私の友人は健康志向だと自認している40代後半の男性です。体格は普通で、最近少 しお腹が出てきたぐらいです。同世代の人たちに比べるとスマートな方なので、メ タボリックシンドロームなどは他人事でした。
毎朝早く起きてジョギングして、シャワーを浴びてから会社へ出勤。朝食はサラ ダ、昼食は蕎麦やうどん、定食などを食べ、夜は奥様の手作りの料理を食べていま した。健康には野菜がいいと信じ、ランチや定食には必ずサラダやおひたしを付け て食べていました。
最近は20種類以上の野菜が入ったジュースも売っているので、コーヒーの代わりに 飲んでいたそうです。さらに、体にいいからという理由で、牛乳やチーズ、ヨーグ ルトも毎日欠かさずに摂っていました。
ある日、久し振りに会社の定期健康診断を受診することにしました。「自分はこれ だけ健康的な生活を送っているのだから、何も問題はないだろう」と自信満々で挑 みましたが、検査結果を見て驚きました。血管年齢が60代と出ていたのです。
動脈硬化がかなり進んでいるので、このまま放っておくと心筋梗塞や脳血管疾患に なるリスクが高い。医師からそう説明され、がく然としたそうです。毎日運動して いたし、野菜も食べていた。それなのに、何が問題なのか。友人は二次検査なって しまいました。
知人の問題は食生活にありました。それは魚を食べていないのです。子ども育ち盛 りで肉料理ばかりで、ステーキや唐揚げばかりでした。さらに死因が高いジョギン グをしているのですから血がドロドロです。知人は間違いなく長生きしません。奥 さんも。
知人は三食必ず、野菜は食べるようにしていることを自慢していました。知人のよ うに、自分は毎日野菜を食べているから健康だと思っている人も多いでしょう。だ が、もしそれだけで健康になれるのなら、生活習慣病になる人はもっと減るはずで す。
40代から80代まで、どの年代でも死因で一番多いのは悪性腫瘍、いわゆるガンで す。その次に心疾患、脳血管疾患と続きます。生活習慣病というと糖尿病や高血圧 を連想するかもしれませんが、心疾患や脳疾患も生活の乱れが原因となっているの でやはり生活習慣病です。がんの中でも、大腸がんや肺がんなどは生活習慣病とさ れます。
生活の乱れは、食生活の乱れでもあります。その原因となっているのが、欧米食で あるジャンクフードです。戦後、日本の食生活は大きく変わり、肉や乳製品を大量 に食べるようになりました。これらの動物性脂肪が生活習慣病を引き起こすことは 以前から指摘されていたので、健康に気を遣っている人は食事に野菜を摂り入れる よう努力しているでしょう。
実は、肉や乳製品を食べている限り、野菜を食べてもそれほど効果がないのです。 動物性脂肪を食べている限り、野菜を食べても効果はありません。肉に含まれる飽 和脂肪酸や植物油に含まれるリノール酸やアラキドン酸は、摂りすぎると血管をド ロドロにして詰まらせてしまいます。いくら一緒に野菜を摂取したところで効き目 はないと言います。
たとえば汚れやゴミで詰まりそうになっている水道管に、効き目の軽いパイプクリ ーナーを使うと、流れるようになるどころか完全に詰まってしまうのと同じです。 ゴミを分解できる力がないので、表面のゴミがはがれて、かえって詰まってしまう のです。
その状態が我々の血管に言えることなのです。野菜を食べるだけでは、体内に蓄積 した毒を取り去る力はありません。焼肉定食を食べたら、いくらサラダや煮物で野 菜を摂っても、短命な体質に近づいてしまうことには変わりないということなので す。
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