初めまして。今企画にてご一緒させて頂いております、叶儀シウと申します。 この度、転石さんの「八回目の冒険が終わる日に 」を拝読致しましたので、感想 させて頂きますね。
文章構成がべらぼうに巧いですね…! 一文目からぐっと惹き込まれ、彼らの言葉の意味をぐるぐるぐるぐる思考しながら 読み進めておりました。何のことを言っているのか、二人はどういう関係なのか。 そしてそもそも、「冒険」とは何のことなのか。 そんな二人の関係性や、一概に妄想や幽霊とは言い切れない姉さんの存在がとても 面白いです。彼女の魅力がありありと描かれて、やや蓮っ葉な物言いが格好良く、 リアリティに溢れているからだと思われます。「僕」視点の素敵な形容も相俟っ て、本当に魅力的。
読み返したときに浮かび上がってくる台詞の意味が、また一度目とは違ってくるん ですよね…。なんとなく予想していたものよりも、もっと強い意味を持ってシーナ の「ばかじゃないの」が響いてくる。何て良い姉貴…!(じーん…)
それでも救われていない「僕」が切ないです。 姉が今回消えてしまった以上、「僕」自身が気持ちに決着を付けねばならないのか と考えたとき、心配が残りました。彼を助けられるのはきっと家族ではなく、姉し かいないと感じたので…。 でもまだ八歳なんですよね。 彼がいつか、彼自身の名前として「優希」を受け容れられることを切に願います。 素敵なお姉さんと同じ名前をつけたのは、彼女のように気高く育って欲しいという 意味かもしれないんですから。
もうこの作品の雰囲気が大好きです。 夢か現か、それとも幼少期の現実なのか、読み込み甲斐のある物語をどうも有難う 御座いました!
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