「親」という漢字を分解すると「立木の横で見ている」人となります。字の成り立ち の通り、親は見ることで子どもへの愛情を表現します。見るだけでなく、聴く、触 れるなど、五感を駆使して愛情表現をしているのです。
「ママ、見て!」「ママ、来て!」と子どもはクレーン現象といいよく手を引っ張 りますが、それは愛情をちょうだい、というメッセージです。子どもは、自分のこ とを見てもらい、話を聞いてもらうことで、存在を受け入れてもらえたと感じるの です。抱っこやおんぶなどのスキンシップも同様です。
見る、聴く、触れるというベースのうえに、さらにプラスされる愛情表現が「褒め る」ことだといえます。子どもは、褒められることで「自分は認められているの だ」と自信を持つことができ、次の一歩を踏み出すことができるのです。
しかし、なかには褒めるのに戸惑いを覚える親もいるかもしれません。日本社会で は、控え目、謙遜の美徳が尊ばれ、出る杭を打つような風潮があります。そのた め、あまり出すぎたり目立ったりしないで欲しいという思いを持つ親も少なくあり ません。いじめられるのも心配なので、ついブレーキをかける力のほうが強く働い てしまうというわけです。
甘やかす事と褒める事とは基本的に違うものです。適切に褒めれば、子どもは伸び ていくと思います。伸びる力を子どもは必ず持っているのです。もちろん、家庭環 境や子どもの人数、また自分が男親か女親か、などによって、褒めるスタンスは微 妙に変わってきます。
また、子どもの性格やタイプによっても褒め方は異なります。これから挙げる例を 参考にしながら、自分流にアレンジして、家庭に合った褒め方を見つけていただけ れば幸いです。自分の子どもに対して、親は期待や願望を持っています。しかし、 住々にして願望と現実との間にはギャップがあるものです。そのギャップに、あま りにこだわりすぎると、褒められなくなります。
ギャップであって、それを埋めることばかり考えていると厳しくなってしまい、よ いところ、伸びたところを褒める気持ちを忘れがちになります。我が子に期待した り、願望を持ち続け、現実とのギャップを埋めようとすることはとても大切なこと です。しかし、結果や結論を急ぐあまりに、子どもの意欲を奪うことがあってはい けないと思います。
あるがままの現状、そのままで十分よいところを褒める事です。子どもを注意深く 観察し、よい点を探して褒める事が、結果として、ギャップを埋める近道になるの ではないかと思います。テストで悪い点数をとっても、運動会の競技でビリであっ ても、一生懸命努力したことを褒める事ができます。一番傷ついているのは本人か もしれません。そんなときこそ、親が褒めて勇気づけてあげるチャンスだと思いま す。
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