疲れがなかなか抜けない、肩こりや腰痛がひどい、風邪をひきやすい、お腹がポッ コリ出ていてメタボリックシンドロームが心配など。これらの症状は大病ではあり ませんが、このまま放っておくと、やがて大病を招く原因となります。慢性的にこ れらの症状がある人は、短命だといえます。
日本は相変わらずの長寿大国ですから短命と聞いても、ピンとこないかもしれませ ん。2006年の時点では、男性の平均寿命は香港がトップで79歳、日本は4位へと転落 したもの78.53歳の高水準です。女性は21年連続でトップを維持し、平均寿命は 85.49歳です。
このデータを見ると「俺は78歳まで生きられる」と思っていませんか。だが、最近 は50代で心筋梗塞などの心疾患で亡くなる人が増えているのです。それどころか、 30代や40代の心筋梗塞の患者も少なくありません。これは昔の日本ではありえなか った事です。
心筋梗塞は心臓が悪い人だけがなるものではなく、元気な人でも急に発作が起きて 倒れることが、よくある話です。元気なつもりでも、おそらく疲れが抜けなかった り、肩こりがひどかったりするなど、何らかの形で体にサインは出ていたのではな いかと思います。
若い人が亡くなるのは、現代社会はストレスが多いから、運動不足だから、などの 理由も挙げられるでしょう。しかし私は、特に現代の食生活に大きな問題があると 考えています。私の身近で亡くなった方の普段食べているものは、ファーストフー ドばかりでした。
ファーストフードやコンビニの弁当こそ、代表的な短命食でしょう。短命食を食べ ている人は、体が短命の体質になっているのですが、短命の体質を変えるのは、難 しいことではありません。長寿食を食べて長寿の体質になればいいのです。
日本は先進国の中でも珍しく、魚を食べる民族です。今は世界的に和食がブームに なっているように、もともと日本人は健康的な食生活をしていました。和食は魚が 中心で、洋食に比べると油を使う量もかなり少なくてすみます。
我々の子どものころは魚や野菜が中心で、肉を食べられるのは誕生日などの特別な ときだけだったのではないでしょうか。昔はマクドナルドのようなファーストフー ドやファミリーレストランもありませんでした。
日本の食生活が劇的に変化したのは、ここ30年ぐらいの話です。脂肪分の摂取量 は、戦後は5%ぐらいだったのが、今では30%にまで増えています。特に増えたのが 肉系と食用油による油です。体に摂り入れる油が変われば、体につく脂肪の種類も 変わります。
この脂肪が寿命を左右する要素なのです。魚に含まれるEPA(エイコサペンタエン酸) 系は、血液をサラサラにするなどの働きがある脂肪です。これを「善玉コレステロ ール」と言います。血液がサラサラになれば、心筋梗塞のリスクは減少しますので 長寿の体質になれるのです。
一方、食用油に含まれる脂肪をアラキドン酸系といい、血液をドロドロにします。 これを「悪玉コレステロール」と言います。アラキドン酸のもとになる油を多く摂 取していると血液がドロドロとなり、心筋梗塞のリスクは高まり短命になるという ことなのです。
若い世代はもちろんのこと、40代から60代の人でもアラキドン酸体質は、短命の体 質になっている人が多いのです。短命の体質の人は、どんなに運動をしても健康に はなりません。ヨガやウォーキングなどの有酸素運動をしても、食生活を変えない 限り、体の中から健康にはなれないのです。
それどころか、運動を始めたとたんに心筋梗塞をおこすのもアラキドン酸体質の人 なのです。知らず知らずのうちに、体は悪玉コレステロールによって短命の体質に 変えられています。このまま欧米並みの食生活を送っていれば、日本は平均寿命が 今よりずっと短くなるでしょう。
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