人間の脳は他人と会話をしたり、簡単な計算をする時、その活動領域が大きくなる
ことが分かっていると言います。「脳のトレーニング」といわれるＤＳのソフト
は、計算をしたり、音読をしたり、四字熟語を書くことで脳の活性化を促すもので
す。一方、考え事をしたり難しい問題を解いている時、仮想の世界に没入する時
は、脳の活動領域が小さくなることも解っています。
それは、活動領域を絞り込むことで集中力を高めているのではないかと考えられて
います。脳の活動領域は広ければよいというものではなく、時には読書などを通し
て脳の活動領域を絞り込み、クールダウンさせてあげることも大切だと言うので
す。しかし、現代社会においては、毎日が忙しいし、ゆっくり本を読む時間がなか
なかとれないのが実情です。テレビやビデオもあれば、インターネットや携帯電話
もある。このような忙しさの中でもっとも犠牲になっているのが、本を読む時間で
はないでしょうか。
まとまった時間を確保できない人でも簡単に読書が出来る方法があります。たとえ
ば、細切れの時間を読書にあてるのです。私はトイレでは新聞や雑誌を読むように
しています。カバンの中には必ず１冊の本が入っており、電車の中やバスの中とい
った細切れの時間でも、パッと読み始めます。待ち合わせの約束には必ず早く行
き、本を読んで待っています。自分が好きな本とか興味のあるテーマに関する本で
も、それを最初から読むと、進めのうちは、さまざまな思索が頭に浮かんでしま
い、前に進んでいかないことがあります。そこでくじけると本を読むことから気持
ちが離れてしまうことがあります。
本を読むときに慣性が働いています。本の始めの部分は多少読みにくいが、慣れる
につれて、やがて段々読みやすく、すらすら進むようになるでしょう。途中でやめ
るのが惜しくて先を読みたいとも思う。脱兎の勢いで終りの部分を読んで読了する
と、あとに余韻が生じます。もっとも大規模な慣性の現象といってよいのではない
でしょうか。心理的には本を追おうとしているのに、本はもう終ってしまっていま
す。対象を失った読者の心理はこれまで進んできた方向の延長線上を走るのです。
そうして起るのが余韻で、ことに文学作品において顕著であるが、文学に限るもの
ではない。すぐれた書物は読み終えたとき何らかの残影をもつのが普通なのです。
面白くなりそうなところで本から離れ、そこに生じる慣性を利して自分の考えを浮
び上らせようとします。芸術作品なら全部を読み通したうえでの余韻でなくては困
るが、知的な文章では最後まで付き合っていては、あまりに多く影響を受け過ぎる
ことになって面白くない場合もあります。本はきっかけになればよいし、走り出さ
せてくれればそれでりっぱな働きをしたことになる、そういう読書もあるでしょ
う。面白すぎて先を読むのが怖くなるような本が時々あるというのは、途中で切っ
て、そこに創造的慣性の作用を起すことを、我々が心のどこかで期待しているから
かもしれません。
また、最後まで読まなければと思い、結局はそれがプレッシャーとなり、読書自体
が嫌になってしまう場合もある。だから難しかったり、つまらなかったりする所は
いい加減に読みます。現代の脳科学の知見に基づくと、学習は必ずしも秩序を立て
てやる必要はない。断片的なインプットを積み重ねるやり方でも問題ないというの
です。当然ながら、じっくり時間をかけて黙読するのも、とても魅力的です。情報
を断片的でもいいからとにかく入れていこう、というせわしない「拾い読み」に比
べると、本とじっくり向き合う黙読はとても心安らぐ読書になります。
断片的に読むのが良いと言っている訳ではなく人間には読書の限界があるというこ
とです。生涯に人は何冊本が読めるのか、計算してみたのですが、生まれた赤ちゃ
んから男女平均寿命の80歳ちょっと過ぎて死ぬまで、1日に必ず1冊本を読むとし
て、たった3万冊しか読めないのですよね。生まれた赤ちゃんは本を読めないでしょ
う。80歳位になると、目がかすんだり、体がおかしくなったりもするから、実質、
15歳から65歳まで読んだとして50年です。ハードカバーを1万冊読んだとしたら、物
凄いことだと思うのね。週刊誌入れても、1万冊読んだ人は、やはり読書家だと思う
のです。
学生に本を何冊読むかと質問すると、「5,6冊」なんて答える訳です。「それは、ど
んな本ですか？」と聞くと「少年ジャンプ」とか週刊誌が立派な読書なのですよ
ね。定期刊行物は読書なのです。そのうち、「読売新聞」と答える奴が現れるかも
知れません。雑誌「バラエティ」は、もちろん、立派な読書なのです。（笑）たと
えば、60歳で定年退職して、家でビデオみているだけではなく、本屋まで「少年ジ
ャンプ」を買いに行くのは偉いと思います。電車の中で平気で漫画を読んでいるサ
ラリーマンがいますが、なかなか言えないでしょう「少年ジャンプを下さい」って
のは？（笑）そういう時は、大体「うちの息子が」って言って買うのですよね。
「白血病の妹が」って言って少女漫画を買う人もいるでしょう _(＿△＿)ノ彡☆ギ
ャハハ!!バンバン!!
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