな人たちが使ってたのか
    とかさぁ、すっげぇ気にならねぇ?結構古いしさぁ。何であんな立派な所放棄して
    行っちまったんだろうなぁ・・・。」
    「だよなぁ、けどその人たちのお陰で俺らが・・・って言っても俺と泉輝だけだけ
    どよ、使えるんだからまぁいいんじゃねぇの?うん。」
    「そりゃあそうだけどなぁ・・・気にし始めたらきりが無いよなぁそんな事。」

    電車で揺られている間、揺れに身を委ねて頭の中を真っ白な状態にしてぼーっと
    長閑な田園地帯が広がる線路脇を眺めていた。オレが生まれたのもこんな街だった
    っけなぁ・・・と思うと、故郷の生まれた街との風景と重なり合う。
    電車を降りて歩く事20分、見えてきた何時もの古めかしい塗装のスタジアム。
    この古めかしい感じが何とも落ち着くから好きなんだよ。新しいスタジアムも
    新しい気持ちでプレイできるから其れは其れで好きなんだけどね。やっぱりオレに
    とっての一番は此処しかないんだなぁ、って来るたびに思うんだ。

    「泉輝いくぞー!そっち準備しろよー」

    早々とユニホームに着替えた瑞黄は、右腕にボールを抱え、左手をヒラヒラさせな
    がら催促をする。オレは、着替えをする手を早めると、急いで準備をして瑞黄にサ
    インを送った。先ずはパス練習から、そしてシュート練習だとか自分自分に好きな
    練習を始める。サッカーって言うスポーツはなんて楽しいんだろう、こんなスポー
    ツ考えついた人は素晴らしい人だ。

    何時ものように適度に汗を流すと、大体時間は空が夕焼けに染まりゆく頃だから
    お腹も空いてくることだし帰りの電車も無くなる頃なんだ、田舎町は最終電車が
    8時だからね。乗り過ごすとそこで野宿・・・なんて事も在りえるんだから大変。



60/ 第2話  少女の言葉
・投稿者/ 夜映瀬
・投稿日/ 2005/06/02(Thu) 18:11:50
・IP/ 61.204.183.229

    戻って来た街は、昼間に比べると大分陽射しが弱くなり、また幾分か暑さも和らいでい
    た。駅を出ると、昼間のような人ごみは無くなってはいたものの、まだまだ混雑は続いて
    いて、迷子の放送が近くの交番からしばしば聞こえてきた。足早に家へと向かう。だんだ
    ん家が近づいてくると、涼しい潮風が僅かに感じられる様になった。グラウンドがある町
    より田舎ではないが、近くには海もあり、平屋建ての家もまだまだ何軒か残っている。東
    京などに比べたらずっと田舎な所だろう、だけどこの潮風を感じられる町は大好きだ。
    家の窓から覗けばもう海が見えるのだから、当然窓を開け放っておけば何時でも涼しい潮
    風を感じることが出来る。こんな自然と共存できる場所は今の時代そうそう無いだろうな
    ぁ、そう考えると空しくなってくる。鉄筋の灰色の建物ばかり眺めて生活するよりはよっ
    ぽど良い場所だと思うんだけどなぁ・・・。

    「泉輝ー。明日部活どうするよ?1年は学習会だろ、2年は宿泊だし、俺ら3年しか居な
    くなるんだよな。部長お前だし、俺も明日はちょっと用事あるから出られねぇし。」
    「・・・瑞黄が出られなくて、聖も出られねぇって言ってたよな?んで、祐も出られねぇ
    って言ってたし、出られんのオレと耀太だけかよ。・・・じゃあ別にやんなくてもいいだ
    ろ。んな人数少なくちゃ練習にもなんねぇし。その代わり次二日連続だかんな?」
    「はいはい、わかったよ。もう直ぐ大会だし、俺ら3年は最後だからな、ここで負けたら
    悔しいし、絶対優勝してぇよなー。同じ区に全国経験校が居るんだもんなー。」
    「オレらだって全国2位まで1年の頃行っただろ。実力にはそんなに差はねぇよ。」
    「だな。じゃあごめんなぁー、もう帰らねぇと兄貴に怒られる。じゃあなー!」

    最後の大会、それはもう1週間半後に迫って来ていた。小さな学校で、部員も少ない中で
    泉輝や瑞黄たちは1年生のときに早く全国大会を経験していた。去年は事情があって大会
    に出場することが出来なかったが、今年こそ一昨年の屈辱を晴らすべく、と部員が全員団
    結して頑張っていた。特に3年生は、気合が入り、下級生のリードも完璧にしている。




    「・・・相阪泉輝くん?ですよね・・・?」










    そう声を掛けられ、振り向いた後ろには、セミロングくらいの綺麗な栗毛を潮風に靡か
    せ、裾がレースになっているワンピースを着ている女の子が居た。
    しかし、今までの記憶を辿ってみても会った記憶すらない。一体誰なのだろう。





    「・・・・・・・・・・・・・・・。」









    「あっ・・・あのね、貴方たち二人、いつもあの町のサッカーグラウンド使っていたでし
    ょう?あそこはね、あたしのお父さんが趣味のサッカーをずっと続けるために、って荒れ
    てた所を直して使えるようにしたところなの。ずっと前に。」






    グラウンド?父親?・・・・頭の中はこんがらがった。オレらの使っているあのグラウン
    ドは、この女の父親が管理して、直して・・・ということになるのか?でもずっと前って
    如何言うことなんだ?何でこの女はオレの名前を知っているんだ?そして一体この女は何
    故今オレの前に居るのか?たくさんの疑問はいっぺんにオレの頭の中を駆け巡り、混乱さ
    せていった。思考回路は、完全にストップしている状態だ。何も考えられない。










    「・・・オレらが使ったらマズイトコだったか・・・・・・?」









    やっと出てきた言葉は、ほんの短いが、必要最低限のことは伝わる言葉だった。
    すると女は、慌てた様子を見せ、こう言った。





    「ううん!!全然マズくなんてないの、寧ろそっちの方が人の役に立つから、ってお父さ
    んも喜ぶと思うわ。それに、あそこのグラウンドには何か不思議な言い伝え?って言うか
    何て言うのかなぁ、ジンクスみたいのがあって。あのグラウンドはね、本当にサッカーを
    心から好きと思う人じゃないと使えないんだって。そして、無事使えたと言う人は何か大
    会とかで優勝できるって言うの、大きい小さい関わらずにね。あたしは勿論確かめたこと
    もないから本当かなんて知らないんだけどね。でも、貴方たちはきっと良いことがあると
    思う。お父さん、あのグラウンド使ってくれるサッカー好きな子の事はきっと見守ってい
    てくれると思うから。だから頑張ってね!じゃああたしはこれで・・・」










    やっと整理のついた思考回路は、この女の事について色々と導き出してきた。






    「アンタ・・・・前オレと会ったことあるよな?」
    「・・・思い出してくれたのね?うん、泉輝くんは小学校6年生のとき同級生だったの」
    「名前は・・・・・何て言うんだよ?」
    「藤宮茜。じゃあ・・・応援してるから。頑張ってね!」











    オレは、何故かこの女の言葉に妙に説得力を感じていた。

67/ 第3話  衝撃の再会、捨てた友情はもう要らない。
・投稿者/ 夜映瀬
・投稿日/ 2005/06/12(Sun) 00:17:12
・IP/ 219.108.140.145

    もうオレ達にとっての最後の大会は明日に迫ってきていた。曇り空の下で部員たち
    が士気を高めて練習をしているのを見ながら、オレと瑞黄は部室等の1階にある、
    丁度グラウンドが眺められるフリールームで明日の試合のスターティングメンバー
    をどうするかと一生懸命頭を捻っていた。開け放った窓からは、吹いてきても嬉し
    くないようなジメジメと水分をたくさん含んだ風が入ってきていた。



    「メンバーねぇ。とりあえず瑞黄は決定だろ。お前がいないとゴールキーパーが居
    なくなっちまうし。あとは・・・聖と祐と耀太も出して、2年は樹と三鷹だな。1
    年はあの背高い宮瀬と貴田だな、うん。・・・まだ8人だぜ、あと瑞黄適当に適任
    者を出してくれよ。俺一人の意見で決めるのもなんだし。」

    「おいおい、泉輝入れてねぇじゃん。・・・んーそうだなぁ。あの、なんだっけな
    この前の練習試合で2点決めた子。1年生だか2年生だか分かんないけど柚北クン。
    あの子得点能力割かし高めじゃん?あとは・・・んっとこの前の前の試合だけどこ
    れもまた2点決めた2年生の北谷クン。あの子も良い選手じゃねぇ?」





    バランスよく入れないと、1年と2年との間でいざこざが起きてしまう。
    迷って迷って迷い抜いて選んだメンバーは明日試合前に発表するとのこと。
    もう雨が降り出しそうな空がどんよりと広がり始めていた。これ以上練習するには
    蒸し暑く、雨も降ってきそうだし、明日に備えて健康状態も整えて疲労も溜めない
    ようにしたほうが良いだろう。そう判断し、部員に部活終了の声を掛ける。




     
    「皆ー、今日は早くあがってー。明日に備えて準備しとけよー。」
    「ウイッス、お疲れ様っしたー」





    それぞれの部員は着替えて疲れた体に重い鞄を掛けて学校を出て行った。
    その後の片付けが終わった後、顧問にオーダー表を渡して二人で学校を後にした。




















    「大会・・・・ぜってぇ優勝してぇよな。・・・・泉輝?聞いて・・・って何なん
    だよ?そんな怖ぇ顔して睨みつけ・・・・」


























    睨みつけたかと思うと、急に声を荒げて言った。




    「・・・何なんだよ。今更・・・オレたちに何の用があるんだよ!もう二度と顔見
    せんなって言っただろ!?お前の顔見てると苛付くんだ・・・・」
    「おい泉輝落ち着け!やめろってば!何なんだアンタ!いきなり・・・」






    「やぁ・・・お久しぶりだね泉輝クン瑞黄クン。」


    泉輝が其処までして嫌っている男とは、中学までは泉輝・瑞黄と3人で仲が良かっ
    た渡部幸也。ある時の試合が原因で仲違いが起こり、それ以来喋ることもしなくな
    った。別々の高校へ進学し、それぞれにサッカーを続けていたのだ。



    「オレは今更お前と喋るつもりもねぇ・・・明日の試合で負ける心算もねぇ。
    とっととオレの前から消え失せろ・・・!邪魔なんだよお前・・・・」
    「そんな事を言われる程僕は根に持たれていたんだね・・・心外だ。僕もたまたま
    この近くに寄る用事があったから少し覘いてみただけだ。キミとこうして喋ってい
    るだけ時間の無駄なんでね。帰って練習しないと。じゃあ僕はこれでね」











    「向こうから・・・オレらの事裏切りやがったのによくも今更のこのこと姿見せら
    れたもんだよな。マジウゼェよ・・・・明日はぜってぇ負けねえ・・・」







    闘志と裏切りへの怒りに燃える姿は、明日の試合へも影響が出てくるだろう。
    初戦で当たるとは何と言う天の悪戯なのだろうか、それともチャンスなのか。
    何れにしろ、一波乱起こる事には違いは無さそうである。

68/ 第4話  最終大会開始。
・投稿者/ 夜映瀬
・投稿日/ 2005/06/12(Sun) 09:35:43
・IP/ 61.198.244.174

    試合当日。その日は、昨日のジメジメした気分の悪い天気とは打って変わって

    湿度も低く、カラッとした、涼しく過ごし易い天気となっていた。

    集合をかけた訳でも無いのに、何処と無く部員たちは集まり練習を始めていた。

    やる気が伺えてとてもいい事だ、と顧問は言っていたが、試合前に余り練習をして

    疲労を溜めてしまうことがとても心配される。

    「皆おはよう。あんまし練習は無理すんなよ、試合前に怪我でもされたらたまんね
    ぇから。特にスターティングメンバーは注意!控えの奴も、何時でも出られるよう
    に準備とアップは絶対に欠かさないようにしておけよ!」

    集まった部員たちに気遣う声をかけ、スターティングメンバーを発表する。

    「GKは瑞黄、DF3人は聖と祐と樹。MF4人はオレと耀太と三鷹と宮瀬。FW3人は
    貴田、柚北、北谷。サブは何時も通りだ、皆頑張って優勝しようぜ!」
    「おうよっ!」

    勢いの良い声が大会会場に響いた。以後、何処と無く同じような声が響き渡っている。

    まだ開会式まで30分以上もあるだろうか、其れなのに殆どの学校の選ばれし精鋭たちは出揃っ

    ているのだろう、さっきまでの会場の雰囲気とは俄かに違う雰囲気が漂っている。

    少し目立つ学校が来場すれば女子の黄色い歓声が響き渡り、それ以上に男子の歓声も響く。

    昨年の優勝校、劉華(りゅうか)学園の来場には以前にも増して辺りがザワザワとし始め、其れ以

    前にも女子の歓声が一際大きくなった。その学校が昨日いざこざのあった渡部幸也の学校なのだ

    から、泉輝や瑞黄の実力にも然程引けを取っては居ない筈だ、寧ろ個々の実力では劉華学園の方

    が上かもしれない。だが劉華学園は、個々の実力は相当高いものの、チームワークが其れ程良く

    ないと言う弱点がある事を前日の地域新聞のスポーツ欄が小さく報じていた。毎日チェックして

    いた瑞黄は、それを見逃していなかったのだ。泉輝達栖鳳(せいほう)高校は、全国的にもチーム

    ワークの良い、仲の良い学校として知られていたから、一部ではもし決勝で劉華学園と対戦する

    事になっても勝てるかもしれない、という望みを抱いていた。

    「よーし皆一旦練習止めて集合してくれー。スポーツ棟の1階の栖鳳学園の部屋に。」

    1回戦の相手について説明するために、一旦部員を控え室に集める。

    「皆良く聞けよ。一回戦の相手は蒼谷城(あおやぎ)学院だ。あの学校は別に目立って突出してい
    る所は特に無い、至って普通の学校だけど、2年以上なら知ってる選手、FWの裄田燈矢が居る。
    あの選手は全国選抜にも選ばれた奴だから、そいつだけは特に注意しておけ。後は其々のポジシ
    ョン担当者同士で、相手のことマークして頑張ってくれよ。1年は初めての大会で緊張してるか
    も知れねぇけど、息吸って肩の力抜いて、リラックスして行け!2年・3年も緊張はするかと思
    うけど、決して相手をナメてかかるなよ!いつも通りのオレ達のプレイで行けば勝てる相手だ、
    皆其々持てる最大限の能力を出し尽くせ!後で後悔しないような大会にしようぜ!」
    「ッス!」
    「よーし、もうすぐ時間だからグラウンドに其々集合しててくれ。オレと瑞黄は鎌谷(顧問)に再
    度オーダー確認してから行くから。」

    どの学校のどの3年生も、頭の中にあるのは『最後の大会』というモノだけだろう。

    そんな心を利用した、心理戦を仕掛けてくる学校も少なくはない筈だ。そんな学校に負けるつも

    りは絶対に無い。今オレの頭の仲にあるのは、実力で勝つことのみだ。

    ましてや、初戦の学校も昨年のビデオを見ているとそんな感じの試合だったから、尚更コテンパ

    に叩きのめしてやる、そんな想像を頭の中に膨らませていた。

    「鎌谷センセー。オーダー、変更無いっスよねー?」
    「ん・・・あぁ相阪達か。うん、無いから頑張ってきなさい。応援しているよ!」
    「っス、ありがとうございます。」

    いくら過ごし易いと言っても、やはり夏は夏で、開会式の何か偉い人の話を聞いている間にも汗

    が滲み出てきた。周囲には、あからさまに退屈そうな態度の奴も居る。

    長ったらしい話を聞いた後、オレと劉華の部長と選手宣誓があった。
































    ――――――始まったんだ、俺達の最後の夏が。

    一回の負けも許されない過酷なトーナメントが。


70/ 第5話  初戦
・投稿者/ 夜映瀬
・投稿日/ 2005/06/14(Tue) 16:09:46
・IP/ 61.204.183.229

    試合開始のホイッスルが大会会場に大きく鳴り響いた。蒼谷城学園との、負けられない第

    1戦が始まり、燃える闘志がぶつかり合う。多分、この試合は初戦だし、オレたちにとっ

    てだけじゃなくて相手にとっても重要な試合の筈だ。この、トーナメント第一回戦ではも

    う敗者である半分の学校が努力空しく去ることになる。蒼谷城学院・・・お前らも敗者の

    仲間入りさせてやろうじゃないか・・・・・な。

    「行け貴田!柚北はもっと右に攻めろ!北谷は左の選手に徹底的に付け!相手のどんな小さ
    なミスも見逃すなよ!其処を攻めて攻めて攻めまくるんだ!気持ちの上で負けるんじゃない
    ぞ!スポーツは心理的戦略も重要だ!いいぞいいぞ!その調子で攻めまくれよ!」

    両校の顧問のゲキがグラウンドに飛び交う。相手校の声は、少なくとも相手にとっては不

    愉快なはずだ。微妙な焦り、が生じてくる時間はそう遠くないはずだ。何しろ、青谷城学

    院は昨年の準優勝校と戦っているのだから、心には最初から少なからずそう言う気持ちが

    あることだろう。それくらいの事はキャプテンであるオレに位容易に想像できることだ。

    「皆頑張れよ!もう少しで勝てる筈だからな!」

    ハーフタイム。スコアボードを見ると、『青谷城0−3栖鳳』と表示されているのが見え

    る。オレや顧問の予想通り、青谷城学院は昨年の準優勝校、という固定観念に囚われてい

    る様子のプレイを前半から見せていた。ラフプレーも多く見られ、明らかに焦りがにじみ

    出ているのがベンチで見ていた控え選手にもわかったという。




















    前半13分。MF三鷹・宮瀬の良いコンビネーションによる先取点。27分、FW北谷の鮮や

    かなミドルシュート。そして、前半終了間際43分。相手の緊張からによるのかは分から

    ないがオウンゴール。駄目押しの決勝点、と言っても良いくらいの得点だ。前半でこれだ

    けの得点差を付ける事が出来れば上出来だろう。一部の部員の中ではもう勝利が確信に近

    づいている筈だ。だが、まだ後半45分が残っているのだ。油断は出来ない。

    「みんな前半は良く頑張ってくれた!だけどまだ油断はしちゃいけない、後半45分が残
    ってる。これを勝てば初戦突破だ!終わったら初戦突破記念に焼肉だぞ!」
    「おおーっ!いいっスね!絶対勝ちましょうよッ!!」

    『焼肉』という言葉に反応した部員たちは、俄かに盛り上がった。まぁ初戦突破記念のお

    祝いくらいしたい部員たちもオレ含めてたくさん居る筈だろうからな。

    後半キックオフのホイッスルは、前半終了のホイッスルより何故だろう、気のせいかも知

    れないが、オレたちの勝利を待ち望むかのような音にも聞こえた。まぁそれと言って別に

    気にすることは無かったけど。

    「攻めろ攻めろ攻めろ攻めろ!!あと45分凌ぎきったら初戦突破だぞ!ほら攻めろ攻めろ
    攻めろ!試合開始前のミーティングを思い出すんだ!」

    相変わらずオレたちの学校の監督からは瞑れるんじゃないかと思うくらいの大きい声での

    ゲキが飛んでいる。そんなゲキがオレたち部員、選手の励ましになって、今この後半とい

    うキツい状況の中で支えてくれているから、安心してプレイすることが出来るんだ。それ

    に、相手側選手にもプレッシャーを与えてくれるから、五月蝿いけどありがたい声だ。











    半分くらいが経過した25分くらいのこと。

    相手FW選手がオレたち栖鳳学園のFW選手に対して激しいラフプレーを仕掛け、退場となっ

    た。今この状況で選手2名が退場になり、相手イレブンは9名。圧倒的にオレたちが優位

    に立った。もう此れで勝利は確実だ。負けるわけが無い。きっと。





























    ――――――――――ピピーッ・・・









    その笛が鳴った瞬間、歓声が上がった。今まで顧問のゲキしか聞こえていなかった会場内

    には、観客の大きな歓声が響き渡った。・・・勝ったんだ。待ち望んだ大きな勝利だ。









    「初戦突破だ―――――っ!!」

    結果を見てみれば、5−0。後半29分、相手FW2名退場の後、MF耀太の4点目のゴー

    ル。そしてその直ぐ1分後、オレはキャプテンの責任を果たして5点目。5−0の快勝試

    合だった。相手校には、昨年の準優勝校だという実力を見せ付けることが出来た。そんな

    に全国試合を甘く考えているような学校にだけは絶対負けたくなかったからね。











    控え室に戻った栖鳳高校イレブンには、歓喜の涙と笑いが見られた。











    ――――――――――初戦突破、それはこれから始まる長く苦しい大会への
    突破口を開いたに過ぎない。過酷なトーナメントは、まだまだ続いていくのだから。

72/ 第6話  衝撃のメール
・投稿者/ 夜映瀬
・投稿日/ 2005/06/15(Wed) 17:12:53
・IP/ 61.204.183.229

    オレたちは翌日、初戦突破記念に隣町の結構有名な焼肉屋を訪れた。いつもは30分待ち

    とかの行列が出来ているけれど、平日で悪天候と言うこともあって何時ものような長い行

    列は出来ておらず、駐輪場に自転車を止めてから店内にすんなりと入ることが出来た。

    入った瞬間、耳には肉の焼けるジューシーな音と、鼻にはタレが焦げていく絶妙な匂いが

    入ってきた。さぞかし、部員たちは食欲をそそられていることだろう、店員に案内された

    席へと試合に出場した部員たち全員が、一気に、雪崩のように流れ込んだ。

    次々と運ばれてくるカルビ、タン、豚トロなどの美味しそうなモノに、部員たちの箸は止

    まることを知らないかの様に動きつづけている。こんな様子を見てると、改めて昨日の初

    戦突破の喜びが、体の奥底からジワジワと滲んでくる。


    それにしても、すごい量だ。食べ盛りの高校生男子にも多いくらいなんじゃないかという

    くらいの量の肉が運び込まれてくる。いくら食べ放題だからっていっぺんにこんなたくさ

    ん持ってこられても・・・・すっげぇ困るんですけど・・・・。

    「♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪メールだよ〜♪♪」

    溢れんばかりの量の肉への対応に困っていたとき、ケータイがメールの着信を知らせる音

    楽を鳴らした。平日のお昼間際にメールなんて普段は来ないのに・・・と思いながらケー

    タイを開いてメールボックスを見る。目に入ったそのメールに、オレは絶句した。体中の

    血液がほんの一瞬凍りついたような感覚に襲われた。


























    「劉華が負けた」














    たった一言のメールに、こんな感覚を覚えさせられるのは生まれて以来初体験だ。それに

    しても何なんだ・・・?劉華が負けた・・・?劉華はオレたち栖鳳が決勝で倒そうって言

    ってた相手だろ?しかも・・・去年の全国優勝校が・・・・たったの1回戦で負けんのか

    よ?まだ・・・ベスト16でもないんだぜ・・・?対戦相手が・・・そんなに・・・去年

    の全国優勝校を1回戦で倒す程実力のあるチームだったとでもいうのかよ・・・・・?






    「どうかしたのかよー?何のメール?」

    そう言ってケータイの画面を覗きこんだ瑞黄も、言葉を失ってその場で黙り込んだかと思

    ったがメールに2通目の続きがあったことに気づき、そっちの方を開いた。




    「相手は・・・4年前の優勝校。海港(かいこう)高校だった――――」





    そっちの方のメールには更に驚いた。海港高って言えば・・・ここ3年は目立った活躍は

    無かったが、その4年前には優勝している学校だ。オレたちの顧問が卒業した、創立60

    周年の古い学校で、その中でもサッカー部は開校当時からある古い部活であった。

    まさか・・・今ココで劉華が海港高に負けるとはな・・・やっぱり新設校は古豪には弱か

    ったのか。あまりショックを受けている訳にも行かない。敵なんだし、寧ろココでライバ

    ルが一校減ってラッキーだと思うべきだろう。自分に言い聞かせて、ケータイを閉じた。


    「・・・あいつら・・・1・2年には・・・言わなくていいのか?」
    「言わなくたって、会場でどうせ明日トーナメント表見るんだから分かるだろ。それまで
    言わなくたっていいよ。今は楽しんでるんだしよ。」
    「おお、そっか。わかった」
    「それよりお前ももっと肉食え!残したら勿体無いだろう」
    「そんな無理言わないでwもう俺マジで無理だって、胃が悲鳴を挙げてるもん」
    「キショイ、止めろ。じゃあ向こうの1・2年に押し付けて来いよ」
    「キャー泉輝クン怖ーいw自己中サンじゃんよw」
    「お前マジでぶっ殺すよ?」
    「目がマジになってるよ泉輝、怖いって」


















    ――――――――明日へ備えて今日は一時休戦。
    十分・・・リラックスできただろう・・・・・・か?
    まぁ楽しめていたみたいなので良いとしておこう。

73/ 第7話  苛立ちとプレッシャー
・投稿者/ 夜映瀬
・投稿日/ 2005/06/17(Fri) 17:59:56
・IP/ 61.204.183.229

    大会の2戦目。私立高岳東(たかおかひがし)学院戦の日がやって来た。昨日、劉華敗退と

    いうメールに衝撃を受けたが、いつまでも引き摺っている訳にはいかない、勝負の世界に

    おいては諦めと割り切ることも必要なんだと改めて感じた。

    それはいいが、もう試合開始30分前だと言うのになかなかオーダーが決まらない。高岳

    東は、それと言って目立つ選手が居る訳でもない、至って普通の学校だから、あえて控え

    選手だけで行くか、それともいつものメンバーで行くか頭を捻り悩んでいたのだ。

    「どうするよ?控えだけ?」
    「でもいいけどよー。それで負けたらあいつらには相当ショックじゃねぇ?」
    「負けたら其れだけの実力でしかなかったってことだろ。
    ・・・じゃあ控えとオレらと半分ずつごっちゃにしていってみるか?」
    「別にー俺はそれでもいいし。どっちにしろキーパーは俺しか居ないんだからさ」
    「じゃあ瑞黄オーダー表書いとけよ。あいつら集めてくるから」
    「おうよ。まかせとけ」

    結局、実力半分隠しのメンバー、何時ものメンバー半分、控えメンバー半分でいくことに

    なった。外で練習している部員たちを集め、その趣旨とメンバーを説明したり発表したり

    する。果たしてコレで納得してくれるのだろうか・・・・

    「皆、良く聞いておけよ。2回戦、高岳東戦には何時ものスターティング達半分、控え選
    手半分にして行くことになった。メンバーは、GK瑞黄は其の侭、DFも其の侭で、MFは三鷹
    と耀太を下げて知川と福島を入れる。FWは全員入れ替えで、宮島・藤原・高井に変える。
    いいか皆。油断しなければ勝てる!オレ達の目標は何だ!?」
    「全国優勝!」
    「その目標達成のためには、今こんな所で負けていられないんだオレ達は!だから気合い
    入れろ、油断だけはしないで頑張ろうぜ!」
    「オーッ!!」

    威勢のいい声が控え室、いや棟内に響き渡る。絶対に負けない、という自信を持った選手

    の顔は心なしかいつもとは少し違う、ほんの少しだが逞しく見えるような気がした。

    試合開始のホイッスルが静かな辺りの住宅街にも鳴り響く。選手は、右へ左へと鋭い、キ

    レのよい動きでボールを追い回す。相手は、手荒なプレーが目立ってきている。

    「相手は・・・控え選手が半分も居ると言うことに苛立ちでも感じてるのだろうな。それ
    と共にプレッシャーも感じているはずだろう、全部がいつものメンバーじゃないチームに
    負けたら自分たちの実力はその程度でしかないことを思い知らされるだろうから・・・」

    顧問は、誰にも聞こえないように細い声でそう呟いた。
















    前半終了。掲示板を見ると、高岳東0−2栖鳳と表示されているのが見える。

    開始2分、実に展開は早かった。三鷹に変わって入ったMF知川の先制ミドルシュート。更

    にその5分後、また知川が左サイドからこぼれ球をゴールへと押し込んだ。2−0。前半

    でまたもリードを奪うことが出来た。上出来だろう。

    「おまえ達後は後半だ!点入らなくても入れさせちゃ駄目なんだからな!」
    「ウイッス!」
    「よし、頑張ってこい!コレに勝てば3回戦進出だぞ!」

    顧問にゲキを入れられ、ピッチへと散らばっていった。今出場している部員たちの頭の中

    では、勝って感動している姿しか描かれていないだろう、ならばその光景、現実にしよう

    じゃないか。あと後半45分凌ぎきれたら・・・だろうけどな。









    前半に目立っていた手荒なプレーは、もう試合を放棄したかのように見られなくなってい

    る。そんな試合を最後までやらずに放棄したりするようなやる気のない奴等にオレ達は負

    けるつもりは生憎だが無いんでね!





























    ―――――――――――ピーッ・ピーッ・ピピーッ・・・・


    鳴り響く勝利の証のホイッスル。結果を見てみれば、前半の知川の2点に加え、オレの1

    点、福島の1点、宮島の1点で合計5点、1回戦に続いて快勝だった。



















    こうしてオレ達は着実に勝ち進んで行っている。
    ・・・このまま楽に行ける筈もないだろう、其れだけは忘れてはいけないと思う。

77/ 第8話   小休止
・投稿者/ 夜映瀬
・投稿日/ 2005/06/21(Tue) 18:09:24
・IP/ 61.204.183.229

    第2戦も終わって、次の第3戦まで少し時間もある事だから、自主練も兼ねて、少し久し

    ぶりにあのグラウンドに行くことになった。ほんの少し行っていないだけなのに、あの長

    閑な田園風景や遠くに聳える山々がとても懐かしい雰囲気のように思えた。やっぱり、自

    分の街の、しょっぱい風も身に慣れているけどこういう落ち着く雰囲気の場所でリラック

    スできるのもいいなぁと思った。大好きな第2の故郷・・・とでもいった感じかな。

    「なぁ瑞黄。」
    「んん〜・・・・あぁ何?どしたん?」
    「いや。前にグラウンド行ったときに居た女覚えてるだろ?」
    「あぁー・・・藤宮・・・茜?だっけ。覚えてるけどそれがどうかした?」
    「藤宮ってさ、何か気になってインターネットで引いてみたんだよ。したらさ、あいつの
    親父さん、ほらアレ。何年か前に有望視されてた代表の選手が事故で亡くなったって言う
    のあっただろ。その時亡くなったのが藤宮の親父さんだったんだよ。」
    「えぇマジで!?それってさ、あの藤宮貴也だろ?まだ若いのにだとか、これからの選手
    だったのにだとか、色々騒がれて、挙句の果てには事件じゃないかとか言われてた人。」
    「そうそうソレ。で、そのオレたちが使ってる・・・使わせて貰ってるあのグラウンドが、
    その藤宮貴也が地域のサッカーっ子達との交流も兼ねて・・・って言って作ったらしい」
    「へぇー・・・。それで何年も使われてないーってワケなんだ。」

    ココまでオレが興味深く調べものをしたのなんて何年振りだろうか、恐らく小学生の頃の夏休み

    の自由研究以来5年ぶりくらいだろう。元々面倒くさがりだし、自分から進んで図鑑を開いたり

    する事なんて全く無かったのだから。久しぶりだった、こんなに興味の沸いたことは。

    「瑞・・・寝てるのか」

    隣の席に座っている瑞黄を見ると、すーすー寝息を立てていた。疲れているのか、起こすのも可

    哀想だ。終点まで未だある事だし、そのまま起こさずに寝かせておいた。



















    ――――――窓の外を眺めれば、綺麗な青い空には何一つ邪魔をするものは無くて、偶に五月蝿

    い泣き声を立てて鴉が飛んでいくくらいだった。和みのある風景、それでも何処か、何故か虚し

    いと感じる。人影も見当たらない町の中に、今時好き好んで行く人など誰も居なさそうだが、そ

    れでも住んでいる人たちにしてみれば、掛け替えの無いたった一つの故郷なのだから、前に見た

    あのポスターは信じられなかった。





    そう、偶々目に付いたのが、『ダム建設予定地』と言う文字だけがシンプルに書かれたポスター

    と言うよりも張り紙だった。初めて来たときから有ったのは知っていた。けれど、こんな住民愛

    の素晴らしい町を潰して欲しくない、ただ其の一心で。見とめたくなかったんだ。当然、この町

    が無くなってしまえば、あの大好きなサッカースタジアムも無くなる。其れだけが嫌だった、の

    かも知れなかった。最初は。だけど、最近は違うんだ。あんな、排気ガスに溢れて汚い町よりか

    はよっぽど素晴らしい町ではないか。だからと言って、そういう町にダムを作れなんて無謀な話

    だ。ただ、一方的に話を押し通そうとする市政や行政に腹が立って仕方が無かったんだ。今更町

    から見てみれば部外者のオレが怒っても仕方が無い、そう言ってしまえば其処までかも知れない

    けど何かが出来ないか。そんな事を考えてばかりのオレ自身にも腹が立って仕方がなかった。






65/ 切ない恋 〜プレゼント渡し(上)〜
・投稿者/
・投稿日/ 2005/06/11(Sat) 15:07:54
・IP/ 210.231.192.67

     
      *この物語は、フィクションです 



     私は、竜崎桜乃この青春学園に着てから、私は、誰かに始めて恋をしました。
    朝・・・・今日もいつもと変わらない朝、普通に登校して、普通に授業して・・・
    朝、私が、学校に登校した、そうすると、男子テニスの朝練してる、そこに、女子も、 
    いた、毎朝女子は、男子テニスのところできゃぁきゃぁ言っている。
    智子 「桜乃〜〜〜!!!」
    桜乃 「あっ・・智ちゃんおはよう、」
    智子 「桜乃、先行ったからもう走って来たのよぉ〜」
    桜乃 「ごめんね?」
    私が、こんなに早く来た理由は、そう、1年生で、レギュラーに入ったリョ―マ君の、
    朝練している姿を見たかったから・・・・なんて智ちゃんには、言えないしね・・・
    今、リョ―マ君たちは、ランニング中
    智子 「あら、リョ―マ様だわぁ〜!!!!頑張って〜リョ―マ様!!」
    こうして、朝練も終わった・・・
    智子 「リョ―マ様が、でてきたわよ、ぃこ、桜乃!!!」
    桜乃 「あ・・・うんってまって〜智ちゃ〜ん」
    リョ―マ 「ん・・・・・?」
    智子 「リョ―マ様、ハイお茶!飲んで!!」
    リョ―マ 「い・・・いらない・・・のどかわいてないし・・」
    智子 「さすが私のリョ―マ様!これぐらいじゃのど渇かないなんて・・」
    リョ―マ 「あんたのじゃない・・・」
    智ちゃんは、いいなぁ〜そうやって、リョ―マ君に、言えるんだものって、たいていは、
    貰われたりしてないけど・・・・・
    そうだ、私も、何か作って、渡してみようかな!!貰ってくれればの話だけど・・・
    こうして、桜乃は、テニス部員の事を、よく知ってる、乾先輩に、
    リョ―マの、好きな食べ物を聞いて、作ることに決めた。
        



69/ Re[1]: 切ない恋 〜プレゼント渡し(下)〜
・投稿者/
・投稿日/ 2005/06/13(Mon) 01:23:35
・IP/ 210.231.192.67

        
         *この小説は、フィクションです・・

     授業が、終わり、桜乃は、いち早く家に帰った、リョ−マ君の好きなものを、
    美味しく作るのに頑張るために・・・・

     2時間後・・・ようやくできあがった乾先輩に聞いたところ、リョ−マ君の、
    好きな食べ物は、どうやら、和食ものらしい・・・・そこで考えたのは、栗ようかん、
    なかなか作るのが、大変なのだ・・・
     
    桜乃 「ふぅ〜・・ようやく出来た!!大変だったな〜〜」
    桜乃の母 「桜乃!!もうこんな時間なのに何してるの!!早く寝なさい!!」
    桜乃 「はぁ〜〜〜〜〜い」

    次の日・・・(よ〜しおもいきってわたすぞぉ〜!!!)
    リョ−マが来た・・・桜乃の傍をとうり過ぎて行く・・・桜乃は、
    勇気を振り絞った・・・・!!

    桜乃 「リョ・・・リョ−マ君!!・・・・・」
    リョ−マ 「何・・・」
    桜乃 「あのね・・・こっ・・これ・・・作ったの、テニス部の人達と食べて・・・」
    リョ−マ 「・・・・・・」
    桜乃 「あっ・・・急にゴメンね・・・迷惑だったよね・・・」
    リョ−マ 「別に・・・・・」

    リョ−マは、すっと差し入れを持って行った・・・・
    桜乃は、(よかったぁ〜)と思った・・・・・
    帰り・・・・・桜乃は、リョ−マを、見つけた・・・

    桜乃 「あっ・・・リョ−マ君・・・」
    リョ−マ 「なに・・・・??」
    桜乃 「あれ美味しかった?初めて作ったから、口に合わないか心配で・・」
    リョ−マ 「まぁまぁ美味しかったけど、まだまだだね・・・・」
    桜乃 「うぅ〜〜・・意地悪−・・・それと、先輩たちは、
        美味しいって行ってた???」
    リョ−マ 「先輩たちに食べさしてない・・・」
    桜乃 「えっ・・・?どっ・・・・どうして?・・・」
    リョ−マ 「なんとなく・・・じゃ・・・俺帰るから・・」
    桜乃 「あっ・・ばいばい・・・」

     桜乃は、さっきの言葉を思い出すと、なんだか顔が、にやけてしまう・・・
    (嬉しいな・・・リョ−マくんだけで食べてもらえるなんて、
    なんだか一歩ちかずけたみたい・・・)そう思いながら、桜乃は、家に帰った・・






61/ 俺らの夏 *1*
・投稿者/ 秋雛
・投稿日/ 2005/06/05(Sun) 08:50:43
・IP/ 220.8.132.51

    今日はいつもより日差しが強い。
    まだ6月に入ったばかりなのになぁ・・・。
    なんて思いながら、俺は待ち合わせの場へと足を進める。

    丸井「赤也、遅ぉーぃ!!!怒」
    切原「ぁはは〜;ちょっと道端で誘拐されそうになっちゃって・・・;汗」
    桑原「・・・相変わらず嘘が下手だな。」

    ぅひ・・・;いきなり丸井先輩に怒られちゃったょ。。。
    つーか、20分くらい遅れたって別にぃぃじゃん。
    ね、アンタもそう思うデショ??

    切原「でも、言い出しっぺの仁王先輩来てないじゃないっスかぁ!!俺よりタチ悪
    いっスょぉ!!」
    柳生「ぁ・・・仁王くんはですね、先ほど――――」
    仁王「・・・誰がタチ悪いゃと?」
    切原「な!!!もぅ来てたんスか!?滝汗」
    仁王「俺はちゃんと、5分前に来とったし。」
    蓮ニ「仁王。飲み物は買ってきてくれたか?」
    仁王「ん?そんなせかさんくても、買って来とるって;」

    な・・・・何ぃ!?
    飲み物だとぉ・・・・・。

    切原「・・・モチロン俺のぶんもあります・・・よね?笑」
    仁王「知らん。」

    く・・・・コイツゥゥ!!!!!!怒
    ・・・・フフフ。まぁぃぃか。
    俺は心の広い男なんだから、そんなことは気にしなぃのさ。ぇ

    切原「どぅでもぃぃですけど、今日なんのために呼び出したんスか。。。?」
    仁王「肝試し。」

    は?
    何、この人。
    さっきとぃぃ、意味が分からん。

    切原「・・・肝試しっスか?ちょっと時期早くありません?しかも、この歳になっ
    て肝試しはどぅかと;;」
    仁王「よし、今から真田ん家行って、9時くらいから肝試しすんぞー。」

    おぃぃぃ!!俺の話を聞けぇぇ!!!涙

    桑原「ん、分かった。肝試しだな。」
    丸井「OK、OKvvメチャ楽しみじゃん♪」
    柳生「肝試しですか・・・。まぁ、行って損は無いでしょう。」
    蓮ニ「皆が行くなら、保護者として俺も行かなければ。ぇ」

    って、皆Okしてるし!!!!汗

    仁王「ぉら、赤也。早く行くぞ。」
    丸井「また遅れると、今度は真田が怒るぜぃ?笑」

    こうして今日はいつもより暑い、暑い、夏になるのでした。
    まだまだ、俺らの夏は始まったばかりです。



63/ 俺らの夏 *2*
・投稿者/ 秋雛
・投稿日/ 2005/06/07(Tue) 20:46:20
・IP/ 220.8.132.101

    待ち合わせ場所から、副部長の家まで徒歩で歩く。
    暑い中、ここまでよくやるなぁ・・・。
    さっき、仁王先輩にジュースを貰えなかったので、非常に暑く感じる。
    ・・・もぅ、うんざりだ。

    切原「しぇーんぱーぃ・・・。もぅ、暑くて死にそうっスよぉー!!!」
    仁王「死ね。」

    ぅーわ。何ソレ!!可愛い後輩に対してそれはないデショ。。。

    桑原「まぁ、もう少しなんだし・・・な?頑張れょ。」
    切原「へぇーぃ・・・。 疲」

    さすがジャッカル先輩!!優しいっスねvv
    ところで、あとどのくらい歩けばいいんだょぉ!!! 泣

    蓮ニ「ぉ・・・。弦一郎の家はここではないのか?」
    丸井「んー・・・(表札を見る)真田って書いてあるぜぃ!!ここじゃんw」
    仁王「ほぉー。あんがいキレイな家やのぅ・・・。」
    切原「ぇwここでいいんスか? 喜」

    やったぁー!
    やっとのやっとで着いたぁぁ!!! 泣

    切原「んじゃ、早速入りましょぅ♪」

    んー・・・やっぱり、思っていた以上にキレイだ。
    俺を先頭にして、皆が副部長の家にぞろぞろ入る。

    柳生「こんにちは。少々遅くなったようですが、スミマセン。」
    真田「ふ・・・34分も俺を待たせるとは、たるんどるな。」

    相変わらずこの人はキツイなぁ・・・。

    切原「副部ちょー。飲み物と食い物くださーぃ。」
    真田「ぬ!!人の家に入り込んで、その言いぐさは何だ赤也!!!! 怒」
    切原「だって、暑い中ずーっと歩いてて疲れたんスもん!」

    ・・・・とかなんとかしているうちに、あっという間に9時になった。 早

    仁王「ん・・・。そろそろ、時間じゃなかと?」
    丸井「ぅっひょーvV早く墓地行こーぜ!!! 楽」
    切原「マジすかぁ・・・; 汗」

    そして、俺達はゆっくりゆっくり墓場へと向かいました。
    そこまでの道は、いつもより遠く感じて、本当に帰りたかったです。
    つーか、抜け出したいです。この場から。 ぇ

    桑原「ぉ・・・墓見えてきたぜ。。。」
    蓮ニ「少し気味が悪いな・・・。」

    ここからが、今年の本当の夏の始まりです。



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掲示板管理者:マリル
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